X6100 保証通過【2022/04/27】

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 おはようございます。GW前進行で慌ただしいシーズンに入りました。毎年年末年始と連休前後はこんな感じです。

無線機修理進捗

 久しぶりにMARK V  FT-1000MP を担当しました。入場前の予備診断で「電源投入不可」とのコメントが付されていたため、本機に多発するファイナル故障にともなうVDDの28V短絡かと思いきや、未だかつて経験したことのないRFユニット基板の炭化焼損というケースに遭遇し右往左往した次第です。電源ダウン自体は受信回路に200Wのスペクトラムが直撃、PCBが炭化焼損したことが直接的な原因です。実は送信波が受信回路を直撃するトラブルはFT-1000MP系だけでなくFT-1021やFT-1000などでも発生する可能性があります。多くの無線機では送受を完全に切り替える方式がとられていますが、当時のヤエス機はフルブレークイン時の応答性向上を優先し、送信回路を常時開通状態にして受信時にのみリレーが閉じるという回路構成になっていました。受信のみをON/OFFする方式を採用していた為、送信波が通過する前に確実にリレーを開放する必要があるため、超高速応答する水銀リレーが使用されていました。この水銀リレーがくせ者で、故障すると回路閉塞(ON側)で固着してしまうことが後になってから判ったのです。つまり、受信回路がONのまま送信状態になるため、送信波は空中線と受信回路の両方に流れてしまう訳です。送受切替回路では受信回路側への送信スペクトラム誤進入を防止するためダイオードリミッタなどを設置するケースもありますが、受信感度低下に繫がるためかヤエス機には一切の冗長対策がとられていません。即ちリレーが故障したら確実に受信フロントエンド破壊に繫がってしまうのです。今までの経験ではプリアンプ焼損、スイッチング・ダイオード焼損、一部のRX回路パターン焼損が殆どでしたが、今回は6dB、12dBのアッテネーターリレーが焼損し、リレーから出た火炎が直下のPCBを焼き切り2cm大の穴が開くという凄まじい状況です。受信回路のインピーダンスが高い為、RX回路開通状態で送信してもSWR自体は1.5程度に収まってしまい送信側の保護機能も働かず、キーダウンされている間は200Wフルデューティーのまま送信し続けてしまうことになります。例えば15秒連続送信となるFT8などでは取り返しのつかない状態に陥ってしまうわけです。この事象が発生するとRFユニットの大修繕に加え、故障原因となった水銀リレーの交換、最悪ファイナル交換となり30万円超えの修理となります。流石にここまでになると新しい無線機を買うことをお奨めしますが、今回は高価なファイナルは無事でした。水銀リレーはディスコンから20年経過しており、物理的に規格の合致する代替部品も存在しないため、魔改造の上代替の高速リレーを基板の半田面に移設する必要があります。話を戻すと「電源投入不可」の原因は、炭化焼損したRFユニット内のDCライン短絡が原因でした。PCBは炭化すると導通してしまうのです。ATTリレーのソレノイドに供給されている12VラインがGNDに落ちていたことが電源ダウンの原因です。詳しくは動画で説明していますので、宜しかったご覧下さい。


X6100 保証認定!!

早く使ってみたい!!

 JARDさんに申請していたX6100の保証申請が通りました。JARDステッカーは明日発送とのことです。本機の不要輻射性能は優秀な部類に入りますが、測定タイミングによってはノイズが混ざることもあるため、スペアナのスクリーンショットは多めに撮影する必要がありそうです。これはかなり面倒でした。ブロック図(取り説には記載がない)はXIEGU社と直接交渉して入手しました。諸元表は取り説内のページをそのまま添付しました。局発周波数などはメーカー非公開のためミキサー段の入力周波数を直接測定しました。因みに書類提出後にXIEGUから局発周波数の表が送られてきましたが、当然ながら測定結果と一緒でした。(笑) これで正々堂々と屋外運用できるようになりますョ。 

ローカル・フレンド各局から「X6100が欲しい」との声が複数あがっています。共同購入の窓口をさせて頂く事になりました。10台程度だと日本までの送料を含み $550 ※(追記参照) 程度となります。(別途、輸入関税) 技適機ではないのでJARD、TSSに保証申請するにはスプリアス測定が必要です。JARD持ち込み検査する際は2,200円でスペアナを使わせて貰えますが、自力で操作・測定する必要があります。勤務先のTBHDでも帯域外、近傍、高調波などの有償測定が可能です。スペアナ操作などやったことの無い方はお奨めします。

 X6100のご購入をご希望の方は、Twitter DM(@jg1bvx)宛にご連絡ください。

追記 2022/05/24 :

 第一回目募集について検証中です。想定外の費用が発生しており、次回募集時は価格を見直す可能性があります。関税等も見えてくると思いますので、追って掲示させて頂きます。共同募集参加の方でご希望があれば、JA版のFW(5MHz送信制限)を当方にて有償インストールすることも可能です。

 

2 Responses to "X6100 保証通過【2022/04/27】"
  1. X6100 保証認定おめでとうございます。初運用待ち遠しいですね。インプレッション楽しみにしております。共同購買に可能であれば参加させていただきたく。急遽Twitterのアカウント(@Arctic2Aurora)を作りました。宜しくお願いいます。

    • 申し訳ございません。一回目の共同購入は締め切ってしまいました。
      @jg1bvx 宛にDMを頂ければ次回共同購入受付の際にご案内させて頂きます。

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