RJX-610 ご出場 / FT-847M 入場中 / ICF-2001D 入場中【2020/09/11】
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こんにちは。朝晩は少し涼しくなりましたでしょうか。連日ハンテツ仕事で完全に寝不足です。
NHKラジオでアルコール使用の注意喚起がされたようで、何軒か問い合わせがありました。当社では修理作業時に無水アルコール(エタノール)を使用しています。主に基板洗浄に使用していますが、外装(主に金属部、接点)などにも使用します。樹脂部には絶対に使用しません。樹脂部の洗浄は中性洗剤を使用し、必ずシリコンを薄塗りしています。例え日陰や屋内でも紫外線の影響は間逃れず、モスボール保管でも僅かながら劣化は進行します。これを防ぐにはシリコンによる皮膜形成が最も効果的と言われており、航空機の整備にも使用されています。いずれにしても、樹脂部にアルコールや石油溶剤を使用することはありません。
測定器を全部回収してきた(疲れた〜〜〜)
測定器に押しつぶされそうな日々を送っています。東京の事務所に置いてあった測定器類を全て拙宅内のラボに持込ました。テレワークからベースワークへエスカレーションします。中には重複している測定器も多々あり“無駄と言えば無駄”なんですけど、バックアップにはなるかと思います。何れも放送・音響に使用する測定器ばかりで、無線機修理には無関係かな。いや、そうでもないか・・・。この件、追々書きます。今日は作業レポも多いので与太話は抜きで本題に入りま〜す。
RJX-610 ご出場
久しぶりにRJX-610が入ってきました。総合調整のオーダーです。RJX-601で開局した小生には恨めしい存在のRJX-610でありますが、本機シリーズと言えば、カタログに掲載されていたトランスバータやリニアアンプと組まれた堂々たる勇姿です。実際にあの様に組まれている状態をナマで見たことは無いんですけど。笑 RJX-601を買った後にRJX-610が出たと書きましたが、違いました。笑 本機も出たばかりで既に注目の的だったんです。それでもRJX-601を選んだ理由は夜な夜なAMの井戸端会議に参加するためでした。もう40年以上前のことです。そう考えると、本機もかなりのオールドタイマーということになりますけど、このデザインもまた秀逸ですね。超大手家電メーカーのリグは違います。いやいやIC-502だって十分素晴らしいデザインです。笑
本機は非常にキレイな個体でした。オーナー様の愛情が伺える逸品です。サイドのベルト固定金具とマイクフックはメッキが劣化しやすい箇所ですが、ブツブツも無く光沢を維持しています。全体をチェックしてゆくと、フロントパネルのレタリングが一部剥がれているのを確認しました。上蓋はナイラッチを外すだけで簡単に着脱できますが、下蓋はビス留めされたバーを外す必要があります。3個あるネジの一つを外したら、バーの端から3cmがポロッと落ちました。割れてしまっています。後ほど補修しておきます。
早速電源を入れてみます。「キューン」という発振音が響きました。揺らすと収まります。VFOシールドに振れると再び発振しました。本機はバリコン周辺の造りがあまいんですね〜〜。自己所有の個体も同じ症状に悩まされたことを思い出しました。VFOの出力波形を観ると写真の様に歪みが観られます。シャーシとシールドのアーシングポイントを磨き、シールドの蓋を半田付けしたところキレイな波形になりました。素材の影響も多分にあるのですが、ドリフトは多めです。これは本機の癖ですね。続いて気になったのは送受周波数のズレです。こちらを精密調整しました。周波数カウンターはVFO周波数直読の為、ほぼ合っています。送受信IFのフルトラッキングを実施し、送信出力、受信感度とも申し分ない状態に調整しました。出力は無調整(CW)で8W近く出ていましたが、コレは出過ぎです。貴重な2SC1969の状態維持やドリフト対策的にも定格内に抑えておくべきでしょう。キャリアポイントがCW基準で調整されていたので、USBの帯域中心付近でピーク出力となるよう調整しています。受信感度はSSGの測定限界たる-140dBmで復調確認しました。これは意外でしたね〜〜。
47µF、100µF、220µF、470µFについてサンプリングしたところ異常はありませんでした。(サンプリング部品は交換)半田面にクラックが出ている箇所がありましたので半田を打ち直しています。先程の割れたバーですが、ビニール系接着剤で接合したあと、セラミックコンパウンドでバリ取りしました。パット見では判別できないレベルに修復できたと思います。
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【ご依頼内容】
- 総合調整
- 故障箇所修理、劣化部品予防交換
以上について修理・作業を承りました。
【工数】
上記作業に工数3.0を要しました。(総合調整、交換、検証、洗浄・清掃、着出荷、起票、その他)
【交換部品・使用ケミカル剤】
- 小中容量ケミコン ×4
- 補修用ケミカル剤
- 外装洗浄 シリコンスプレー 少量
- 基板修復 レジスタ 少量
FT-847M 入場中
FT-847が2台入って来ているようです。ラボにはメーカーにて50W化済の個体が上がっています。こちらは430MHzの出力が低下したとのことでした。外装はかなり草臥れている感じが否めません。確かに430MHzは20W弱しか出ません。本機は430MHzも50W出るはず・・。中を開けてこれまったビックリ。埃がギッシリ詰まり内部ファンは完全にロックされています。(汗)こちらオークション落札品とのことでした。本機も20年選手ですので、環境によってはこういうこともあるのかと・・。それにしても凄いなぁ。 V/UのPAが収まっている最上段のスピーカーがついている上蓋を開けました。素子が確認できないほど埃が堆積しています。コイルは完全に埃がコアになっています。汗 隣のRFユニットも雪化粧ならぬ“埃化粧”です。この調子だと、基板とシャーシの隙間もギッシリ詰まっているとみて間違いありませんん。エアダスターでブロアーしたところ、ラボ内が埃に包まれました。ひえ〜〜〜〜〜〜〜 この状態では流石に前に進めません。先ずは手が入る箇所から徹底的に埃を除去します。もはや掃除機は役立たず、屋外でエアダスター攻撃を実施しました。HFのPAは中層にあり、ここまで手を入れると工数的に作業が間に合いません。エアダスターでリヤとフロントの両側から徹底的にエアダスターを吹き込み、大量の埃(塊り)がゴロゴロ出てきました。因みにHF〜144MHzまでは正常に出力します。V/UのPAは歯ブラシとモールで隙間の埃も全て除去しました。ご覧の通りです。正面上から見て左側(外側)がUHFの回路ですが、ファイナル(2SC3102)の羽根が錆びている様子が確認できました。大量の埃に結露した水分が錆させたのでしょう。オシロをで確認したところ、ドライバのパワーモジュールのOut側波形がIn側の振幅より小さくなっているのを確認しました。VCCは正常に掛かっています。このモジュールは壊れやすく当ラボでも何度か交換していますが、20年前にディスコンしています。類似スペックのモジュールが存在しますが、国内では入手不可です。既に海外のサプライヤもストック分だけで、近い将来完全に入手不可となるでしょう。タイミング的にギリギリでした。ドライバは必須ですが、ファイナルについても交換が妥当を考えます。その他について動作状態にありますが、これだけ埃堆積が顕著だと他のユニット(基板)の錆発生などを懸念します。FT-847はヤエス製無線機の中でも特に評価が高いですね。引き続き対応させて頂きます。
ICF-2001D 入場中
先だって”Voice of JAPAN”をC/Oしましたが、今回は同期検波の2001Dであります。Error 3表示が頻発します。原因は幾つか考えられますが、何れもCPUに主電源の4.5Vが届かない時に起こります。電源端子からメイン基板へは4.5Vが届いており、CPUのある制御基板に届かない様ですね〜〜。時々電源が入るのですが、安定しません。フラットケーブルも怪しいのですが、取りあえず導通しています。幾つか不具合箇所を見付けました。AM/FM検波ICに繫がるセラミックフィルタです。毎度ココはチェックしますが、ムラタ製のCFがダメになる傾向にありますね。これは2001Dだけでなく7600も同様です。こちらは在庫がないので取り寄せます。も一つは同じICの9番ピンとGNDの間にある0.01µFです。何故か割れていました。こちらは少々時間が掛かりそうです。
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今週はココまでです。来週末は3連休なので、仕事が詰まりそうです。ガンバリま〜〜〜す。
- Aperture: ƒ/1.8
- Camera: iPhone 8 Plus
- Focal length: 3.99mm
- ISO: 100
- Shutter speed: 1/13s