APB-1200A ご出場 【2020/08/21】

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 おはようございます。盆休み明け初投稿になります。益々厳しい残暑の最中、コロナ禍も第二波真っ只中です。皆さま呉々もご自愛ください。

 公には“夏休み”ということになっていましたが、こちらは宅ラボでの修理ワークに勤しんでおりました。コロナ禍で再燃したB級オーディオ収集(癖)について、固定ページに纏めたので興味がある方はお立ち寄りください。マッキントッシュなどA級突き抜け系のアイテムはゼロです。スピーカーも小型のブックシェルフを未だに使っている始末。コレで十分楽しめています。シャックの不要無線機の段斜里が終わってからですね。な〜んて書きながら、今週も一台ポチってしまった。ポチったら一台手放すというルールは必須ですョ。あっ、ココにご来場頂いているOM諸氏も無線機に埋もれるような生活をされている方が多いはず!。笑 

新たに加わったB級オーディオコレクション

 そんなわけで今週ポチったのはソニーのTC-D5Mでありました。ハイエンドの方々はまず見向きもしないアイテムでしょう。恐らくコレに惹かれる御仁はアラ還暦±10年くらいのソニ男(w)です。本機は1982年から2006年まで製産され続けたソニーのウルトラロングセラー機です。常に頭の片隅にありながら気付けば製産中止になっていました。近年のカセットブーム再来で再評価されたのかY!オクでの価格も高騰気味。ハイレゾ主流の21世紀に今更カセット??とお思いになるでしょう。そんなこと言ったら、スマホ全盛の時代に「アマチュア無線」の方がインパクトありそう。何れも単なる懐古主義ではなく、“時間に余裕が出来た人達が動き出している”っちゅ〜ことです。因みに今回即落したTC-D5MはコンディションCランクでした。商品説明にC120テープ使用時にシャットオフ発生との記載があり、それを承知の助でポチりました。商品が届いてコンディションを確認するとC120を使って停止するような挙動は観られませんでしたが、確かにテイクアップ側のトルクが弱いです。というか、TC-D5系って昔から巻き上げが弱いことで有名でした。DC6V(電池の場合は3Vを内部のデコデコでアップ?)で動かしていますから、モーター自体もトルクが出ないのは致し方ないところです。その為、REW/FFについてもギヤ比が高めの設定みたいですね。テクニカのカセット型消磁器を入れたところリールが回りませんでした。消磁器のリールとギヤにシリコンをスプレーしたら回るようになりましたけど・・・。手持ちのC120数本については全く問題無く再生できました。アジマスもややズレていますね〜。315KHz/200nWbのテストテープを再生してみると、L側がやや大振りします。VUメーターでも明らかにL chがオーバーします。早速プレイバックバランスを調整しました。無線機調整用に使っているミリバルは針が一本の普通のタイプですが、オーディオ調整時にはこの様な連針タイプ(2ch)を使います。アジマスは10KHzテープを再生してオシロのXYモードで位相を観ながらO度を出しました。やはりズレてる。整備済の中古機とのことでしたが、全く無整備状態だなぁコレは・・・。最後は昔ながらの方法で聴感による補正を行いました。テスト用のミュージックテープを再生し、ステレオとモノラルを切り替えながら再生します。この時にシンバルの音が同じならアジマスはOKです。単純に10KHzの位相ズレだけで調整してしまうと、テープパス異常やバックテンション低下によるヘッドタッチを見落とす可能性があるからです。ミラーテープで事前にパスチェックすることもお忘れ無く! 録音済テープを何本か再生してみて上記の様な位相モニターをやってみてください。変化がある場合は、バックテンションを少々掛けてやるとヘッドタッチが改善されて位相がピタリと出る様になります。テープオーディ全盛時代のアンプにはモノラル・ステレオ切替がありましたが、CD以降は位相チェックの必要性は皆無となったため、モノラルモニターができません。ラインケーブルでL+R短絡させるか、ステレオ・モノラル切替SW付きのラジカセでモニターすると良いでしょう。因みに小生は後者です。上記の様な整備はカセットオーディオには必須ですね。一通り調整してTC-KA5ESで録音したMJQのCDコピーを聴いてみました。大満足の再生音です。公称のワウフラッター値は0.06ですけど、0.05のTC-WR965Sより安定している感じ。今回は即席メンテで録音側は未チェックです。そもそも録音に使う予定はないのですが、せっかくなのでフルチューンして何か録りに行こうかな。。。ガラクタ箱からステレオマイクも出てきました。本日のブログ執筆は本機にヘッドフォン(勿論ソニーMDR7506)直付けで、♪♪軽快な北村英治でスイングしながら書いてま〜〜〜す。このテープ1980年頃に録音したものです。40年経っても良い音出ています。Lo-DのD-90Sで録った様ですが、これもまた良いデッキでした。

着荷早々に分解ww
PBバランスが悪いので調整
オーディオ機器の調整には2chミリバル(連針)を使う
C120も特に問題ナシ

ご出場

 キャリコン故障で動作しないとのことでお預かりした430MHzのアンプです。既に一月以上経過しておりました。納期ギリなので盆休みはほぼコレの修理で潰れました。整理しますと、キャリコン部がパターン焼損を含めズタズタの状態、恐らく発振が原因ではないかと思われます。回路図がないので手探り修理しましたが、本機はTHPや他の無線機メーカーとは全く異なる思想で設計されていて、驚きの連続でありました。入力10Wに対して100Wが得られる定格性能をもちますが、ナントRF回路は無調性構成となっており、トリマーコンデンサの類は一個もありません。ドライバとファイナル(プッシュプル)には一つのパワートランジスタからバイアスが供給されており、アイドリング調整も全トランジスタに対して一箇所のみです。即ち、石のゲイン任せでラフな設定で強引に出力させてしまっているのです。MRF646、MRF648の諸元をみると、かなりポテンシャルに余裕がありました。ということは発振のオンパレードとなる可能性が極めて高く、現にキャリコン周り、バイアス周りの石には必ずFBが装着されています。調整という手間を省くことに最大限注力した結果でしょう。この発想は凄いと思いました。無線機屋の発想でこうなるとは思えません。この会社の経営者は相当なやり手だったのかと。。。早々にアマチュア無線から離脱したのも先見の明?? 与太話はさておき、本題に戻りましょう。やはり故障は発振と思われます。バイアスドライバからVCCがだだ漏れしていました。本機の様な回路構成だと、逆に冗長化したプロテクションをもたせないと一瞬で基板が火の海になりますね。ドライバ段の発振→バイアス回路破損→ファイナルプッシュプル焼損というプロセスではないかと思われます。結局、パターン焼損について目視確認できない箇所が多い為、交換予定以外の50%近い部品を基板から外しました。同軸リレー3個についてはソレノイドの接点洗浄も実施しています。写真の通り、基板はスッカラカンです。幸いにもパターン焼損箇所は従前に確認・修理済の箇所だけでした。部品を装着する前に基板のレジスタの塗り直しをやって発振しそうな箇所をマークしておきます。回路図が無いのでカップリングコンや発振止めのチップについてはデータシートから類推して定数を決めました。MRF646(ドライバ)側は50Ωで入ってくるため、十分にインピーダンスを落とす必要があります。ストリップラインのパターンが短いので、恐らく10pF位で落としておけば良さそうです。コレクタ側は39pFの500V耐圧を二個パラで装着しました。ドライバからファイナルのプッシュプルへはピーダンスが半分以下になるので、同じく39pFをベース・コレクタ両側にパラで抱かせました。この定数でピタリと決まった様です。ドライバとバイアス・トランジスタは見積に入れていなかったので、泣くことにしました。お待たせしているので仕方ありません。バイアストランジスタは社内に在庫があったので助かった。。。FBだけでは心もとないので、数カ所に発振止めを打っておきます。アイドリング調整ですが、ドライバ段に相当負荷が掛かっています。前述のように個別にIcqを調整できない為、ドライバのマージンを考慮した設定にしました。ファイナルはP/Pで放って置いてもパワー出ますので・・。それでもドライバは発熱気味です。書いた通りRF回路はバイアス以外に調整箇所がありません。試験は5W出力のFT-817NDで行いました。定格は入力10Wで100Wでる設計です。ナント、90Wも出てきます。10W入れたらどうなっちゃうんでしょう。リニアリティを確認すべく、0.5Wで押してみたところ、3Wの出力がでました。キャリコンも正常に動きます。下はもっとスカスカかと思っていたのでビックリです。FT-991を繋いでパワー入れてみました。8W過ぎるとリニアリティが低下します。それでも150W近く出てきました。石のセーフティーマージンを考慮するなら5W程度で使用するのが良いように思います。スプリアスまでは弊社で保証できませんから、くれぐれもご注意ください!!  フィルタ通しても基本波近傍に寄生するスプリアスの抑制は不可能ですので・・・。エキサイタはクリーンなTRXが必要ですね。技適対象外(落成検査必須)のアンプですので取扱には呉々もご注意願います。

結局部品の多くを撤去してパターン焼損を確認する羽目に
同軸リレーのソレノイド接点も洗浄
レジスト塗り直し
基板表面のリフレッシュも完了
MRF646入力側のC位置をストリップライン側に移動
良い具合に仕上がってきた
取りあえず5W入れてみる・・
90W出てるし!!

【ご依頼内容】

  1. キャリコン故障(STBYしない)
  2. キャリコン修理後に付随する不具合修理

 以上について修理を承りました。

【工数】

 上記作業に工数5.0を要しました。(故障箇所特定、調達、交換、基板修復、調整、検証、着発送、起票、その他)

【交換部品・使用ケミカル剤など】

  • MRF648MP(特性選別品×2) ×1ペア
  • MRF646 ×1 ※サービス
  • 2SB596 ×1 ※サービス
  • 2SC2102×2
  • 1N60 ×1(1K60代替)
  • チップコンデンサ×12 ※サービス
  • レジスタコート剤 50ml
  • エタノール 少量
  • 無洗浄フラックス 少量


 これからIC-775DXⅡの検査です。トリオ310ラインはジックリメンテナンス中です。週明けくらいに第一報をお届けできればと思います。昨夜より修理の受付を再開しました。年内のキャンセル分のみの受付です。既に沢山のお申し込みが入っていますが、内容精査の上お返事させて頂きます。少々お待ちください。m(_ _)m 

 尚、9月1日からは来年1月以降の修理作業枠の受付が始まります。

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