FT-1000MP ご出場 / MX-7S ご出場 / IC-21 ご出場【2020/04/16】

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 気温が上がったり下がったり、コロナに関係無く体調崩しそうです。今日は暖かくなりそうな丘の横浜からご挨拶!

 厚労省の諮問委員会が国内の“感染者予測85万人、内40万人が死亡するかも・・”などという恐ろしい発表がされました。趣味に興じている場合じゃありません。しかしアマチュア無線は籠の鳥状態でも楽しめる趣味であります。ストレス貯めるくらいなら発散しましょう!! 首都近郊は昼間も人気が疎らになってきました。数日前までラボ前の公園で遊ぶ子供の声が聞こえていましたが、一昨日くらいから静かです。都内の地下鉄では一席間隔で座席を空ける無言のルルールが定着しつつあるそうです。それでも通勤ラッシュは相変わらずです。こういう時は自転車通勤がイイですね。東日本大震災の直後は都内の幹線道路に自転車が溢れかえっていました。それはそれで危険かな・・・。

  ラインの都合で順番が前後しています。真空管機のTS-830Sの作業に着手したところですが、FT-102はこのラインが空き次第着手します。小型中型機は宅ラボを含め、各担当エンジニアのリモートワークにて対応中です。この後ご報告するの動画は弊社エンジニアのSuper Aさんがリモートワークにて対応してくれています。撮影もAME Labo.で実施しました。


ご出場

 こちらは横浜事業所の第二ラインで実施しました。送受NGのFT-1000MPです。突然聞こえなくなり、送信したらHi SWRになってしまったとのことです。送受NGとくればPLL異常を疑うところですが、どうやらハード的な故障みたいですね〜。 

 まずは受信からチェックします。ANT端子にSSGを繋いで信号をいれたのですが全く聞こえません。プリアンプが逝かれている時はプリON/OFFで確かめることができますが、今回はIPO(八重洲の場合IPOオンでノンプリ状態)を切り替えても全く聞こえてきません。50dBµVと比較的に大きめの信号を入れても全く聞こえない! しかしVRを上げて耳を澄ますとサイドトーンが微かに聞こえています。続いてFT-817を側に置いてHFテレスコピックANTからCWキーダウンしたところ、S3前後で信号復調が確認できました。どうやらRF〜LPF〜ANT辺りでトラブっている様です。RF RX端子のジャンパを外して、SSGから直接インジェクションさせましたが信号は確認できません。ユニットを撤去して怪しい箇所を直接テスターで検査したところ、アッテネーター直下のPINダイオード(1SV196)の極性導通が確認できません。ここは裏面(半田実装面)です。アッテネーターのSWダイオードは壊れず、こちらがアウトになってしまったのは??ですが、強電界に晒されたことは間違いなさそうです。1SV196を交換したところ受信機能が回復しました。

 続いて送信系のチェックです。Hi SWRが出たとのことですのでカップラーから後ろで発生している異常を疑いました。カップラーはLPFユニットのANT側にあります。似た回路構成のMarkVの場合、後ろの受信切替リレーの故障で発生するトラブルですが、1000MPの送受切替はオーソドックスな送受リレーで少々事情が異なります。PAからLPFを切り離して終端計に直接繋いでも出力しません。「ファイナルかドライバが逝ったのか?」IF〜RFユニットからは出力が確認できました。PAのプリドライバから先に信号が出ていません。????です。ナント、VCCが掛かっていません!! PAの電源はファイナルとドライバのVCCのみ13.8Vが掛かっていて、各ステージのバイアスはTX9V(送信時にのみ9Vが掛かるライン)から供給されています。このTX9Vが来ていないことが判明しました。回路図を追いかけると、TX9VはCTRLユニットのプロセッサから発出され、ALC〜LPF〜PAと回ってきます。CTRLユニットからは正常に出ていることを確認・・。ALCユニットで寸断されていることを突き止めました。TRV スイッチの仕業でした! このTRVスイッチは回路図に記載がありません。取り説を熟読すべきでした・・・。汗 TRVスイッチをオフにするとANT端子から出力されない仕組みですね。まさかこんな場所がオフになっているとは・・・。しかし、この状態でHi SWRになっていたといのうは何故でしょうね〜〜〜〜。スイッチを元に戻したら正常に出力しました。キチンと100W+出ています。

さ〜てどこから手を付けるか
やはりRFユニットだよな!(←既に取り外しているしww)
ここか・・(どこ?)
ここだって!! (え??)
ここ〜〜〜〜!! (あ、焼けてる)
こいつです(1SV196)
送信できないのはTRVスイッチがONになっていたから!
バッチリ出てます!
D1033が焼損
TRVスイッチは記載されていない(Tラインに注目) 汗

【ご依頼内容】

  1. 受信不具合
  2. 送信不具合

 以上について修理・作業を承りました。

【工数】

 上記作業に工数3.0を要しました。(故障箇所特定・調達・交換・調整・検証・起票・その他)

【交換部品・使用ケミカル剤など】

  • 1SV196 ×1
  • アルミット半田
  • パーツクリーナー
  • シリコンスプレー(フィニッシング)


ご出場

 宅ラボで作業しました。ミズホブランドを継承したSATEC社製のMX-7Sであります。ピカピカの個体が眩しい・・。受信不安定とのことです。拝見したところ、VFOに触れただけでキュルキュルと発振音が鳴ります。これでは目的の信号に同調させるのは厳しいデスね。この症状ピコシリーズではお馴染みみたいです。バリコンに貼り付いているシールドを兼ねた銅板とシャーシが容量結合しているんですね。本来蓋側にキチンとアースされていなければならない場所ですが、何故か裏側まで塗装されていて銅板のアースが浮いてしまっています。裏蓋の一部をヤスリで削り地金を出しました。銅板側を少し引き出して時金が出ている部分に当たるように調整しました。発振は収まり、キレイに信号を復調するようになりました。

 送信・受信とも極めて安定しています。出力も2Wキチンと出ていますね。本機特有のキャリア漏れもありません。工数1.5ですと通常は動画撮影を行いませんが、状態確認に必要ですので特別に撮影しました。

ここが浮いていた
蓋裏の地金を出してアーシングを確保

【ご依頼内容】

  1. 受信不良

以上について修理・作業を承りました、

【工数】

上記作業に工数1.5を要しました。(故障箇所特定・調達・交換・調整・検証・起票・その他)

【交換部品・使用ケミカル剤など】

なし


IC-21 ご出場

 こちらはAME LABOのテレワークです。ご自身でメンテ中に送信NGとなったそうです。拝見したところ半田クラックの他、幾つかのケミコンが膨張し容量異常が観られました。また、AF VR、SWR SET、MICGAINに大きなガリがあり、VR内部を分解してカーボン皮膜(抵抗体)に附着したメッキ屑を直接除去しました。SWR SETとMICGAINについては施工しても症状が収まらず、CAIG デオキシットを大量注入して洗浄しました。出荷時テストにおいては良好な状態になっていますが、恒久的に状態を維持することは不可能です。ご予算のキャップが掛かっているので制限工数内で可能な限りの作業をさせて頂きました。マイクPTTスイッチも不安定だったため分解清掃・洗浄しました。その他接点類、スイッチ類、ツマミ、外装などの清掃・洗浄を行いました。

 結果、送信可能状態に回復し、受信もFMで-130dBm付近で復調することを確認しています。新品とまではいきませんが、十分実用に耐える状態に戻っていると思います。

リレーを分解洗浄
 470µF容量抜け顕著 周辺の220µF、47µFも熱源に近いので予防交換
ケミコン3本交換
ロータリースイッチ洗浄
VR分解洗浄
カーボン皮膜メッキ屑取り
ツマミ類超音波洗浄
マイクPTT スイッチ不具合修理

【ご依頼内容】

  1. 送信不具合

以上について修理・作業を承りました。

【工数】

以上の作業に工数2.0を要しました。(故障箇所特定・調達・交換・調整・検証・起票・その他)

【交換部品・使用ケミカル剤など】

  • 470µF /25V ×1
  • 220µF /35V ×1
  • 47µF / 16V ×1
  • パーツクリーナー 200ml 
  • CAIG デオキシット D5 150ml
  • エタノール 50ml 
  • アルミット半田


只今、Drake R7とFT-680、AR-7030Plus(その2)を検査中です。HL-250Uに使用する部材は東京税関を通関中です。

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