FTDX-401 ご出場 / HL-250U 作業リセット/ IC-R7000ご出場【2020/03/19】

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 こんにちは。今日も暖かい横浜です。明後日は春分の日。庭の桜は満開です。4月の入学式はどうなるんでしょか・・。憎きコロナめ!!

黒田さんの差入れ! ご馳走様です!!!

 昨日は「ハムワールド」編集部の黒田さん(元ヤエス無線)が来てくれました。半年ぶりくらいかな? 久しぶりに業界ネタで大いに盛り上がりましたが、彼のライフワークたるRC系の話も・・・。RCと言えば昨今はドローンですね。弊社はドローンの制御系プログラムや教習プログラムなどを放送局に納品しているので興味津々であります。「修理記事書いてよ!」と頼まれたのですが、趣味でやられている気合いの入った修理記事の中に、素っ気ない商売絡みの修理記事を寄稿すべきなのか悩ましいところです。黒田さんはヤエス無線の営業担当としてご活躍され、業界内では知らない人はいません。実は元エンジニアなので修理ワークにもお詳しいのです。昨日は接点復活剤の使用法について議論しました。笑 やはりアルコールが万能だよね! 昨今、新コロナの影響で入手困難、まぁメチル(燃料アルコール)でもいいですけどね。何となく・・・・。

 ところで、趣味系の修理記事にS社やK社の接点復活剤を多用するシーンが散見されます。我々プロは殆ど使いません。某誌のFT-101修理記事に接点復活剤でロータリーSW群にガンガン吹き付けることを推奨する様な件があったそうです。接点復活剤には金属粉などが含まれる鉱物油と混ぜて接点不良箇所に吹き付けることで導通を回復させます。接点洗浄効果をうたっている製品がありますけど、“洗浄”と“復活”は相反する効果です。プロの手順として、エアダスターで内部の埃を吹き飛ばした後、洗浄はエタノール使用を最優先します。エタノール使用が困難なVR内部や油脂・カーボン除去には石油溶剤を使用します。但し発熱が顕著な部品には絶対に使用しません。例えば、真空管に石油溶剤が付着すると異常高温になり破裂することがあります。トランジスタなど発熱が顕著な部品も故障リスクが急上昇するのは言うに及ばずです。ですから使用する際にはペーパーウエスで余計な箇所に浸潤しないように配慮します。話は戻って、ロータリーSWに接点復活剤を使うとどうなるか・・・。接点が剥き出しになっている箇所に粘性の強い薬剤を吹き付けてしまうと、筐体内に漂う埃チリがどんどん不着していしまい、結果的に接点部の摩耗を進行させてしまいます。接点復活剤はプラグ・コネクタの導通回復やVR内部の剥がれ掛けた抵抗体の一時的修復には有効ですが、空間に晒されている接点には使用しないというのがエンジニアの常識です。因みに当ラボにはスプレータイプの接点復活剤はありません。CAIG のデオキシット D-100Lというハケ塗りタイプの接点復活剤のみ使用しています。スプレー缶タイプは使いません。当ブログでも度々登場しているのでご存知の方も多いでしょう。メーカーや放送局でも使われています。コイツが優れているのは、メッキ膜とベースメタルの間に浸透して融着を促進させるからです。真空管機のロータリースイッチなどは接点のメッキが腐食しているケースが多く、これ以外の術は無いと言っても過言ではありません。再メッキには及びませんが、ホームセンターで売られている各社のコンタクトクリーナーではなし得ない唯一無二の接点復活剤と言えます。因みに石油系溶剤とはホームセンターでお馴染みのK社のクイックドライクリーナー、パーツクリーナーなどが身近な製品です。クリーニング屋さんの臭いがする薬剤ですが、ドライクリーニングに使われているのも同じ石油系溶剤です。当ブログ頻繁に登場するCAIG デオキシット D-5は石油系溶剤の最高級品です。こちらは速乾性ではないためジャブジャブ洗いたい時に使います。本当に油脂やカーボンがよく落ちますが少々高価です。間違ってもポリ・バリコンに附着させてはダメですョ。乾いても使えなくなる可能性大です。お気を付けアレ!!

まずは吹き飛ばし!!
フラックス除去など基板洗浄の必需品(右はメエタノール、左はメタノール)
油脂・カーボン除去には石油系溶剤(速乾系・非速乾系を使い分ける)
ラボで唯一使用する接点復活剤 唯一“プロユース”と言える製品

ケミコン全数交換は出来れば避けたい

 メーカーや我々修理専業業者はケミコン全数交換は例外を除いて殆どやりません。シロウトさんの記事にケミコンを全数交換されたという記事をよく目にします。正に“下手な鉄砲数打ちゃ当たる”的な処置です。基板は何度も繰り返して部品着脱出来るように造られていません。皆さんも同じ箇所に何度もコテを当てて基板が炭化・パターンが剥離してしまったという経験はありませんか? コストの問題では無く、基板保護の観点から無駄な部品交換は避けるべきです。パスコンなどに使用される小容量ケミコンはDC絶縁が確保されていれば、まず大丈夫です。我々が注視するのは熱源近くに設置された22µF以上のケミコンや、電源ンラインにぶら下がる100µF以上の中容量ケミコンです。これらは高負荷に晒されているため、通常のケミコンよりも劣化が早いからです。無線機の場合レギュレーター付近、オーディオアンプ付近、インバータ付近、LCD裏のケミコンは要注意です。これらは積極的にサンプリングします。耐用年数が10年と言われるケミコンですが、50年前の無線機に装着されているケミコンをサンプリングしても小容量のパスコンはESR悪化もなく、容量も誤差範囲内にある場合が多いんです。因みに新品ケミコンの容量を量ると表記容量よりも1割強低めに表示されます。数十時間エージングすると規程容量に近づきますのでご安心下さい。偶に袋売り(100個で500円とか)しているケミコンがありますが、この手の部品は避けた方がいいですョ。以前お客様のご厚意で100µFを数百個寄付して頂いたことがありますが、容量を測定したらサンプリングした個体全てが50µF付近を示していました。「47µFとして使えば良いじゃん!」って言われそうですが、実際にエージングしたらどうなるか判りません。容量違いのケミコンに100µFのプリントを巻いてしまった可能性はあります。仕事には使えませんね。 

 冒頭で「例外を除き」と書きました。例外とは、製造から20年以上経過した無線機のOHを指します。一般家電製品の寿命は10年と言われています。補修用性能部品のストック義務も8年です。やはり無線機って特殊な製品ですよね。無線機メーカーの営業担当の嘆き文句に「アマ機業界で5年前は最近・・」というのがあります。5年前に買った無線機は「最近買った無線機」と同義なんだそうです。クルマでも10年経つと乗り換えるのが普通です。最近はクルマも長持ちするようになりましたけどね・・・。アマ機の場合、20年選手なんてザラです。しかし部品の多くはスタンダードグレードで、ケミコンの多くは85℃上限の標準品です。恐らく使用環境としては他の家電製品とは比較にならない劣悪下で使われているものが殆どです。ケミコン劣化は避けられませんね。従いまして、フルOHをご提案する際にはケミコン全数交換を見積上限としてご呈示する場合もありますが、基本的には上記の高負荷箇所を中心にサンプリングして、異常が見つかった“同容量・同耐圧・同メーカー製”の標準部品の交換が中心になります。

 黒田さんと二時間ばかり、そんな話をダラダラと語っちゃいました。何のこっちゃ・・。ハムワールド編集部は東横線の学芸大学駅が最寄りです。同じ東急沿線と言えども乗り換え含め、1時間ほど掛かる弊社横浜事業所までお越し頂き、“銀のあん”の鯛焼きまで頂いてしまいました。帰りは小生の愛車で小田急の新百合ヶ丘駅までお送りしました。楽しい一時(お仕事ですね・・・w)をありがとうございます。

ご出場

 怒濤の作業が終わりました。“送受”とも完全アウトだったオール真空管機が復活するのは嬉しい限りです。

(0)作業前の点検清掃

 検査に際し内部の清掃、接点洗浄を実施しました。 特に接点類、真空管ソケットに大量の埃が堆積しており、これらを石油溶剤などで洗浄除去しました。

(1)REMOTE端子キャップの欠損

 VFOが機能していません。確認したところ、VFOの電源はリアのREMOTE端子に延びており、隣のピンには9Vが来ています。REMOTEキャップを装着するこ とで電源を供給する仕組みになっていた様です。キャップを外すと送受とも不可能な状態になります。弊社所有のREMOTEキャップを装着したところVFOは正 常動作しました。

(2)SSB/CW DET 機能不全

 12AU7のスクリーングリッドに150Vが供給されていません。 150Vを供給するリードジャンパの半田が外れていました。修正後正常に動作するようになり ました。(工数 2.0人日)

(3)ファイナル故障

 送信調整可能な状態と伺いましたが、VFOが動作していないため送信状態にありませんでした。これとは別にファイナルの片方がフィラメントリード短絡 を起こし使えない状態です。お客様が動作試験された時点では使用可能であった可能性もございます。二本は並列にヒーター回路に繫がっており、片球を外 せば片肺状態で動作はします。 残存球についても異常発熱を起こした痕跡があり継続使用は困難です。未使用管二本と置換しました。

(4)全体的な感度低下

 上記(1)(2)を処置して、IF・RFをトラッキングしましたが、規程の感度に上がってきません。 RX AMP、2ndMIX、IF AMP、AF AMPを交換し、AF 電源部ケミコン、主電源部チューブラコンデンサ、IFカップリングコンデンサなどを交換しました。複数箇所の半田不良箇所を修復しました。また、RFコイ ル(21MHz用)1本のコアが固着し調整が困難でしたので、交換しました。

(5)メーターケースのひび割れ

 リビルト(再生)品と交換しました。

 送信出力はPEPで150W以上出ています。トランスが若干磁器飽和している感じがしますが、100W程度なら問題ないでしょう。50年選手ですので控えめにドライブしてあげてください。フルデューティーは禁物ですよ! 爺様ですからね。 それにしても受信イイですョ!! 耳が疲れない。正に真空管オーディオですなぁ。

VFOトラッキング開始
ホット状態で作業します
パワー出てます!
Fパネルの汚れも除去
光っている半田面は全て再半田箇所
リアPも研磨洗浄
真空管ハウスはスリットタイプの上蓋に交換(放熱効果を期待)
Ic=0.2Aで150W(pep)出る。連続送信は禁物

【ご依頼内容】

  1. 送受不可 

 以上について作業を承りました。

【工数】

 上記作業に工数5.5人日を要しました。(故障箇所特定・調達・交換・調整・検証・起票・その他作業を含む)

【交換部品、使用ケミカル剤など】

  • 6KD6×2
  • 6BA6×2
  • 6BZ6×1
  • 12AU7×1
  • 470μF/35V ×2
  • 22μF/25V ×1
  • 1μF/25V ×1
  • 1000μF/250V ×1
  • 0.01μF/3Kv ×4
  • Sメーター(RB)×1
  • REMOTEキャップ(RB)×1
  • エタノール 少量
  • CAIG デオキシット D-5 
    ※ RB表記は 再生部品を


HL-250U 作業リセット

トランジスタホールの右側(ベース)パターンがGND側に寄っているのが目視できる

 またまたトラップに足を掬われました。ドライバ段のアイドリング調整中に2SC3102を立て続けに2個昇天させました。汗 アイドリング調整ですので当然RFは入れていません。VCCに13.8Vを加圧した状態でバイアス電流を流します。VCCに流れる電流を測定してアイドリングポイントを決めます。アイドリング電流は100mA程度と決めていましたが、目を離した隙に暴走して一気に昇天です。完全に発振しています。発振防止用の39pF×4はMouserさんか高耐圧の良品を仕入れているため問題ないはず・・。片手でアイドリング調整VR、もう片手はスタンバイ回路を即切断できるようにリードを握っています。第三の手は浅利さんがRFプローブを石の真上でスタンバイ・・・。アイドリングが流れ始めると異常発振が始まります。やはり、何かがおかしいです・・・。装着した石を撤去してネットワークアナライザでストリップラインを測定しました。430MHzのリニアは頻繁に同じトラブルに陥りますが、基板から残存部品を含めた全数撤去を行うケースなどまずありません。ドライバのベースパターン上で明らかな容量性の反応を確認しました。目を凝らして見ると、ベース側パターンが僅かにGND側に寄っている箇所を見付けました。恐らく製造ミスでしょう。ここを修復しないと幾ら石を交換しても飛ばしまくりますね〜〜。石も使い切ってしまったので、サプライヤにオーダーしました。シンガポールのサプライヤは深圳の倉庫から送り出していることが前回判明したので、いつ届くかわかりません。保険を掛けて北米のサプライヤにもオーダーしました。UPS Ex Saverでオーダーしたのですが、空港で足止めを食らってます。納期が全く見えません。痺れを切らしたオーナー様より納期の問い合わせが入っています。本当にごめんなさい。諸事情が重なってます。m(_ _)m m(_ _)m


ご出場

 広帯域受信機 IC-R7000が久しぶりに入っています。こちらは“感度不足”、“キーパッドの粘り”、“電池交換”をご所望でした。

感度不足について

(1)50MHz〜750MHz -10dB程度感度不足、750MHz〜 -20dB程度感度不足を確認しました。 BPF各ステージの調整を実施しました。150MHz付近に素子劣化と思われる感度不足を確認していますが、現状では調整で補間可能です。 全受持周波数の感度確認・調整し、IF・RF・トラップ回路のトラッキングを実施しました。基準周波数の762MHzでS9=-67dBmとなるようにメーターを調 整しました。
(2)AF音にケミコン劣化と思われる歪みを確認しました。 AFアンプ周辺の電源ラインに使用される470μF×3、220μF×1をサンプリングしたところ、容量抜け・ESR低下を確認したので交換しました。
(3)各バンド周波数の離調を確認しました。
2nd Local、3rd Localが離調していたため、規程周波数に調整しています。VCOロック電圧を正常値誤差範囲内に調整しました。
(4)FMセンターがズレていました。DISC機能(METER C位置)が離調していたので規程値に調整しました。

キーパッドについて 

 タクトスイッチ群のチャタリングを確認しました。全12個あるタクトSWの分解洗浄は金属疲労・工数超過の恐れがあり実施は困難なため、石油溶剤漬けに したペーパーウエスにタクトSW群を上から被せて漬け込む策としました。内部に溜まったカーボンや油脂汚れはある程度除去できたため、施工前よりも発生 頻度は低下しています。タクトSW内部のバネ緩み等で接点接触時にチャタリングを発生させているものと思料します。これ以上の改善にはスイッチ交換を 要しますが、補修用部品は全て製産中止しており入手調達が困難です。

電池交換について

 プロセッサユニットのCR2032羽根付き1個の電圧を確認したところ、規程値3.0Vに対して2.8V程度と僅かに目減りしていました。新品の羽根付き電池と交 換しました。

VCOの出力を調整中
こちらも問題ナシ
3rd Local(FM)大ズレ→
規程値へ調整
2nd Localアッパー
アッパーを規程値に調整
3rd Local ロワー
再度局発出力をチェック 問題ナシ!
BPF4箇所の調整に着手
本機はTcの調整はなく、バリキャップのバイアスをVRで調整
470µFのはずが・・
正常新品の場合(ESRも低い)
この辺のケミコンを換えた(マーキングの箇所)
電池を予防交換
今回交換したケミコン
修理完了

【ご依頼内容】

  • 受信感度不足
  • テンキー入力異常
  • メモリ電池交換

 以上について修理・作業を承りました。

【工数】

 上記作業に工数4.0を要しました。(故障箇所特定・調達・交換・調整・検証・起票・その他作業を含む)


 今日明日は起票作業に没頭します。来月から横浜第二事業所を開設する関係でリソース確保翻弄中です。

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