FR-101DD ご出場 / FT-920 診断終了 / IC-741 診断終了【2020/02/05】

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 おはようございます。快晴の横浜、気温は平年並みであります。相変わらずマスク不足で困ってしまいますね〜。小生の場合、作業時に着用しています。医療用や業務用のストックも枯渇している様です。

 コロナウイルスでアジア中が大パニックになっています。報道が益々過熱する中、巷からはマスクが消えてしまいました。最初は「お一人様一点まで・・」などの購入制限でしたが、いよいよマスクそのものがドラッグストアから消えてしまいましたぁ。駅の売店やコンビニも同様です。半田を扱う作業場なので防毒マスクは必須なのですが、防毒マスクの下に使い捨てマスクを挟んでます。特に古い無線機の場合、鉛含有量の多い半田を使っていたり、有毒なフラックスが無洗浄のままだったりするので、素の状態での作業は自殺行為なのです。趣味でチョコッとやるのとは訳が違います。因みにフラックスには以下の物質が含まれます。

  • ピネン
  • ホルムアルデヒド
  • フェノール
  • ジエチルアミン
  • トリエチルアミン 
  • 塩化水素
  • 一酸化炭素
  • カドミウム(一部低温ハンダに含まれる)
  • メチルアルコール
  • イソプロピルアルコール

 出典:「半田付け職人の半田付けblog」 

 糸半田には鉛の他に錫などが含有しています。1980年代以前に自動車免許を取られた方なら覚えておられると思いますが、昔はハイオクガソリンと言えば「有鉛ガソリン」と同義語でした。鉛の毒性が懸念され「無鉛化」されたのは言うまでもありません。免許取り立てで購入した2T-G搭載のTE71レビンは「有鉛」仕様でしたけど。。。(汗汗) 因みに当ラボでは1日の半田付け作業は3時間以内にしています。(働き方改革?ww)話をマスクに戻しますが、弊社でもこんな状況ですから他社さんもエライことになっていると思います。影響は医療や食品業界に止まらすですね。日本から支援物資として大量にマスクを送っているみたいですけど8割が中国製だそうですョ。

 そして調達にも影響が出始めています。こちらは死活問題ですョ。大手のサプライヤーも深圳がサプライチェーンのハブになっているケースが多いです。欧州のデバイス・ディーラーから調達するとシッピングに30日くらい掛かったりします。距離が長ければ時間もコストも増えます。コロナウイルス如きで右往左往の電子業界であります。


FR-101DD ご出場

 ヘビーな作業が終わりました。オーナー様より「意外に早くてビックリ」とコメントを頂きました。溜め込んでいたら仕事になりません。徹夜してでも作業しますョ。皆さんビックリされるのですが、日々10台前後の修理個体がラボ入りします。ヤマト運輸さんに集中管理して頂き、週明けに契約倉庫に着荷した修理品をラボ隣接の物置に都度運び入れます。この物置に保管できる数が10台程度ということになります。長期対応フラッグを上げていても調達上の制約が無ければ体が続く限り作業しないと置き場所が無くなるんです。「おいおい1日3時間じゃないのかよ・・」 修理作業の8割は回路図と睨めっこですので、半田の時間が全てじゃないんですよ。笑 

21MHzを正常に表示中

 が、しか〜〜〜し、本機の場合は圧倒的に半田作業が多かったです。本機に限らず古いリグは「半田不良」「基板劣化」「接触不良」が頻発します。どんなに保管状態が良くても劣化は進行します。半田コテをあてると“パチン”と鳴ることがありますが、部品のリードを半田付けするホール内に空洞が出来ていると、半田コテの熱で空気が膨張して弾けて音が出るんです。更に空洞内に水分が溜まっているとリードが酸化腐食(錆)しますが、そこで接触不良が発生するんですぅ。殆どの場合、弾ける音が出ると半田が陥没します。この症状が一箇所でも見つかると全ユニットの半田劣化が進行している可能性が高まります。当時はリフローとかロボットではなく、パートの叔母ちゃんが手作業で半田付けしているので、個体毎にムラがあるのは理解できますよね。今回修理したデジタルカウンターユニットの動作不良はコレが原因でした。ケミコン類で疑うのは高負荷に晒される場所にある電解コンデンサーです。高負荷とは熱源の近くだったり電源ライン上のものが該当します。パワートランジスタ、真空管など熱源に接している場合は、通常使用時の半分以下の寿命となると言われているほか、リップルや電圧降下が発生しやすい(電圧変動が大きい)と思われる場所に使用されているケミコンも同様です。有名なTS-690の470µFやTS-850のLCDユニット上のケミコンが壊れやすいのはこの為でしょうね〜。これらに該当するケミコンをサンプリングして、容量・ESR測定を実施します。特に電源ライン上に使用される中容量以上のケミコンの場合、容量自体は誤差範囲にあってもESRが悪化している場合は、同ブランド・同容量のケミコン全数を交換します。今回は100µ/25VのELNA製の劣化が目立っており、全ユニットから該当するケミコンを撤去・交換しました。結果的に小容量ケミコン数個を残し、9割のケミコンを交換しました。本機でここまで交換するケースは珍しいです。この作業をやりながら再半田作業を進めました。リレーやロータリーSWも同様です。リレーは交換で済みますが、ロータリーSWの接点不良は厄介です。殆どの場合、接点部のメッキが剥がれて下地が剥き出しになり、その部分が酸化劣化します。当ラボではCAIG D-5で洗浄後にD-100Lを直塗りしています。但しこれは対処的な処置となるため将来100%再発しますね〜〜。定期的なメンテナンスしかありません。機械ですから当然です。また、電源ボタンを押すと沈んだまま戻ってきません。原因は樹脂部の膨張、SW内部のスプリング弾力の低下、内部のグリース固着です。本機の場合は全てが該当していました。フロントパネルの裏のシャーシがボタン樹脂部に干渉していたのでシャーシ側を研磨しました。グリースはCAIG D-5を注入してグリースを洗い流します。スプリングについては交換しようがないのでそのままです。SWを分解して直してしまう凄い方が居られますけど、金属疲労のリスクをともなうので原則小生はやりません。動画でご覧頂けますが一応直りました。こちらも再発の恐れありです。全てのユニット・基板の修復を終え、本体のトラッキングに入ります。BFOは規定通りに調整するとLSB/USBでホワイトノイズの音程がズレまくります。IFに装着されているメカフィルのカーブがズレてきているので如何ともし難いのですが、心地良く聴けるポイントに「耳」で修正しています。ここはオーディオ的な処置です。CALIBの水晶もキッチリ調整しました。CALIBポイントが“やや”中心からズレています。デジタルカウンターユニットの11.000MHz水晶が離調し修正可能範囲を逸脱しています。ギリギリのポイントにL1を調整しました。CALIBで最大4KHz程度微調整できますから実用上は問題ありません。SSBは問題無く受信出来ます。ドリフトも無くFT-101の相棒として十分(以上)に機能するでしょう。AMについてはAGCが通信機向きのチューニングのため、BCLモニターするとフェージングの際に歪みます。ATTやRFゲインを上手く使うしかないですね。AMナローは27.144MHzの市民無線8chでモニタリングしました。心地良く聞こえています。オーダー外ですが、6m/2mのトランスバーターも装着されていたので、こちらも一通りトラッキングしておきました。両バンドとも普通に使えます。2mはFMで近隣を走るトラックの交信がクリアに聞こえてきました。

全部ユニットが対象
コテを当てるとホールが陥没しまくる
100µFから交換(緑色のケミコンは交換後のもの)
100µFは全てこんな感じに
22µ以上は全数交換に・・
ユニットを一枚づつ確認中
ヒートシンクに隣接するケミコンは要注意
全数交換

【ご依頼内容】

  1. バンド切り替えスイッチの接触不良、ガリ音
  2. 電源スイッチの渋さ 3)ATTNスイッチの切り替え不良
  3. SelectスイッチのINT、EXT切り替えの不良
  4. デジタルカウンターの21Mhz表示での2の表示欠損(他ではきちんと表示される)
  5. 全般的な感度低下

 以上について作業を承りました。

【工数】

 上記作業に工数 6.0を要しました。(故障箇所特定、回路解析、基板修復、調達、交換、調整、検証、報告書作成、その他の作業を含む)

【交換部品・使用ケミカル剤など】

  • 中・大容量ケミコン ×14
  • ゲルマニウム・ダイオード ×3
  • アルミット半田 200mg
  • CAIG デオキシット D-5 少量
  • CAIG デオキシット D-100L 適量 


FT-920 診断終了

 以前、アンテナチューナーのステッピングモーターを交換させて頂いた個体です。以前も“出力低下”のご相談を頂きましたが、その際は事象が出ませんでした。今回は安定して事象が出ています。検査の結果、“出力低下ではなく、そもそも基本波が出ていない”ことが判明しました。RFメーターは振れています。これは基本波ではなく、2nd IFがそのまま出力されてしまっており、各バンドの局発が混合されていません。オーナー様から2nd Localが出ていないのではとのご指摘がありましたが、以下の写真の通り2nd Localは正常にミクサへ届いていて、8MHzの1st IFと正常に混合していました。1st Localをミックスするショットキーバリア・バランスドミクサが機能していません。こちらはDBMのICになりますが20年前にディスコンしており、国内のデバイス市場には流通していませんでした。深圳にはある様ですが、サプライチェーンの機能が停止しているため調達は困難です。ヨーロッパの代理店に在庫を確認しました。部品代は大したことないのですが、シッピングコストと関税が乗ってきます。表面実装のSMD(リフロー)ですので、顕微作業となり工数が嵩みます。メーカーサービスで修理する場合は確実にAssy交換となる箇所です。汗 オーナー様より気になるコメントが来ていました。「エージングyすると電波が出る」・・とあります。局発信号は明らかにDBM手前まで届いていおり、時間経過でDBMが正常動作するとは考えにくく、もう一つの可能性を疑いました。“混合部のトランス溶断”です。溶断した線材は暖まると延びるため接触状態となり、冷える縮むため接触不良となります。IFT故障の典型的な症状です・・・。汗 汎用周波数のIFTではないので代替は効きません。巻き直しも不可能・・・。これはお手上げであります。申し訳ございません。m(_ _)m

 
DBM手前で局発信号を確認
2nd Local 信号を確認

IC-741 診断終了

 こちらは電源を入れると 0000を表示して周波数操作を全く受け付けません。0000の場合でもVFO回して数字が出る場合はVCOアンロックの可能性を疑うのですが、バンド操作も受け付けないとなるとLOGICの故障を疑います。LOGICユニット上にEP2RAMの基板が乗っていてバックアップバッテリーが装着されています。当時のアイコム機はプロセッサの起動プログラムをEP2RAM上に記憶していました。バックアップバッテリーが長期枯渇するとRAMのデータが完全に失われ起動できなくなります。修理にはRAMにアクセスするReed/Writerとプログラムが必要ですが既にメーカーにも存在しません。個人の方がPICを使用してReed/Writerを自作され正常動作するEP2RAMからデータを取り出してコピー・・・などという記事がネット上にあります。当ラボでは対応困難です。申し訳ございません。m(_ _)m 2連チャンの修理困難は痛い・・・。


 これからIC-775DX2のチューナー修理です!

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