HL-550FX ご出場 / TS-830Vご出場 / IC-706MK2G ご出場 / TS-440 修理不可【2020/01/10】

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 おはようございます。日本晴れの横浜の朝であります。今日も暖かい日になりそうですョ。ラボは新年早々ご出場ラッシュです。

 今朝は与太話の余裕がありません。早速本題に入ります。

ご出場

 年末からお預かりしています。「運用中に突然パワーダウン」とのことです。定格出力550Wのところ、350W程度しか出てきません。本機は2パラ・プッシュプル(4発)ですので、1〜2発逝っている勘定です。年末にも書きましたが、増幅素子の故障判定は以下の方法で行います。

  1. 高圧RFプローブ測定
  2. アイドリング電流測定
  3. 端子間絶縁試験(要着脱)

 1は最も簡易な測定方法です。ここでおおよその判定を行ってから2に移行します。アイドリング電流の測定方法はVCO(VDO)に電流計を挿入した状態で、増幅回路を無負荷(無入力)動作させます。無線機の場合はSSBでマイクゲインを絞りきった状態で行えば良いでしょう。リニアアンプの場合は強制STBY状態にすればOKです。Icq(Idq)はサービスマニュアルやデバイスデータから読み取りますが、英文マニュアルの場合 “Idring Current”などと記載されています。中にはプッシュプルで個別にアイドリング電流を調整できない回路もありますが、HL-550FXは全数個別にアイドリング電流を調整できる回路構成になっています。故障などで増幅率が低下していると極端に電流が少なくなっているはずです。今回は右から2番目の石が全く動作していないことを確認しました。高価な増幅素子ですので、ある程度目星が付かないと交換作業に入れませんね。最後は3の端子間絶縁試験です。トランジスタの場合はエミッタ、FETの場合はソースがGNDされているはずです。コレクタまたはドレイン側の半田を外して基板から浮かせます。(出来ればベース・ゲート側も)この状態で端子間にテスターを当てて絶縁状態を確認します。トランジスタならコレクタ(+)ベース(−)のダイオード絶縁試験、FETならドレイン=ソース間が流れればOKです。勿論、複数素子の場合「流れ方」にも注視します。増幅素子は半壊状態でも動作はしますので要注意です。今回は2番全損、1番半壊と判定しました。3番4番は生きていますが、増幅率が異なる素子を並べて使うと確実にIMDが悪化します。また一発でも壊れている場合は、他の石にも相当なストレスが掛かっているはずで、早い時期に壊れる可能性が高いものと考えられます。工賃は4発交換も2発交換も一緒ですので、4発まとめて交換されることをオススメします。今回はオーナー様から4発交換のご指示を頂きました。交換素子はOEMやセカンドソース品ではない、オリジナル品と同一工場で生産されたマッチドペア品を調達しました。VRF150のデータシートにはIdq=250mAでの測定結果が記載されていますので、この前後が推奨動作点ということでしょう。メーカーの指示書には200mA〜210mAの記載がありました。片側プッシュプル合計で400mA〜420mAとなります。今回調達した素子は増幅率がやや高めでしたので200mAに設定しました。素子着脱時に際、必ず周辺のコンデンサの容量も量っておくとよいでしょう。特にNFB回路やコレクタ(ドレイン)側のコンデンサは高負荷に晒されているので、着脱して容量測定する様にしています。コンデンサに起因する異常発振が素子故障の引き金になっている可能性があるためです。12個の高圧チップコンをチェックしましたが異常はありませんでした。

 施工後、100W(ALC開放)で押してみたところ800W近く出てきました。80wでも700W弱まで出ます。ODランプは点きませんが、IDランプが点灯しています。思った通り増幅率が高いようですね。必ずALCを繋いでお使いください。または、エキサイタ側で適宜パワーを絞られることをオススメします。

全数撤去
撤去した増幅素子
放熱シリコンを塗布する
VRF150MPが到着!
アイドリング調整
片プッシュプル合計400mA
入力80W(ALC開放)で800W
必ずALCを繋いで600W以下になるように調整する

【ご依頼内容】

  1. 突然パワーダウンした

以上について修理を承りました

【工数】

上記作業に工数2.5を要しました。(故障箇所診断、調達、交換、調整、検証、報告書作成、その他作業を含む)

【交換部品・使用ケミカル剤など】

  • VRF150MP ×4個
  • 放熱シリコン ×1本
  • 部品保護用耐熱パッド ×1 パック


ご出場

 こちらも年を跨いでの作業となりました。「電源が入らない」などの症状があったようですが、こちらについては確認できませんでした。明らかな異常挙動として「周波数ドリフト」が顕著であったことを確認しています。こちらはAF AVR(定電圧回路)ユニットのGND不良が原因でした。半田面が白濁しており顕微ルーペで確認するとクラックが多数確認できました。再半田処理で修復しています。この際、中容量ケミコン一個を予防交換しました。施工後、周波数ドリフトは再発していません。また、18MHzと28MHzの送受信が不安定でした。バンド切替SWの接点不良が原因です。CAIG D-100Lを直塗りして手当てしています。その後動作は快調です。BFOの離調が顕著で、CW/USB/LSBとも精密調整を要しました。また、NBの効きが悪かったので調整したところ、弊社外部環境でS2メモリ分の効果を確認しています。その他、送受トラッキングを実施、出力90W〜130W、受信感度は-140dBmで信号復調を確認出来るレベルに至っています。その他、ご依頼のCWフィルタも装着しました。

AF AVR 半田打ち直し
IF基板側も
周波数カウンタユニットの半田クラックも修正
クラック箇所を確認
CWフィルタ装着
かなり良くなった

【ご依頼内容】

  1. 電源不安定
  2. CWフィルタ取付
  3. 総合点検・調整

 以上について修理を承りました。

【工数】

 上記作業に工数5.0を要しました。(故障箇所診断、基板修復、調達、交換、調整、検証、報告書作成、その他作業を含む)

【交換部品・使用ケミカル剤など】

  • 中容量アルミ電解コンデンサ×1個(予防交換)
  • CAIG D-100L 適量
  • CAIG D-5 適量
  • エタノール 適量
  • ケルミット半田 半リール

 変調確認の動画を別撮りして編集予定でしたが失念しました。正常に変調はでていますのでご安心下さい。


IC-706MK2G ご出場

 「電源が入らない」とのことでした。確かにウンともスンとも云いません。回路図を確認したところ、本機は主電源のON/OFFをプロセッサ指示で行っていることが判りました。リレーのスイッチ側には13.8Vが届いていますがソレノイド側に電位がありません。プロセッサは着脱式のフロントパネル側にあります。本体とフロントパネルを繋ぐコネクタにも電位がありません。となると当然プロセッサは動作していない状態です。13.8Vは主電源側(リレー)に繫がるラインとプロセッサに常時供給されるDC5Vラインに分岐しています。これらはPAユニットのラインヒューズを通過した後、PLLユニットに送られ、PLLユニット上で分岐しています。前述の通りリレーまでは13.8Vが来ていることを確認しています。DC5Vを生成する三端子レギュレータの入力側に電位がありません。手前のダイオードを疑いました。D271はPLLの裏面(半田面)に実装されているのでユニットを着脱しました。D271にテスタを当てたところ順方向で正常に電流が流れました。?? 上流側の導通を調べた所、13.8Vの分岐点からD271の間が繫がっていません。スルーホールが数カ所あるので調べましたが問題はなさそうです。D271に近いスルーホールからD271に至るパターンが溶断していることを確認しました。周囲に埃の固まりが大量にあるため、結露時のGND短絡と思われます。パターン再建は困難なのでリードバイパスで処理しました。施工後、正常に電源が入るようになりました。

 ところで、本機はメーカーサービスに修理に出したところ部品が無いので修理不可との回答だったそうです。部品は交換していないんですけどね〜〜。汗汗

白いリードがバイパスした箇所
電源が入るようになった

【ご依頼内容】

  1. 電源が入らない

以上について修理を承りました。

【工数】

上記作業に工数2.5を要しました。(故障箇所診断、基板修復、調整、検証、報告書作成、その他作業を含む)

【交換部品。使用ケミカル剤など】

  • AW線 3cm

 


修理不可

 周波数を表示しなくなったTS-440をお預かりしました。明らかにVCOアンロックの症状です。VCO5を調整しようとシールドを開けたところ驚愕の光景が飛び込んできました。ナント内部にあるケミコンが破裂し殆どの部品が錆付いていました。ダイオードは完全に溶けています。この状態からの修復は困難と診断致します。不本意なお知らせとなりましたこと誠に遺憾に存じます。m(_ _)m

PLLはこの下
右下のケミコンが破裂している

 来週はドドッと修理ご依頼品が届く様です。気合いを入れて頑張ります。皆様良い週末をお過ごし下さい。YSWの新年会は結婚記念日と重なり伺えません。(鬼嫁に殺されます)・・・m(_ _)m

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