Mark V ご出場 / TS-830S ご入場【2019/12/25】

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 Merry Christmas!!  イブの昨夜はケンチキに1時間も並びました。予約できたんですね。FBの友人に笑われましたぁ。弊社は27日で仕事納めですが、最終日は大掃除に入るので、明日がラボワーク最終日となります。

FT-817NDで試験中のTCXO

 金曜日は久しぶりにプライベートモードで徒然書こうかと思います。仕事のレポは今日が最後になります。その前にお約束した中国製のTCXOについてレポートしておきましょう。数週間使った感想ですが、今のところ純正(-9)同様に動作しています。“何故この時期に検証を行うのか”と言うと、一年で最も寒暖差が激しい時期だからです。当地横浜も真冬となれば室温も一桁台まで下がります。日中は28度くらいまで上がりますから、TCXOの精度をみるには丁度良い環境です。しかも今回は車載のFT-857DMで検証したため、かなり過酷な状況下であることはご理解頂けるかと思います。因みにTCXOの発振周波数でキチンと測定した数値ではありません。受信周波数の変異を簡易的に計ったものであることを付け加えます。素の状態のFT-8×7シリーズは、カタログ上 ±4ppm内 の誤差が生じるとあります。こちらは恐らくリファレンス水晶の精度を観ているものと思われます。そうでないと矛盾が生じますので。そもそも「クルマに測定器を持ち込んで」なんてことをやったら、ラボワークに支障を来します。笑 なので、今回は6mのビーコンを受信して「コールド状態」「ホット状態」で比較することにしました。「そもそも6mビーコンの周波数確度はどうなんだよ〜〜」と突っこまれそうですが、あちらは24時間送信しっぱなしで、常時“ホット状態”です。ある意味“恒温槽”につけ込まれている状態に近いですよね〜。笑 それを信じることにしました。短波の標準電波を受信すれば済むはなしですが、BC帯を受信できるまともなアンテナもなく常時受信出来る保証がありません。そんなわけで、当地で常時安定入感する50.489MHzの東京ビーコンでテストした結果を以下に記します。

  • 使用機材:FT-857DM (2018年購入)常時車載(トランク内)
  • 被験TCXO:中国深圳製
  • AF周波数カウンター:iPhone 8 plus + FreqCounter(アプリ)
  • 周波数:50.489付近

 東京ビーコンの周波数はUSB基準ですので、FT-857のCWで受信すると表示上は700Hz上の周波数となります。実周波は±200Hz程度誤差(リファレンス周波数・BFOの調整精度により影響を受ける)があるので、AF周波数カウンターが700Hz付近となるポイントに周波数をシフトさせました。ここを起点として測定した結果を以下に示します。

   10℃以下 スタート 30分経過 60分経過 120分経過
標準実装水晶 693Hz 803Hz 831Hz 846Hz
中国製TCXO 703Hz 715Hz 715Hz 716Hz

 参考値:50,489,000Hz 1ppm = 50.5Hz / 0.5ppm = 25.25Hz 

標準水晶(上)、中国製TCXO(下)

 測定自体がかなり簡易なものですから、内容を保証するものでは無いことをご理解くださいネ。FT-857本体はトランク内ですから無線機内部の発熱以外は外気温変化による影響は殆ど受けていないものと考えます。純正品(公称値)の測定条件が常温25℃固定と考える、やはり±4ppmの確度はFT8だと厳しいかもしれません。リファレンス周波数自体は22.625MHzですので標準水晶では±90Hzの誤差ですが、IFでは3倍まで拡大され、PLLから出力されるローカル信号では更なる誤差が出ます。0℃〜40℃まで動作範囲を拡大すれば、目的周波数で数100Hzのズレが生じるのは頷けます。そう考えると、この中国製TCXOは十分安定(TCXO-9と同じ±0.5ppm)していると考えてよさそうです。時間があるときに22.265MHzで直接測定したいと思いますが、周波数カウンターより確度が高そうな気がします。汗汗 純正のTCXO-9はディスコンしてたんですね。知らなかった・・。こりゃ〜マジでやるかな。(前記事) つづく


ご出場

交換したトライアックとセメント抵抗

 以前”魔改造”に匹敵する修理をさせて頂いた固体です。前回は受信リレーが故障して送信波が受信回路を直撃、フロントエンドがずたずたに壊れた状態から修復しました。原因は受信リレーの故障でした。本機は常時TX送信路が繫がっている状態で、RX時のみ受信リレーが閉じる仕組みになっています。フルブレークインの応答性を極限まで高めるためですが、かなり際どい回路構成ですね。リレー自体はメーカー特注品で一般市場には流通していません。もとY社のエンジニアに尋ねると、早い時期にリレーは補修用在庫が切れて、修理対応期間中も”魔改造”を強いられた故障箇所と聞きました。当然ながら工数も要しましたが、この”魔改造”修理をお引き受けした次第です。今回ご相談頂いた内容が送信系だったのである意味ホッとしました。汗 

 症状は「フルデューティー時に突然電源ダウン。暫くして電源は復旧するもフルパワーでは同じ症状を繰り返す・・。パワーを絞ると暫くは使えたが、次第に症状が頻発するようになり、終いには電源が復旧しなくなった・・。」とのことでした。本機の電源トラブルで疑うポイントは2箇所です。一つは、ファイナルのBLF147が焼損してドレイン=ソースが完全にショートした場合です。この状況ではFP-29の保護回路が作動して強制シャットダウンとなります。この際、FP-29のLEDは点灯したままです。もう一つは、FP-29自体の故障です。この場合はLEDが点灯しません。今回は後者でした。FP-29はFT-1000MPと同時期の電源内蔵型機と似た回路構成で保護回路にトライアックが使われています。このトライアックが故障するケースが多いんですね〜。トライアックは高圧整流部の直下に位置し、主電源回路のON/OFFを担っています。起動時、並列に繫がるセメント抵抗を介して起動用の小電流が流れます。それによりDC回路が起動してトライアックのバイアストリガーを発生させてることで主電源回路に大電流が流れるようになります。200W機ですので、ピーク時には相当な負荷が掛かることは言うまでもありません。Hi-SWR状態だったり、RTTYやFT8でフルデューティーさせればなおのこと・・。トライアックが悲鳴をあげます。ここが壊れると、主電流は先ほどのセメント抵抗を迂回して流れるのですが、ここにもプロテクションが施されていて、一定温度(135℃)に達すると内部リードがオープンする温度ヒューズ付きセメント抵抗が使われています。今回はフルデューティー中にトライアックが焼損、続いてセメント抵抗も焼損という流れで故障が進んでいったものと診断しました。温度ヒューズ付きセメント抵抗の場合、最初はクールダウンするとリードが閉じるのですが、この状態を繰り返すと完全に切れたままになります。トライアック×1、セメント抵抗×2を交換しました。セメント抵抗は指定条件の部品が入手できないため合成抵抗値が近似する(10.2Ω→10Ω)温度ヒューズ付きに置換しました。無事に電源復旧、本体には特に異常はないみたいです。RTTYで200W出しても問題ありませんでした。FP-29内部にかなり埃が堆積していたので、ついでに除去しています。特にファン周辺が酷かったです。定期的にお掃除されることをお奨めします。本体のPAユニットにも相当埃が詰まっていました。前回修理の際にも除去しているはずですが、環境的に埃が積もりやすい場所なんですね。こちらも除去させて頂きました。

左上が故障箇所周辺
直列に繫がる同抵抗値のセメント抵抗(片側)が故障(導通無し)
もう片方は導通する
合成値が近似の温度ヒューズ付きセメント抵抗×1に置換
埃が尋常ではない
お掃除開始
埃がなかなか取れない・・・
電源復旧、200WもOK

【ご依頼内容】

  1. 電源が入らない
  2. その他検査

【工数】

上記作業に、工数2.5人日を要しました。(故障箇所特定、調達、交換、調整、検証、報告書作成、その他の作業を含む)

【交換部品・使用ケミカル剤など】

  • FP-29 電源保護回路 トライアック ×1
  • FP-29 電源保護回路 温度ヒューズ付き セメント抵抗 ×1 (5.1Ω/1.6W ×2の代替として、10Ω/3W ×1個を使用)


TS-830V ご入場

 こちらは第2ラインで検査中です。周波数ドリフトが著しいみたいです。原因は半田クラックじゃないかと思うのですが、その他も含め精査中です。修理方針などを含め、どの程度のボリュームになるか年内にオーナー様にフィードバックしていと思います。

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