Mark V ご出場 / FT-101ZSご入場【2019/10/23】
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おはようございます。久しぶりにスカ〜っとした秋晴れの朝を迎えた横浜であります。昨日は即位礼で世間はお休みでしたネ。、小生は独りラボワークでありました。
Mark V ご出場
10月・11月も何だかんだで連休が多くラボワークには大きな足枷となっています。大型機や特機のご用命が続いており、ラインを確保しないと次に進めません。月曜日の夕刻、英国からBLF147MPの2ペアが届きました。こちらMark Vのファイナルに使う石であります。大型機をどんどんC/Oさせないとラボ内の棚が空きませんので月〜火はこちらの作業を優先しました。
本題へ入る前に
本機は内部にも埃が堆積するなど、やや過酷な環境で使われていたことが伺えました。修理ご依頼箇所ではありませんが、内部のスピーカーケーブルの接触が悪く圧着ギボシ付近で断線していましたので、こちらは修理しておきました。また、可能な限り堆積した埃は除去しています。
ファイナル交換痕跡を認める
ヤエスさんの場合、ファイナル増幅素子の羽根はベタ漬け半田処理ですが、本個体は羽根の先端3ミリが折り返されていました。これは埼玉の某リニアアンプメーカーの施工方法ですね。以前ヤエスのエンジニアさんと話した際「ウチは絶対にベタ付けさせてる」と仰っていました。実は小生が施工する際にも某社同様、羽根の先端を折っています。その方が故障時に交換しやすいので・・・。V/U機なら少々難有りですが、HF機なら特にこの方法で問題ないと思います。
・・・・即ちヤエスさん以外が修理した痕跡があるということを意味しますね。石自体はフィリップス(オランダ製)のオリジナル品なので比較的に早い時期に施工されたものでしょう。どうやらバイアスがかなりオーバー気味に設定されていた様です。ドライバ(BLF145)のアイドリングは1.3A、ファイナル(BLF147片側)はCLASS Aで5A、ノーマルで1Aが規程値です。合計5個の石を個別に調整する必要がありますが、ポテンションメーターがクリティカルに反応するため、僅かに動かしただけで数アンペア変化してしまいます。特にCLASS A時はアイドリング状態でも強烈に発熱し、指で触れない程の温度に達しますのでオーバーバイアスは禁物! 故障した石が装着されていた時点で、何れのポテンションメーターも“Full Clock-Wise” 位置に設定されていました。石の個体差によって増幅率が異なる為、hfeが低ければ深めにバイアスを掛ける必要がありますが、これは明らかにオーバーでしょう。それともパーワーが出なかったので無理やりバイアスを掛けたのか?? 何れにしても冷汗モノですね・・・。きちんと規程のアイドリング電流に設定しました。この状態で軽く200Wを超えてきます。(TXゲインを再調整して定格範囲内に下げた)
今回使用した石はNXPがライセンス製産していた頃のロットで、フィリピン製の刻印がありました。正規サプライヤから調達したものですので品質は折り紙付きです。深圳辺りのディーラーが正規品とうたって、フィリップス刻印のリファービッシュ品を大量に流しています。ケースを接着剤で留めてあり、表面の刻印も削ってリネームした痕跡があるためシロウト目にも判別可能です。部品系のネット通販サイトや大手サプライヤ(UTなんちゃら)にも出回っているので要注意ですょ。そもそも正規品は云K円単位では買えません。多分アイドリング調整時点で閃光とともに昇天します。そんなお手上げ状態の無線機が当ラボに持ち込まれます。。。汗汗
横道にそれました。写真の通り各バンドで元気に200W出ています。上に書いた通り、本機のCLASS Aモードは発熱が尋常ではありません。BLF147はSSB用の石ですので、FMやRTTYでフルデューティさせるには不向きです。CLASS Aモードでリニアのエキサイタとして使用される方も多いかと存じますが、呉々もFT8運用はお控え下さい。FT8やられる場合は、50%以下で運用されることをお奨めします。壊れたら石を変えれば良いと思われている方、BLF147の正規品は入手困難ですョ。この先はセカンドソース品しか入手できなくなります。
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【ご依頼内容】
- 送信出力しない
以上について作業を承りました
【工数】
上記作業に工数2.5人日を要しました。(故障箇所診断、調達、交換、調整、検証、報告書作成、その他の作業を含む)
【交換部品・使用ケミカル剤など】
- BLF147 ×2 (フィリップス正規品)
- 放熱用シリコン 少量
追記:2019/10/23 14:38
FT-101ZS ご入場
申し訳ありません。小生FT-101ZDと記しておりましたが、正しくはデジタルカウンターユニットの無い10W版のFT-101ZSでります。電源が入りません。正確にはヒューズが瞬断します。真空管機に多いトラブルですが、2日目突入で未だ原因がわかりません。内外装のコンディションが悪く、先ずはお掃除から始めています。掃除中に異常が見つかることも多々ありまして・・。汗 何とか今日中に目処を付けたいところです。
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シーズン的に「結露」が引き金になったとは考えにくいのですが、埃堆積が尋常なレベルではりません。単純な故障ではなさそうです・・。もう少々お時間下さい。m(_ _)m
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