HL-250UDX ご出場 / FT-401D 大奮闘中/TS-600 診断終了【2019/09/06】
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おはようございます。快晴の朝を迎えました。横浜の最高気温は35度くらいまで上昇しそうですョ。昨日は京急の事故の影響で近隣を走る市営地下鉄が大パニックでした。
丁度お昼前後に横浜の中心街まで出掛けていました。ラボに近い「あざみ野駅」から「横浜駅」は市営地下鉄で直接結ばれていますが、事故の影響で振替輸送が実施され、市営地下鉄の横浜駅が入場規制されていて利用できませんでした。JR側も大混雑していましたが、横浜線で長津田を経由して帰ってきた次第です。京急もよく使う路線だしビックリ・・。あれだけの脱線事故で乗客に犠牲者が出なかったことは不幸中の幸いですね。
HL-250UDXご出場
またまた東京ハイパワーのリニアアンプです。二月前にHL-250UFXを修理させて頂きましたが、こちらはほぼ同一設計でMosFETではなくトランジスタが使用されています。MRF650の調達が困難になりMosFETに設計変更されたのでしょうか? 多分MRF650の方がパワーが出やすいと思います。「送信出力しない」とのことでしたので、てっきりドライバかファイナル(2パラP/P)の故障かと思いきや違いました。TXインジケーターが点灯しないとのことでしたので、キャリコン故障も疑ったのですが、キャリコン自体は反応していました。エキサイタからの信号をセンスしてRXランプは消灯し、リレーが切り替わる音が聞こえます。??? MRF650の端子間導通を確認していますが、異常はなさそう・・。入力端子から順にRFプローブを充てて信号の到達を確認してゆくと、送受リレーの後ろに信号が出ていません。リレーの切替音は出力側の同軸リレーから出ているようですね〜。送信時に入力側送受リレーのソレノイド電圧を確認したところ、0Vのままでした。回路図を追って行くと、制御電圧をON/OFFしているRL201に辿り着きますが、ここはキャリコンのトランジスタ(オープンコレクタ回路)のベースON/OFFで制御される回路です。基板上を探しても当該のトランジスタが見つかりません。基板の裏側にもリレーが付いているので(送受リレーも基板裏側にある)、基板着脱を試みましたが、かなり大掛かりな工事となるため表面の実装パターンを追いかけて手がかりを確認することにしました。回路図を観ると、点線で囲まれている箇所が分割されているに気付きました。制御ユニットはフロントパネルの裏側にあると睨み、パネルを分解したところ「ピンポ〜ン!!」大当たりです。すぐにRL201を見付けることができました。リレーは松下製の小信号用汎用リレーで内部洗浄が可能なオープンタイプです。透明ケースなので動作状況も確認できます。送信状態にするとキャリコンに連動してリレーが動くのを確認しました。接触不良を疑い、送信時にリレーを小突くとTXインジケーターが点灯し増幅出力を確認出来ました。何となく洗浄で行けそうな気もするのですが、接点不良の症状が出ている状況を鑑みると、接触部のメッキ剥がれ(酸化腐食)が進行しているものと思われます。ここは素直にメンテナンスフリーの密閉リレーに置き換えた方がロングライフに使えそうです。オムロン製の密閉リレーに交換しました。同時にソレノイド側に並列で装着されているチャタリング対策用の220µF/35Vケミコンも予防交換しておきます。施工後、エキサイタから5Wを突っこむと200W(Hi)/100W(Low)を出力することを確認しました。
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【ご依頼内容】
- 出力しない
以上について、修理・作業を承りました。
【工数】
上記作業に工数3.0人日を要しました。(故障箇所診断・調達・交換・調整・検証・報告書作成などを含む)
【交換部品・使用ケミカル剤など】
- RL201 松下 12V汎用リレーの代替として、オムロン製密閉式リレー×1個
- 中容量ケミコン ×1個
FT-401D 大奮闘中
今年最大の案件に取り組んでおります。既に通算10日以上のホームワークで対応しておりますが、ラボの進捗が8月26日入場分まで追いついてきましたので、本格的なラボワークに移しました。数ヶ月前一度修理を断念した個体です。オーナー様の強い熱意にお応えすべく、カムバックを果たした個体であります。内部の汚れも酷く、AF・PA周りの真空管、大容量ブロックコン、小容量・中容量ケミコン、チューブラコンの交換が必須な個体です。特にPAに使用されている6JS6Cは大きな凹みがあり、中和不良で発振したものと思われます。取りあえずホームワークで内部清掃は終えました。問題は3回路内蔵のブロックコン(本機は47µF×3のブロックコンが使用されている)の入手が困難なため、他の方法を検討中です。回路図上は100µF/500V指定の箇所に、47μF+47μF/450Vが並列接続(二本使用)されているので、1本を100µF+100µF/500Vに置き換えて、もう一本を47μF+47μF/500Vにリプレイスすることを検討中です。ただ、6JS6Cのプレート電圧は無負荷時に600V出ているので、このまま温存もありかもしれません。劣化が顕著なのはAF真空管の周りに使用されているチューブラの方で、スピーカーからけたたましいハム音がでています。こちらは月内の出場を目指します。
TS-600 診断終了
かなり年季の入った個体です。一応送受可能な状態ですが、局発のバリキャップ同調回路のDRIVEつまみの位置が送受でズレています。また53MHz台の水晶が発振していません。前者はロータリーSWユニットのポテンショメーター(半固定VR)でトラッキングを行いますが、51MHz台は固定(基準)になっていて、送受それぞれ微調整が可能です。本機の場合、水晶発振していない53MHzを除き、50MHzと52MHzのポテンションンメータが壊れています。抵抗体を挟む丸い板が無くなっていました。補修用部品は40年以上前にディスコンしていますので、汎用の半固定VRを装着する以外に術はありませんが、ポン付けという訳には行かず、基板側の改造を要します。受信側は故障が目にみえるのですが、送信側についても同様の劣化が考えられます。また、FM時にスケルチが開ききらないという事象を確認しました。こちらIFユニットケミコン劣化、半田クラックなどを疑いますが、同様のポテンションメーターが使われている箇所で、抵抗体と摺板が固着して動きません。こちらも要交換ですが、上記同様に部品入手が困難なため、代替部品を改造のうえ装着する必要があります。その他、目視でもケミコンの電解溶液滲みを多数確認、当時のトリオ製無線機の定番不具合の半田クラックについての処置も必要になるため、レストアレベルの作業となることは間違いありません。その旨をオーナー様にお知らせしたところ、作業中断のご指示を頂きました。
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何とかペースを取り戻しました。現在8/26以降入場の案件を処理中です。
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