HL-728D ご出場 / FT-101ZSD ご入場【2019/08/16】

by

 おはようございます。まだ台風の影響が残る南関東です。台風は日本海のド真ん中を北東に進んでいるようですが、暴風圏が関東地方もスッポリ覆っています。

雨ニモマケズ、風ニモマケナイ(台風北上中)

 台風の接近中、拙宅のデルタループはどんな感じかというと写真の通り無事です。只今のところ最大風速は20m前後ですがこの程度なら問題ありません。秋までにHFアンテナの交換を実施する予定でしたが、デルタループのまま底上げするのもありかな? 6mのHB9CVはコメット製の2エレを調達済で既に一月前から玄関に放置されています。HFはクリエイトの730V辺りにしようかと思っていました。14MHz以上の効率はデルタループの方が優れており、何と言っても、3.5MHz以上のWARCを含む全バンドに出られるのがATUデルタループの利点です。強風の度にヒヤヒヤするのはアンテナを換えても一緒ですね。折れても当て木で直せる釣り竿ベースのアンテナの方が維持コストが低いかな? 悩ましいところです。兎に角、地上高UPが必須な環境です。さ〜て、蝉も鳴き始めました。本題のレポに移りたいと思います。


ご出場

 夏休み返上の作業レポは、HL-728Dの完了報告からです。当ラボでもお馴染みの144/430MHz の100W越リニアアンプです。両バンドとも出力しなくなったとのことです。回路構成ですが、144MHzはストレートにMRF650のプッシュプルを押す一段構成です。430MHzはドライバ段が一石入る二段構成になります。スルー状態では正常に信号がANT側に流れます。リニアアンプをONにすると、キャリコンは反応するのですが出力しません。二つのMRF650のベース側にRFプローブを充てたところ、入力側端子から流れてきた信号を確認できました。コレクタ側の電圧は極端に低くなっています。(=増幅していない) まずはMRF650の故障を認定しました。さて、何故故障に至ったのかを考察する必要があります。トランジスタを交換しても再び壊れてはたまったもんじゃありませんね。目視で気になった箇所は144MHz側の出力側ストリップライン上のポリトリマーです。顕微ルーペで覗き込むとケースが溶けて変形していました。ポリトリマは熱に弱く、80度程度が規格上の上限です。多少マージンはとってあるはずですが、100℃では確実に絶縁版が溶けてショートします。ここにRFの大電流が流れたということは、インピーダンスの急激な変化が起きたことを意味します。空中線路上のトラブルの可能性もありますが、リニア内部で発生しうる事象について考えてみました。思い当たるのは、ANT側の同軸リレーです。キャリコンによって入出力のリレーが同時に制御されているはずですが、開閉時の挙動が僅かに遅い気がしました。また、明らかに引っ掛かる様な挙動も確認できました。当該部品については既にディスコンの為入手が困難です。HF帯なら規格外リレーを適当なスペースにボンディングしてリードジャンパでRFを引き回すことも可能ですが、流石にV/Uのリニアでは出来ません。この同軸リレーを温存するしかなさそうです。同軸リレーのソレノイド部は誘導障害を避けるため接点部から独立したケースの外側にマウントされて、シャフトアームを介して接点をON/OFFしています。接点部は430MHzという高周波の大電圧に晒されるため、HF帯よりも過酷な環境になっている可能性が否めず、カーボンの附着(ねばり発生)が考えられますが、密閉型のため内部を洗浄することは不可能です。唯一手当てできるのは、シャフトアームへの油挿し程度。シリコングリースをシャフトの回転部に浸潤させました。結果的に開閉がスムースになり、送受リレーが同時に切り替わる様になったみたいです。また、430MHz側のドライバ段コレクタ端子の接合部付近の基板パターンが一部剥離していました。(以前に交換された?)430MHzですから“導通していれば良い”という訳には行きません。こちら基板を修復しました。

驚愕のパワー

 本機は10W/25Wドライブとなっています。まずは軽くFT-817(5W弱)で押してみました。すると、両バンドとも80W-90W出てきます。定格入力時の出力は100Wですから、その半分で80W-90W出るとなると・・・。FT-991でドライブしたところ、8W程度で140W(144MHz)出てしまいました。(汗汗汗) 石のコトを考慮するなら、25Wモード(ATTオン)で10W以下で押されることをお奨めします。本機は電圧降下時にリレーがチャタリングを起こす傾向にあります。能力的に余裕のある電源をお使いください。

メーター現示について

 ご依頼のメーター調整も実施しています。430MHz側の半固定VRにガリが出ています。フルパワー時に5個点灯するように調整しましたが、振動などで調整がズレる可能性がございますことご留意ください。(サービス実施)

受信性能について

 受信テストをご所望ですが、受信機の性能に左右されるため動画撮りは割愛しました。何れのバンドも受信機能は正常です。プリアンプON時、144MHz = 17dB、430MHz =14dBの感度アップを確認しました。(サービス実施)

左端の出力同軸リレーが悪さしたか??
放熱グリス塗布
430MHz 5W入力 90W!!
145MHz 5w入力で80W!!
受信テストは受信機の性能に左右されるので。。参考程度に
プリONで 14dB〜17dB程度UP

【ご依頼内容】

  1. 送信出力がでない
  2. 故障前に430MHz側の出力インジケーターが3個のみ点灯(サービス実施)
  3. 規程の受信感度があるか測定してほしい(サービス実施)

以上について作業・修理を承りました。

【工数】

上記作業に工数2.5人日を要しました。(故障箇所診断・調達・修理・調整・検証・報告書作成など)

【交換部品・使用ケミカル剤など】

  • MRF650 MP指定 ×1セット(2個)
  • 3Mシリコングリース 少量
  • サンハヤト放熱用シリコン 少量
  • 基板レジスト材 少量


FT-101ZSD ご入場 

 こちらは総合調整と減力改造他のご用命です。入場時検査の際、ヒーターONでフィラメントが点灯しませんでした。RECTのヒーター回路が故障している模様です。こちらの修理を先行しませんことには、先に進めません。部品調達に少々時間が掛かりそうです。

 取りあえず、今週はココまでです。来週は本当に夏休みを取らせて頂きます。m(_ _)m 18日〜20日は下田市の入田浜に行きます。19日・20日は朝練・ランチタイム・イブニングに、6mと11mにQRVしますので、聞こえましたらお相手ください。

 

Related posts

2 Responses to "HL-728D ご出場 / FT-101ZSD ご入場【2019/08/16】"
  1. HL-728 修理のご相談です。
    主電源を入れても、送信してないようです。

    カチッ、とリレーらしき音は聞こえます、
    又、送信してないのに、本体が熱くなってきます。
    まるで送信中?

    工数1人日の金額はどれくらいですか?

コメントを残す

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。