TS-520D・JST-245 重篤 / TM-V7 ご出場 【2019/02/08】

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 おはようございます。快晴の横浜ですが、かなり冷え込んでいます。北の寒波の影響でしょうか。当地でも風速20mを観測、クランクタワーの上げっぱなしに注意しましょう。拙宅の釣り竿デルタループは風任せ・・・・。

 与太話の余裕は全くない金曜日の定期投稿であります。ライン落ちが続いており少々テンションが下がり気味です。

TS-520D コンディション的に修理困難

 TS-520シリーズ全体でカウントすれば、恐らく100台近く修理したと思います。外装がダメでもトランスが生きていればなんとか修理してきました。こちらは保管状態が良くなかったのでしょうか、外装は触れるだけで錆がこぼれ落ちる様な状況。外蓋の裏側の腐食は殆どありませんが、シャーシと基板の間のスペーサーには腐食箇所が多数観られます。電源投入前に目視で内部を確認。掃除機で埃を吸い取り手前のIFユニットをひっくり返すと、半田面に復数のクラックを目視しました。この段間でフルレストア級の作業になるであろうことは想像できました。ケミコンから油脂がにじみ出ている箇所も多数有ります。オリジナルのブロックコンが装着されており、こちらも交換必須・・・。トランスの状態を確認するために電源を入れてみると、最初はランプも点灯しませんでしたが、数回オン・オフを繰り返すとランプが点灯・・・。各出力タップの電圧が異常に低く、巻線線材の腐食・コア材の磁器飽和が進行しているものと思われます。念の為、ロータリーSWを含めた接点周りにCAIG剤を大量に吹きかけたところ、錆混じりのドロドロが下詰めしたティッシュペーパーを汚してゆきます。また、各部に改造が施されており、サービスマニュアルに沿ったメンテナンスは不可能。・・・ちょっと厳しい状態と言わざるを得ません。オーナー様と直接お話しさせて頂いた結果、修理作業の中止をご指示頂きました。申し訳ございません。m(_ _)m 


電源が入らない 

メモ書きは異常値

 最近、何故か電源故障の修理ご依頼が続きます。こちらは突然電源ダウンしたとのことです。JRC製無線機の泣き所は、メーカー特注部品が多く、汎用部品による代替が効かないところです。正面右側にPower Supply Unitが搭載され、スイッチング電源がAC100VからDC60Vを生成し、Sub Power Supply UnitとPA Unitに供給され、前者から13.8V系統、9V系統、5V系統が各ユニットに供給される仕組みです。大元のPower Supply UnitはオーソドックスなPowerMOSFETで構成されるインバータ回路で、150Hzでスイッチングされた方形波出力からトランスとブリッジを介してDC60Vを得るものです。故障箇所はTR 14 (2SK1672)とその周辺で、135℃ 4W 910Ωの温度ヒューズ内蔵型セメント抵抗が溶断焼損、2SK1672自体もアバラッシュ崩壊し、ドレインからソースに大電流が流れっぱなしです。(これが故障の原因)常時VCCを常時生成するM7815の入力側に取り付けられた、サージアブソーバーと思われる回路図記載の無いダイオードが完全に短絡故障していました。2SK1672(Power MOS FET)は三洋電機製で市場流通が皆無、海外サプライヤのデータベースでもヒットしません。類似特性ので該当する部品がありません。また、ヒューズ付きセメント抵抗については磐城無線研究所製の特注品と思われ、同社のTF10シリーズの商品ラインアップには存在しない数値の部品でした。定格4Wのセメント抵抗なので、5Wクラスの横置きセメント抵抗でリプレイスすることも検討しましたが、発熱溶断したさいに短絡しますと、20V耐圧の回路に300Vがストレースに印加される可能性がありリスクが大きすぎます。10Wクラス以上は空間スペース的に装着困難です。以上の様な状況から、こちらも修理不可能と診断させて頂きました。不本意なお知らせとなりましたこと、どうかご理解頂きますよう、お願い致します。

焼損部品を取り外し中(セメントに黒い煤が)
820Ω+120Ωのセメント抵抗を挿して試験中
ドレイン→ゲートに電流発生(アバラッシュ崩壊確認)
回路図に無いダイオード(焼損短絡)

修理完了

 お馴染みのモービル機です。このデザインに取り憑かれているオーナー様も多いのではないでしょうか。家電メーカー的な工業デザインは、流石“ケンウッド”です。当ラボにも度々入場する機種ですね。

 故障は144MHz帯のパワーモジュール焼損でした。お近くのハムショップさんから部員調達できないので修理拒否されたとのことです。この東芝製パワーモジュール(S-AV17)は確かに枯渇傾向にあり流通在庫が底をつきるとお終いになります。代替で使用されるICOM特注の石についても同様です。何故かウチのサプライヤは大量に持っていて、まだ在庫はあると言ってました。中国辺りの怪しい再生品には手を出してはイケませんよ〜〜〜〜!!

 あっ、この個体も電源がアウトでした。間接制御の電源スイッチを搭載していますが、コントロール・ユニット(フロントパネル)のプロセッサに電源が届いていない状態でした。メインユニットとFパネルを繋ぐフラットケーブルの手前に表面実装型のマイクロ・ヒューズ(F2)が実装されていて、これが落ちていました。何故こんなところが落ちるのか??ですが、ヒューズなので金属疲労による溶断と考えるのが妥当かと・・・。交換後電源は投入可能になりました。が、、、しかしLCDが薄すぎてステータス確認が難しいですね〜〜〜。オーナー様はこのままで由とのこと。ご依頼の修理を優先します。RFプローブにて、パワーモジュールの故障を確認しました。メイン基板と背中のヒートシンクに挟まれるようにV/Uそれぞれのパワーモジュールが装着されています。144MHz用は外側です。ヒートシンク接合面のシリコングリスが無くなっていました。素子保護には欠かせませんね。増し盛りしておきます。装着後、144MHz帯にて50Wのパワーを確認しました。修理完了です。

Fパネ手前のマイクロヒューズ溶断
交換完了
電源復活
モジュール交換(手前が故障部品)
放熱シリコンの増し盛り
50W出力を確認

【ご依頼内容】

  1. 電源投入不可
  2. パワーモジュール交換

以上について、修理を承りました。

【工数】

 上記作業に工数3.0人日を要しました。(故障箇所診断・調達・修理・検証・報告書作成などを含む)

【交換部品・使用ケミカル剤など】

  • 東芝 S-AV17 ×1
  • 500mA 表面実装型マイクロヒューズ ×1


 只今、FT-757の作業に入っております。こちらご指摘の症状以外にも諸々不安定な箇所があり、下処理中であります。

 今週はココまで。エンジニア1名が闘病中のためリソースが足りません。浅利OMと2ラインを何とか維持しながら作業を続けます。来週は小生もPET CT受診のため、1日オフしますが、その分は土日に稼働で穴埋めします。汗 皆様、良い週末をお過ごし下さい。

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