HL-206V・RJX-601・HL-550FX ご出場 【2019/01/16】
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おはようございます。今朝も冬晴れのお天気になりました。午前中は赤坂の某局で会議です。先週はインフルエンザで一週潰れてしまいました。新年初出社であります。
今週前半は東ハイのリニアが3台入ってます。与太話抜きで本題に入ります。
HL-206V ファイナル交換&基板修復で作業終了!!
前回の続きです。4箇所パターン焼損を確認しているHL-206Vです。3箇所はパター修復に成功しました。1箇所については炭化部の絶縁値が下がって導通傾向にあるため、レジスタコートで絶縁した後、回路をリードバイパスして迂回しました。SD1477MPはhfe=20のLowMPです。元々入っていた石はhfe=50のHiMPなので少々発振気味だったかも知れません。アイドリング電流も深めに設定されており少々危険な状態でした。適正値となるようアイドリング値を出しました。 9W入力時に200Wを超えるので十分過ぎるゲインがあります。オーナー様によると、リレーをご自身で交換した後に煙が出たとのことです。SD1477の片側のコレクタとエミッタが短絡してVCCがGNDに落ちており、ここで大電流が発生したものと思われますが、焼損パターンの先にはACC端子もあります。エキサイタとの接続方法に何らかの齟齬があった可能性も否めません。今一度、確認されることをお奨めします。また、パターン焼損が発生していますので、あまり負荷を掛けすぎないようにお使い下さい。
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【ご依頼内容】
- 電源投入不可能
以上について修理・作業を承りました。
【工数】
上記作業に工数3.0人日を要しました。(故障箇所特定・調達・施工・負荷試験実施・報告書作成・その他を含む)
【交換部品・使用ケミカル剤など】
- SD1477MP (hfe=20.0 選別品)1ペア
- 基板修復剤(レジスタコート)中量
- 放熱用シリコン 中量
- リード線 10cm
RJX-601 メンテナンスパック + LED化 + AM変調器修理
本年最初のRJX-601であります。相変わらずの人気者ですなぁ。登場から45年以上経過しているのに未だに状態の良い個体が数多く存在します。今回お預かりした個体は後期型、外装コンディションは良好でした。内装に関してはケミコン劣化もなく調整のみでイケると思いきや、AM変調が歪みがちでした。特に高音域で盛大に歪みます。受信音もやや低い感じがしました。変調器とAFアンプを兼ねる2SC1226(プッシュプル)の劣化と診て間違いありません。この石は前回ソールドアウトのハズでしたが、部品を整理していたら5本見つかりました。そして、オーナー様からはLED化のオーダーも頂戴しております。こちらはお馴染みの作業ですね。今回は5mmφの超高輝度白色LED(抵抗入り)を2本使ってスマートに仕上げました。601とこの組み合わせはアリですね。メンテナンスパックは定番メニューですので、説明を割愛します。
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【ご依頼内容】
- メンテナンスパック
- 照明類 LED化工事
- その他不具合修理
【工数】
御見積・診断のみ 3.0人日(パック工数・故障箇所特定・調達・作業・負荷試験・報告書作成)
【交換部品・使用ケミカル剤など】
- 2SC1226A ×2
- 水晶×1
- 1/4W抵抗 ×1
- 超高輝度白色LED 5mmφ×2
- LED用拡散フィルム×2
- CAIG D-5
HL-550FX プロテクション回路故障修理!!
O.DRIVEが点灯して使用不可となったHL-550FXです。東ハイのこのクラスはよく出来たアンプでして、入出力回路の保護回路・機能が充実しています。O.DRIVEはその名が示すとおり“Over Drive”を意味し、本来なら過大入力時に増幅素子を守るために働く回路です。これが点きっぱなしになる場合、既に増幅素子がやられてしまっているケースも多々あります。カルテに“FT8運用中”の文字があったので、まずはVRF1502パラ・プッシュプル(4発)の故障を疑いました。
シャーシを開けると驚愕の光景が目に飛び込んできました。シャーシの底2cm位まで埃がギッシリと堆積しています。LPFのコイルは埃がコアになっていました。汗汗 隙間という隙間は全て埃で埋め尽くされています。VRF150の取り付け部はご覧の通りです。更に入力回路周辺は最悪の状況・・・。この状態で結露したら確実にショートします。まずはシャーシ内の掃除から手を付けました。基板の裏側にもギッシリ埃が詰まっています。電源、LPF、ディテクタ、制御回路の各基板も同様です。この作業に約半日を要しました。増幅素子を確認したところ故障モードには該当しません。4発で云万円する高価な石が助かっただけでも不幸中の幸い?? 果たして何処が悪さしているのか・・・。入力のプロテクションリレーが閉じたままであることが判明しました。思えばこの付近の埃堆積が尋常ではなかったかと・・・。リレーと周辺のコンデンサ、抵抗を交換したところ、正常にリレーが開放されました。これで入力信号は増幅素子に届きます。出力回路や電源周りはチェック済なので、軽く押してみることに・・・。10W入れて80Wほどの出力を確認。少しずつエキサイタの出力を増やして、80Wで600W以上の出力を確認しました。4発全てのアイドリングを再調整し、800W超えまで出ることを確認しました。元気にカムバックです。
FANが回りっぱなしです。FANにも大量の埃が付着していました。軸周りの埃を除去したところ、かなり高回転で回るようになりましたが、どうやらサーモスタット側に負荷が掛かっていた様子。50度到達でONになるはずですが、完全にSWが閉じたまま(常時導通)です。FT8で使われるなら常時ONくらいが丁度良いきもしますが、少々喧しいかもしれません。同形状のサーモスタットは85度設定のものしか流通在庫がありません。50度設定になると別の部品を装着することになりヒートシンク側に加工が必要にです。機能として支障はないため作業は保留しました。
年に一度は、せめて排気口・ファン付近の埃を掃除機で吸い取ってください。お願いします。m(_ _)m
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【ご依頼内容】
- O.DRIVE点灯 使用不可
以上について、修理を承りました。
【工数】
上記作業に 2.5人日を要しました。(故障箇所特定・調達・交換・内部清掃・負荷試験・報告書作成)
【交換部品・使用ケミカル剤など】
- ラッチングリレー×1
- 1/4W抵抗 ×1
- チップコン
- モール×5本 (掃除用)
その他について
FT-690MK2については、リファレンスが大ズレしており、調整可能範囲を逸脱しています。こちらは水晶特注の他、基準信号発振器の入っているシールドケース内の大掛かりな加工を要するため、修理困難を診断いたしました。
WP-721Hについては、1200MHzが機能しません。パワーモジュールは入手可能ですが、入力切替リレーも故障しており、こちらの入手が困難です。m(_ _)m

HL-130Uについては、増幅素子類に異常はありません。ところが、入力信号が正常に到達していないのと、エキサイタ側のVSWRが跳ね上がってしまいます。入力リレーが膨れあがっており、こちらの故障とみて間違いありません。しかしながら、両面貫通のスルーホール上に装着されているため、リレー交換と言えどもファイナル交換に匹敵する工数が掛かってしまいます。こちらについては、オーナー様に確認中です。
- Aperture: ƒ/1.8
- Camera: iPhone 8 Plus
- Focal length: 3.99mm
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