Mark V 2台 ・TS-600・FT-1011ご出場【2019/01/09】
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おはようございます。冬晴れの横浜からは富士山が綺麗に見えています。乾燥しているので火の取り扱いには十分ご注意ください!
ラボは既に稼働率120%超えであります。そして年明け早々 Mark V が2台上がってきました。セパレート電源なのでラインが完全に塞がってしまいますから、サクサク作業を進めなければなりません。今日は与太話抜きで本題に入ります。
Mark V (その1)受信感度異常??
外装コンディションは上々の個体ですが、受信感度が急激に低下しているとのことです。何が起きているのか・・・・。取りあえず拝見しました。確かに感度低下はみられるのですが、普通に聞こえているように思います。SSGで規程信号を入れてみたところ、確かにSの振り方は控えめでした。本機は-130dBm以下でも復調するはずですが、やや耳が遠い様な気がします。全バンドとも同様の傾向にあるため、IFの離調を疑いました。送信については、Class Aモードで70W程度しか出てきません。送信ゲインが低下している様です。ファイナルのアイドリング電流を調整する必要がありそうです。送受のIFトラッキングとPAユニットの調整を行った結果、受信感度・送信出力とも満足できる数値に戻りました。
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【ご依頼内容】
- 受信感度低下
- その他
以上の修理を承りました。(総合調整)
【工数】
上記作業に2.0人日を要しました。(故障箇所診断・調整・負荷試験・検収・報告書作成・その他を含む)
【交換部品・使用ケミカル剤など】
- シリコングリース(樹脂パーツ手入れ)
- CAIG D-5 (接点洗浄)
Mark V(その2)電源故障の修理
こちらは外装がかなり草臥れている感じの個体です。電源が入らないとのことでしたので、当初はファイナル故障を疑いました。本機はファイナルが落ちるとHiVが短絡するため電源のプロテクション回路が動作して、シャットダウンする仕組みです。ところが本体は異常ナシでした。電源自体の故障です。FP-29に使用されているインバーターやトランスはディスコンの為入手困難です。そうなるとチョット厄介・・・。お預かりしたFP-29は上蓋のビスが外されたまま到着しました。中を開けてビックリ、HiVのDCケーブルが切断されています。ひえ〜〜〜〜〜〜〜〜。多分、基板をひっくり返そうとされたのでしょう。DCケーブルが繫がったままだと作業できないので「切断」されたのでしょうか。??です。切断するまでもなく、コネクタを外してしまえば良いだけの話なのですが。更に内部に設置されたコモンモードフィルタの端子が剥き出しのままケース内に転がっていました。シャーシに接触すれば確実に火を噴きます。埃堆積が顕著なので結露でショートした可能性も否めません。本機は間接制御方式、小電流で電源回路を起動後にトライアックのゲートを押して主回路を全通させる仕組みです。ブリッジに電位がないので、これらの手前に支障があると判断しました。起動時のみ電流が流れる5.1Ωのセメント抵抗が落ちています。温度ヒューズ内蔵タイプなので、簡単に落ちる場所ですね。135℃の5.1Ω 1.6Wセメント抵抗を用意してシリースに繫がる2個のセメント抵抗を交換しました。これで電源は入るようになりました。ところが、送信テスト中に10W程度で電源がシャットダウンしてしまいました。交換したばかりの部品を確認したところ見事に落ちています。本来、起動後にセメント抵抗に電流がながれること自体おかしな状況です。並列に繫がる主回路のトライアックが落ちていました。こちらはサンケンの600V/16A規格のトライアックです。サプライヤに確認したところサンケンの製品はとっくにディスコン、他社製の同規格部品が使えそうなので代替交換することにしました。トライアックが先に壊れたんですね。
ご依頼の修理は完了です。前述の通り、本体もかなり草臥れている個体です。どうにもこういうのを見てしまうと、綺麗にせずにはいられない性分です。VRやスイッチ類の穴に詰まった埃を全て除去、フロントパネルの洗浄とツマミ類の超音波洗浄を施しました。上蓋・下蓋・FPの側面にあるキズは流石に修復できませんが、「男前」な感じになったかと。
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【ご依頼内容】
- 電源が入らない
- その他の故障・修理など
以上について修理・作業を承りました。
【工数】
上記作業に工数4.0人日を要しました。(障箇所診断・調達・交換・調整・検収・報告書作成などを含む)
【交換部品・使用ケミカル剤など】
- トライアック × 1個
- 5.1Ω 135℃ 温度jヒューズ付き セメント抵抗 ×2個
- 熱収縮チューブ 10cm(DCケーブル修復)
- 結束バンド×4本(DCケーブル修復)
- CAIG D-5 適量
- シリコングリース 少量
TS-600 照明類のLED化工事
50MHzモノバンド機のTS-600であります。VFOダイヤルとBANDインジケーターのBLが切れています。この際、全照明をLED化して欲しいとのことでした。本機はメーターとVFOに豆球が使われています。その他のインジケーター類は麦球です。何れも15V仕様(13.8V)の電球です。LED化する場合は減流抵抗器内蔵タイプが使えればベターです。ON AIR・RITについては、3mmφの超高輝度白色LEDが使えそうです。メーターは豆球のホルダーを改造して5mmφの超高輝度白色LEDに減流抵抗器を組み合わせて仕込むことにしました。問題はVFOダイヤルとBAND・VFO/MEMORY インジケーターです。これらは豆球または麦球が照射部に対して90度の位置に取り付けられています。LEDは光軸が中心に集中するため、拡散フィルムを貼っても光は真横には出ません。その為、照射部に対して正対する位置に取り付ける必要があります。VFOダイヤルについては、シャーシ・ステーを活かしてLEDを設置できそうですが、BAND・VFO/MEMORY インジケーターは、構造上LED化は不可能と判断しました。ON AIR・RITから取り外した麦球をBANDに移植することとしました。
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【ご依頼内容】
- 照明・インジケーションランプのLED化改造
以上について修理・作業を承りました。
【工数】
工数 3.0人日(工事方針策定・部品調達・施工・負荷試験実施・報告書作成・その他を含む)
【交換部品・使用ケミカル剤など】
- 5mmφ白色超高輝度LED ×1
- 3mmφ白色超高輝度LED(抵抗入り) ×3
- 減流抵抗 22kΩ×1
- 拡散フィルム×4
- 熱収縮チューブ ×10cm
- ケルミット半田 少量
- 結束バンド× 5
※ 照明修理のため動画撮影は割愛させて頂きます。
FT-1011 LCDフラッシング
PLLアンロックが発生しています。FT-1021やFT-1000も同様ですが、VCOの電圧が規程値から外れるとLCDが点滅します。VCOのロック電圧が離調していたので既定値に調整したところ、正常にロックするようになりました。幾つかの要因が考えられます。VCOのバリキャップ異常、電源ラインのケミコン劣化等です。またレギュレーターICの劣化も考慮する必要があります。しかしながら、作業時には低電圧回路は正常でした。また、VCO周辺温度の著しい変化でも電圧が不安定になります。オーナー様より「工数を掛けたくない」とのご相談を頂いており、調整のみでお戻しすることにしますが、48時間程度エージングして異常は見られません。症状が再発する場合は、何らかの対策が必要になります。今のところ各バンドとも送受正常です。
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【ご依頼内容】
- 送受不可能・LCDフラッシング
以上について修理・作業を承りました。
【工数】
上記作業に工数1.5を要しました。(故障箇所特定・施工・負荷試験実施・報告書作成・その他を含む)
※ 1.5人日以下の軽微な作業につき、動画撮影は割愛させて頂きます。
今後の修理予定について
年末に着したHL-206Vの交換部品が届いています。こちらの作業に取り掛かります。その他、以下の順番で作業に入ります。
- HL-206V
- WP-712H
- FT-757GXⅡ
- RJX-601
- HL-550fx
- HL-130V
- その他の無線機など
今年も宜しくお願いします。m(_ _)m
- Aperture: ƒ/1.8
- Camera: iPhone 8 Plus
- Focal length: 3.99mm
- ISO: 80
- Shutter speed: 1/7s