TS-820S / IC-821 ご出場【2018/11/30】
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おはようございます。今週は晴天続きの横浜であります。気温は平年並みでしょうか。いよいよ11月最終日を迎えました。地獄の師走に突入であります〜〜〜〜〜。第二週は測定器校正のため操業停止しますんで、宜しくお願いします。

一昨日ご紹介した「水晶発振子カウンターキット」を組もうと思いパーツをプロットしました。回路図・取説はありませんが、基板に部品名称が印刷されているので難なく“プロット完了!”・・と思いきや、部品(コネクタ)が足りません。「出た〜〜〜!!」 流石、超廉価番の中華キットです。コネクタなので代用は効くか・・。まぁ、そんなこんなもんでしょう。笑 これ、何処に被験部品を挿すんだ?? wwww
さて、週末の作業もてんこ盛りです。サクサクご報告させて頂きます。
TS-820SのOH、CWフィルター装着
ピッカピカのTS-820Sをお預かりしました。アルミ製のダイヤルノブKB-1が装着された個体です。OHをご希望ですが、ケミコン類は殆ど交換済みでしたので、送受信のアライメントを中心に作業を進めました。内容は以下の通りです。
(受信調整の部)
- コイルパック調整 受信感度最大
- IFトラッキング調整 受信感度最大
- RIT調整 センター
- USB/LSB/CWキャリアポイント調整
- PLL(VCO)アライメント
- NB調整
- Sメーター校正 40dBμV = S9
(送信調整の部)
- コイルパック調整:最大値
- バイアス調整:60mA
- キャリアサプレッション調整:良好
- 終段中和調整
(施工の部)
- 接点洗浄・復活処理
受信部調整の結果、-140dBm(測定限界値)での信号復調を確認しました。
送信部調整の結果、最大出力は80W〜100W程度です。(正常値マイナス20W程度)
倍電圧整流回路の高圧ブロックコンデンサの容量は正常でした。トランスの二次側電圧が定格より100V程度低下し、整流後のプレート電圧が負荷時DC650V以下まで落ち込むんでしまうことが原因と思われます。状態の良い個体の場合、負荷時にDC800V以上掛かり、真空管のコンディション次第では120W〜150W出てきます。こちらについては“トランスの巻き直し”または“交換”を要します。偶にオークションでトランスだけ出品されていますが、二次側の800Vタップがちゃんと出ているか事前に確認しないとイケませんね。同様のトラブルはケンウッド製(トリオ製)の古いリグに多いんですが、過去にTS-930、TS-940の線材巻き直しをトランス屋さんにお願いしたことがあります。トランス屋さん曰く“芯材の交換が必要”なんだそうです。トランスは心臓に相当するパーツです。中古機を購入される場合は事前に確認できると良いのですが。因みに、トランスがへたると高負荷時にトランスからブーンと音が出たり、リップルが増大してスピーカーからハム音が出るので判別できます。
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【ご依頼内容】
- 総合調整
- CWフィルタ取り付け
以上について作業を承りました。
【工数】
上記作業に、工数2.0人日を要しました。(故障箇所診断・内部清掃・接点洗浄・調整・ケミコンサンプリング・報告書作成)
【交換部品・使用ケミカル剤など】
- CWナローフィルタ追加装着 (お客様持込)
- CAIG D-5
- CAIG D100L
IC-821 スケルチ故障!!

前回、PLLアンロック・バックライトのLED化でお預かりした個体ですが、サブ側のスケルチが開きっぱなしになってしまうそうです。今回は追加作業として取扱わさせて頂きました。本機のスケルチ制御はプロセッサが行っています。FM IF ICとデモジから出力されるAF信号をICスイッチ(IC28)で切替えてAFアンプへと送られます。その手前のミュートSWのIC28でオン・オフする仕組みです。IC28はHi状態でSWが閉じる仕組みでして、トリガーはDSPから出ています。DSPの52番pinがメイン側、53番pinがサブ側のトリガー出力で、フロントのスケルチツマミを回すと、何れのチャンネルも正常に電位がオン・オフされることを確認しました。ところが、メイン基板へのフラットケーブルの端子には電位が現れません。どこかで寸断されているようです。写真のプロセッサは1cm四方でピンピッチは0.3mm程度で、顕微ルーペで基板を追って行きましたが、パターン上の障害は見付けられませんでした。この基板は表裏実装されており、パターンも表裏を行ったり来たりしています。表→裏のスルーホールを小突いたところ導通するようになりました。ココが悪さしていたんですね。パターン幅は0.2mmですので修復は困難です。表→裏・裏→表の二箇所のスルーホール間をリード・バイパスして迂回させる工事を施しました。写真の通りです。
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【ご依頼内容】
- SUB側スケルチの不具合修理
以上について作業を承りました。
【工数】
上記作業に、工数1.5人日を要しました。(故障箇所診断・修理・調整・報告書作成)
【交換部品など】
- リード線 5cm
- グリーンコート(コート剤)
今日はMark Vがライン入りしております。第2ラインは、只今放送用機材の整備に入っており、アマ機整備は小生のラインのみで対応しております。今週末は休み返上で対応しないと、間に合わな〜〜〜い!! 皆様、良い週末をお過ごしください!!m(_ _)m
- Aperture: ƒ/1.8
- Camera: iPhone 7
- Focal length: 3.99mm
- ISO: 100
- Shutter speed: 1/6s