FT-757GX / Mark V(その1)ご出場【2018/09/26】
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おはようございます。天気はイマイチ、気温も低めな横浜であります。右足小指の怪我(骨折)がなかなか治らず、ちょっと不便だな〜〜。重量級無線機の上げ下ろしに苦戦中であります。全治6ヶ月を2ヶ月に短縮すべく只今禁酒中であります。(ウソですww)
MRF150 不良品着荷!!
先週末届いたMRF150ですが、ナント全て壊れていました。写真の通りゲート・ソース間が短絡しています。早着に喜んだのも束の間でした。このサプライヤから何度も仕入れています。X線検査で壊れるはずはないし・・・。出荷前検査していないのか??? 代替品を手配させています。一度でもこういうことが起こるとサプライヤの信頼度は地に落ちます。あり得ない!!!
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Power Mos FETの場合、ゲートとソース・ドレインの抵抗値は∞を示すはずです。上の写真の通り完全に短絡していますから使えません。しかも4個すべて! 当初予定の通り着手は10月になりそうです。今度は違うサプライヤから仕入れるので、払戻されないとラボは大赤字に・・。
FT-757GX 作業が終わりました!!
こちらは週末の作業で完成しました。既に映像もYouTubeにアップ済です。“WARC送信制限解除”、“周波数ズレ”、“Sメーターの振れが弱い”、“バックアップ電池交換”のオーダーです。リファレンスで80Hzの離調を確認しました。その他、キャリアポイント・シフトのセンター・ズレを確認しました。PLL・IFをファインチューンしています。Sメーターについては、十分振れていると思います。ノンプリで6dBµV=S1、100dBµV=FullScalですので、規定通りです。またIF調整後に測定限界付近で復調することを確認しています。電池ついては、規程部品の羽根付きCR-1/3NPが入手困難ですので、汎用CR-1/3N用のソケットで置き換えることにしました。このソケットはLR44×2個シリースの装着が可能です。LR44ならコンビニでも入手可能、交換電池もLR44を装着しました。WARC送信制限解除については、定番メニューなので割愛します。
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【ご依頼内容】
- 周波数ズレ
- Sメーター校正
- バックアップバッテリー交換
- WARC送信制限解除工事
以上について修理ご依頼を承りました
【工数】
上記の作業に3.0人日を要しました。(資料収集・調達・交換・調整・検収を含む)
FT-1000MP MarkV(その1)着手
こちらは岐阜のオーナー様からお預かりしている個体です。10W程度しか出力しませんでした。故障箇所はPAユニット内のドライバとファイナルの両方です。何れもフィリップス製のPowerMosFETが使用されています。診断時にお伝えした通り、バイアス・ライン上のケミコンが破裂し電解溶液がユニット全体に飛散していました。まずは電解溶液を綿棒にエタノールを浸して拭き取る作業です。放置するとPCBや部品が腐食するので要注意ですね。PCBの表面に焦げ痕がありましたので、炭化した部分を削り取りコーティング剤で処理しましたが、テスターを充てると既に導通してしまう箇所がありました。嫌な予感・・・・。続いて、故障したBLF145とBLF147(BLF147の片側は予防交換だったが・・結果的に壊れかけていた)を撤去します。半田ゴテを長時間充てるとPCBを焦がしてしまうので、半田面にフラックスを塗布しておくことが肝心です。素早く網線で半田を吸い上げて、隙間に耐熱針を押し込んでパターンを傷つけないように羽根を剥がします。リニアアンプなど、4発全てを交換する場合などは本当に骨の折れる作業になります。今回は3発交換しました。(汗)出力素子の装着面にはシリコングリスを塗布する必要がありますが、何故かドライバ段のシリコングリスが微量、これでは石の熱をヒートシンクに逃がせません。シリコングリスはたっぷり塗りましょう。続いてファイナル側も同様に作業しました。こちらにはシリコングリスがたっぷり塗ってあります。バイアス調整用のジャンパをオープンにして電流計を挟み、アイドリング電流を適正値に調整、規程周波数14.175MHzで230W出ていることを確認してPAユニットを組み戻しました。一応全周波数で200W前後でるのですが、何故か21MHzだけは170w程度です。ALCで調整できるレベルだったので、そのまま動画撮影を済ませました。なのでYouTube上では触れていません。その後21MHzのALCを設定しようとした際に、“ピー”という甲高い音が微かに聞こえたような気がしました。(回り込み時の音)気になったのでスペアナで確認すると100Wを超えるとヒゲが大量に発生、間違いなく発振しています。RFプローブで発生箇所を探るとプリドライバが暴れていることを突き止めました。PCBが焼損炭化していた箇所付近です。どうやら21MHzだけ容量性の反応が出ている模様・・・。PCBの内部も炭化が進行している可能性が高いですね〜〜。発振止めのCを追加してしまうと、他の周波数にも影響が及んでしまうためNGです。ここは21MHzの最大出力を抑えるしか術はなさそうです。オーナー様に確認すると、以前より21MHzだけはパワーが出なかったとのことでした。今回の故障の原因は、21MHzで発振したプリドライバの出力がドライバとファイナルの寿命を縮めた可能性が高いです。裏メニューでバンド毎のALCを設定可能ですが、何れのバンドも”7/15″に設定されていました。21MHzだけ”3/15″まで落としています。FMだとフルパワーでてしまうので、出力調整ツマミを12時方向より左に設定してお使い下さい。他のバンドについては、全て200W出ていますし波形も問題ありません。但し、PAユニットのPCB炭化の可能性が否定できない状況です。パワーは控えめに使われた方が宜しいかと・・・。貴重なMark Vです。フルレストの際には基板からワンオフで作り直した方が良いですね。尚、ご指摘のあったファン動作については問題ありません。
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【ご依頼内容】
- 出力低下
- PAファン故障確認
以上について修理ご依頼を承りました。
【工数】
上記作業に3.0人日を要しました。(調達・基板修復・交換・調整・検収を含む)
【交換部品】
- BLF145 ×1
- BLF147×2
- 小容量ケミコン×1
- シリコンググリス少量
- PCBコート剤
今後の作業予定
HL-1KFXは交換用MRF150が不良品だったため、再手配中です。今暫くお待ち下さい。Mark V(その2)は部品着荷次第作業を再開します。(間もなく到着予定)また、小生の担当ラインにはFT-747が載っておりほぼ作業は終了していますが、これから精密調整と検収でC/O予定です。その他は以下の順番で作業に入ります。
連休を挟んで変則投稿が続いておりますが、ラボワークは平常通りです。
- Aperture: ƒ/1.8
- Camera: iPhone 8 Plus
- Focal length: 3.99mm
- ISO: 80
- Shutter speed: 1/7s