IC-821 ご出場/ TS-830V症状確認【2018/02/23】

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 おはようございます。今朝の横浜は再び零下を記録しております。霙交じりの雨が降っていますが、午後には晴れて気温は上がってきそう。オリンピックはメダルラッシュだそうで・・・。特にスケートの女性陣が大健闘ですね。カーリングも何だかんだで準決勝に進出です。みんなで応援しましょう!!

 無線機の修理順番について、「送った無線機が数週間経っても直ってこない!」とか、「順番が回ってこないので送るのを待ってる」などなどのクレームが偶に来ます。お申し込み時の返信メールに長々と書いておりますとおり、着荷後も着手まで数週間お待ち頂くケースがございます。(混雑時は2ヶ月掛かる場合も・・)ライン毎に対応出来る無線機が異なるため型式によってお持ち頂く期間も異なっています。歯医者の予約ではないので今日はここまで」みたいには行きません。一旦作業を始めると、部品調達などの間合い発生時を除いて基本的には修理完了までラインを閉塞するため、前の修理が完了しない限り、次には移れません。

 これもお願いしていることですが、お送り頂く時期について事前に指定させて頂いた場合、その時期に必ずお送りください何らかのご事情で発送が困難な場合にはご連絡頂ければ幸いです。修理個体はラボに直接入るわけではなく一旦倉庫でお預かりしています。常時20台以上の無線機などが順番待ちで格納されており、都度担当エンジニアがピックアップする仕組みですので、着荷していない場合は、次週以降(予約)の修理品を優先させています。毎週月曜日にお知らせしている、“今後の修理予定について”に記載しているリストは、既に着荷している無線機ですので、「中々呼ばれないんだけど・・」はご勘弁下さい。m(_ _)m “直接持ち込み”をお受けできないのも、こんな事情があるためです。ウルトラ零細企業の苦肉の策です。どうかご理解下さい。

 無線機修理の方は4ライン対応のスイッチが入り、フル稼働中であります。まずは小生の担務分からご報告します。


電源入らず・・・

 このモデルも登場回数が多い無線機ですね。 掲題のとおりの症状でした。本機の場合、PAユニットにラインヒューズが入っており、まずはそこをチェックします。残念ながら問題ナシ・・・。そうなると次は制御回路の低圧DCの異常を疑います。電源スイッチは間接制御式ですので、DC5Vは常時出ていなければなりませんが、電圧が見えません。しかも基板が妙に暖かい。TA7805の故障を疑い、フロントパネルからDISPLAYユニットを着脱して、裏側に表面実装されるレギュレーターを確認しました。なんと熱源はレギュレーターです。基板から外して確認したところ壊れていません。5Vラインの絶縁値を測定すると短絡マークが点灯しました。”ケミコンでも破裂したか?” ありました!! 表面実装のケミコン一個の足下が茶色く汚れています。間違いなく液漏れしてますね〜〜。コイツを外してチェックすると完全にショートしていました。念の為、DCライン上にある同容量のケミコン数個もサンプリングしてみると、容量が半分以下になっているものがありました。表面実装部品ゆえ、通常部品の様にテンポよく交換とは行きませんが、なんとか“取りきり”ました。

 レギュレーターを戻して恐る恐る電源ON!・・。リレー音と共にLCDがキレイに点灯しました。送信・受信とも問題無さそうです。LCDのバックライトのLED化をご所望でしたが、球切れはなく、オーナー様とご相談の結果、温存することにしました。バッテリー交換のリクエストも頂戴しています。アレレ?・・バッテリーが見当たりません。サービスマニュアルに目を通すと、本機はEEPROMを使用とのこと。SDカードやUSBメモリに使われる”フラッシュメモリ”の一種であります。電圧を掛けなくてもデータを記録し続けるのでバックアップ電池が無いんですね・・・。汗汗 ということで、作業完了です。

同容量のケミコンは根こそぎ交換か
電源は入るようになった
433MHz 送信OK
145MHz 送信OK

【ご依頼内容】

  1. 電源が入らない
  2. バックライト交換(実施せず)
  3. BUバッテリー交換(バッテリー非搭載)

【工数】

3.0人日

【交換部品】

 47µF アルミ電解コンデンサ ×6個


TS-830V について

 第4ラインにて長期対応しております。こちら複数箇所に不具合アリとのことでした。SW・VR類が正常に動作しない件は、例の如くCAIG剤が大活躍であります。本当に良く効きます。別に代理店でもないので宣伝する必要はないのですが、国内の大手ケミカルメーカー製の接点復活剤とは比較になりません。少々値段が張るのが玉に瑕ですが、良品なので由としましょう。結果、全てのSW・VRが機能回復しました。特にAFボリュームは使い物にならんほど酷かったのですが、完全に治ってます。

 次はメーター不具合です。送受切替後などにSメーターが固まるとのことでした。これはリレーのベタ付きが原因でしたが、ソレノイド自体の動きが鈍い様です。交換しか術はありませんが、このリレーが入手困難です。小ラッチングリレーを二個並べて基板の上に載せモジュール化して対応しました。

Sメーターが固まるのはコレの故障が原因
小リレー×2でモジュール化

 3番目はVFOのドリフトです。送受信とも突然周波数が1.3KHzほど飛んでしまうそうです。小生の自己所有機も同じ症状に見舞われたことがあります。その際は、9Vの低電圧DCが不安定になり事象を起こしていました。9Vラインをモニターしていると、小刻みに電圧が上下したので分かりやすかったのですが、こちらの個体では入場後に一度も症状が再現しません。担当エンジニアにもこの件を申し送りしていますので、もう暫くウォッチさせたいと思います。


再修理対応終了!

 先月お出しした個体です。430MHzの送信不具合でお預かりし、腐食が進行したPAユニットの修復で出場させました。YouTube動画のとおり仕上がりには何等問題はなかったはずですが、お届け後、今度は完全に出力しなくなってしまったとのことで対応させて頂いた次第です。前回修理した箇所は、PAユニットのドライバ段(モジュール)のランド部付近で、RFユニットからくる1.5D2Vのジャンパーケーブルを含め、修復・交換しました。モジュールと基板の隙間に大量の埃が付着していたため、ここに結露して周辺が腐食したものと思われます。前回修理時は、基板側の修復を行いましたがドライバ段は動作していたためノーチェックでした。ドライバ段を小突くとやはり出力が出たり、出なかったりします。着脱してみると、4本ある足の内2本が茶色に変色しグラグラになっていました。どうやら足の根元から水分が混入し、内部の基板を腐食させていたようです。日立製PF0340Aですが、国内外ともに在庫がありません。ケース形状と寸法を確認したところ、三菱製のM67799MA で代替できそうです。これも海外からの取り寄せです。川崎税関通関中の通知が届いた翌日、やっとモジュールが届きました。写真のとおり寸法はバッチリです。入出力インピーダンスも特に問題ありません。交換したところ、後段の2SC3102を押して50Wの出力を確認しました。この様な状況なので、他の箇所も確認していますが、RFユニット側にも腐食箇所がありましたので、処置しています。ジャンパリードを動かすと発振する(APCが効かなくなる)箇所があるため、ケミコンが草臥れているところがありそうですね〜〜。ジャンパの取り回し位置を調整し、発振しない箇所に固定しました。最後は裏メニューを起動して、メーター表示を校正します。50W、20W、10Wの各ポジションを、校正済RF計と揃えて作業終了!。大変長らくお待たせしましたぁ。m(_ _)m

足がスポスポ・・・汗
三菱製のモジュールに交換
裏メニューでメーター現示調整済(20W)
50Wもキッチリ表示OK

 残念ながらTS-700Sはライン落ちとなりました。本日C5800の診断所見が上がります。TS-790(その1)は、3日間ロード・テストして一度も事象再現しません。本日中のテストをもって見切りたいと思います。また、TS-790(その2)の診断に入ります。駆け足の2月第4週が終わりますね。来週は2月第5週、予約済の修理品到着をお待ちしております。良い週末を!!!

  • Aperture: ƒ/1.8
  • Camera: iPhone 7
  • Focal length: 3.99mm
  • ISO: 80
  • Shutter speed: 1/15s

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