TS-830S ご出場 / TS-930S 作業終え / FT-290MkⅡ 再検査【2018/01/31】
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おはようございます。今朝はやや暖かいかな? それでも日中の最高気温は10℃に届かずとの予報です。ラボに入る前に修理品を保管する倉庫に立ち寄った際、坂道の上から遠く富士山がクッキリ見えました。クルマの温度計は0.5℃を示しております。寒さは暫くは続きそうですね。最近、当ブログに海外からのコメントが寄せられるようになりました。もっとも、英語はともかく、“中・韓・仏・独・伊”辺りならGoogle翻訳を通しますので問題ありませんが、それ以外となると、そもそも何語から日本語へ変換すれば良いか分からないため苦労します。
そんな時はコメントの返し様がないため、非公開のままにしています。英語に変換して投稿して頂けると、こちらもそのままお返しできます。皆さんYouTubeの動画をご覧になっているみたいですね。修理については日本国内からのお申し込みに限定させて頂いていますが、日本国内にお友達がいましたら、その人に代理で申し込んでもらう事も可能です。勿論、受発送先は日本国内になります。決済方法についてはPaypalが使えるので問題ありませんが、無線機を海外と往復させるには少々リスクがともないます。特にExpress Serviceで発送しますと、国によってはかなり粗雑な扱いをするため精密機器には不向きです。(梱包次第ですが)だからといって船便指定で1ヶ月以上かかってしまうと、その間に保証期間が終了してしまいます。そんな理由から海外については一律にお断りしております。日本国内のお友達がアマチュア無線家なら納品時の検証も代理で行って頂けるかもしれません。
それと、当ブログの紹介文に「修理指南サイトにあらず!」と記していますので流石に国内の読者の方にはご理解頂いていると思いますが、海外から「FT-690MkⅡの修理方法を教えてくれ」みたいなコメントが頻繁に寄せられます。以前は時間が許す限りメールで対応していたのですが、プライベートな時間が完全に奪われてしまい対応しきれなくなっています。無線機修理は時間と労力(力仕事という意味)、加えてオシロスコープや周波数カウンターなどの測定器が必要なだけです。裏を返せば、オシロやカウンターを使える技量があれば、無線機なんて誰でも簡単に直せるということかもしれませんが・・・。何れにしても一応“食い扶持”なので、そこはご理解のほど。出来れば、会社経由で修理をご依頼頂きたく存じます。
「えっ、お前が日本の友達になれっ!」って・・。なるほど!! (冗談)
TS-830S の検証終了!!
隣のラインから引き継いだTS-830SがC/Oであります。こちら“ブロックコンからの液漏れ”“サイドトーンが聞こえない”“操作パネルSW/VRの接触不良”についての修理ご依頼でした。
まず、高圧ブロックコンデンサーの件から・・・。目視しただけで液漏れは確認できました。取りあえず端子を開放させて容量を測定したところ、何れも100µF(正常値)→50µF程度に落ち込んでいます。これは即交換ですね。UNICONのHiFiオーディオグレード 100µF/500Vがサイズ・容量ともにジャストフィットです。社内にストックがあるので助かりました。Marcomのブロックコンが装着されていましたが、恐らくここ20年の間に交換したものと思われます。(オリジナルはNichiconもしくはELNA)固定金具がそのまま使えたのでラッキーでした。容量抜けが進行すると、内圧が低下して電極がショート・破裂するので要注意です。破裂させると内部に電解溶液が飛び散るため一大事です。HVを確認したところ、無負荷時に900V、最大出力送信時に850Vでした。交換前は送信時に700Vまで落ち込んでました。
次はCWサイドトーンが出ない件についてです。CW自体は正常に送信されていますが、VOXが開きません。即ちフル・ブレークインできない状態です。VOXに入る手前のTP1にサイドトーンの波形が出てきません。OSCが動いていないようです。Q1の各端子電圧を測定すると、コレクタ以外に電位が無いことが判りました。バイアスが掛かっていないのでコレクター〜エミッタが閉じません。バイアスには整流ユニットから供給されるDC100Vを分圧した電流が流れます。キーダウン時、0.5V程度しか掛からないことから上流の整流ユニット(RECTIFIER UNIT)のSTBが出力していないようです。ここはDC210Vを分圧して出てくるはずです。ところが210VA端子を測定すると正常な電位を確認しました。100KΩ+100KΩで分圧しているだけですから、ここが悪さしていると見て間違いなさそうです。R13を取り出してテスターをあてましたが、全く導通がありません。1/2Wのソリッド抵抗に交換しました。結果正常電位(110V程度)になることを確認しています。AFユニットも元に戻してC’K・・。キーを叩くとキレイなサイドトーンが聞こえます。VOXも正常に動作しました。
フロントSW/VR類のガリが顕著です。ご指摘の箇所はPROCボタンでした、むしろAF/RF、MIC/CAR、VBT/TONE、バンド切替SW辺りの方が酷い状態です。特にボタン類に関しては洗浄剤を注入できる穴がないため、CAIG D5に取りだしたSWを浸しました。メンテ用の穴が空いているパーツについては、CAIG D100Lを直接塗布します。この効果は絶大でした。見違えるようにガリが消えましたョ。
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【ご依頼内容】
- 液漏れブロックコンデンサーの交換
- CWサイドトーン故障
- SW/VR類の接点・接触不良(ガリ取り)
について、修理・作業を承りました。
【工数】
3.25人日
【交換部品・ケミカル】
- 高圧電解コンデンサー(ブロックコンデンサー)100µF/500V ×2
- 1/2W 抵抗(RECTIFIER UNIT R13)
- CAIG デオキシット D5
- CAIG デオキシット D100L
TS-930S 本日負荷テスト(8h)
大変長らくお待たせ致しました。MRF485のオリジナル(オレンジ)が到着したので施工しました。某有名修理屋さん(個人)の方が修理施工され、数ヶ月後に送信不可状態となった個体だそうです。MRF485と書かれた怪しいパッケージの石が乗っていて、一つは原型を留めない状況で焼け落ちていました。この石Alibabaで見つけました。(買っちゃダメ) 2SC1969でリプレイスしておいたほうがよかったかも? 交換後バイアス調整をキッチリ行いました。VCC28Vで駆動させるため、アイドリング電流は12V系よりもかなり低くなります。2SC1969を使う場合にも注意が必要で、12V時のIdをそのまま当てはめると恐ろしい結果になるのは言うに及ばずですが、どこかのサイトに平気でウソ八百書いてありました。そもそも28Vで使う石ではありませんが、換算すれば良いだけの話です。そういう人がfacebookで偉そうに振る舞っていますけど、かなりイタいです。ww すみません話がそれました・・・。ドライバを交換したので、トータルの送信ゲインも調整しておきます。14MHzで110W出るようにセット(規定値)。プロテクション設定はANT開放で10WのままでOKでした。ATUは案件外なのでスルーします。(あ、調整をという意味で ww)
で、もう一つのご依頼である“LCDの最小表示桁数を100Hz→10Hzに拡大”についても施工しました。こちらはRJX-601のメンテナンスパック並に定番なので説明は割愛します。ご覧の通り、小数点以下の桁数が増えているのがお解り頂けるかと存じます。
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【ご依頼内容】
- ドライバ段から発煙
- LCD桁数を10Hz単位まで拡大
について、修理・作業を承りました。
【工数】
2.0人日
【交換部品・ケミカル】
- MRF485 (オレンジ・グレード) ×2
- 0.5SQ AW線 10cm
FT-290MkⅡ 気になるところがあり・・
リモートから試験卓に上がってきた本個体でありますが、少々きになるところがありラインに戻しました。ご依頼の箇所については問題ないのですが、AFにヘンなノイズが入ってます。こちらについて調査中ですが、恐らく復調〜スケルチの何処かで、素子劣化もしくはケミコン劣化が発生しているものと思われます。詳細が分かり次第、オーナー様にフィードバックさせて頂きます。
余談ですが、貧乏学生だったころ、当時凝っていた電子工作の部品として使用頻度の高かったタイマーIC 556(今はなきIntersilブランド)が、千石電商で一山100円で売られていて、ムチな小生はついつい手を出してしまいました。ブレッドボードのような便利なものは無い時代です。万能基板上で自分の設計した回路の動作実験を行うべく何個もトライするのですが一向に動きません。どこが悪いのかサッパリ??・・な状態が続いて途方に暮れていたとき、偶然(疲労困憊で)ICを逆さまに装着していたことに気付かず電源を投入したら、ナント動いたのです。調べてみると、購入した全てのパッケージが逆さに製造されていました。そんな注意書きなかったし・・・。やはり、パーツはサプライヤから仕入れた方が安心です。
- Aperture: ƒ/1.8
- Camera: iPhone 7
- Focal length: 3.99mm
- ISO: 80
- Shutter speed: 1/7s