週明けです。【2017/01/10】

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 おはようございます。三連休が終わりましたなぁ。もっとも小生に三連休は無用でしたが・・・。(汗)停滞中のラボワークを挽回すべく、ほぼ三日籠もりっきりでありました。年末年始は体調が優れませんでしたが、いよいよエンジンが掛かってきた感じでです。

2台の が仕上がった!

 どうも”R-820″を単なる送信機抜きTS-820と思っておられる御仁が多い様ですが、シングル・スーパーのTS-820に対し、R-820はトリプル・スーパーであります。8.83MHzの1st IFまでは共通ですが、その下に455KHz、50KHzと二段落とされます。即ちフィルターも8.83MHzをルーフィングに、455KHzにも2個装着可能、計5個のオプションフィルターの装着が可能です。性能的にはTS-830の受信部が近い様な気がしますが、4段ATTやルーフィング・フィルターの切替など、後の900番台に装備されることになる機能が搭載されているのが特長です。今回はオーナー様拘りの一号機からチューニングさせて頂きました。 

(1) ボタン、VR等の接触不良
(2) 全バンドに於いて、20dB程度の感度不足
(3) YG88SW (SSB2.4KHz/1stIF フィルター)の劣化 (通過ロス 5dB程度)
(4) BFO/キャリアポイント 離調
(5) モルト劣化によるシャーシ腐食

 これらについて、以下の通り作業を実施しました。

(1) AVR電圧の適正化 9V ±0.1V 3.5V ±0.1V
(2) IF、RFトラッキング → 受信感度改善
(3) VCO/OSC 調整 → 適正値 .250KHz時:3.2V / OSC基準周波数調整
(4) BFO AM,CW/USB,LSB/RTTY について、適正周波数に調整
(5) キャリアポイント USB/LSB受信時、200Hz-2800Hzの復調レベルを均一化
(6) フロントボタン、VR類、内部ロータリーSW類の接点洗浄・復活処理
(7) NB調整
(8) NOTCH調整
(9) Sメーター調整

一号機のフィルター群
AM BFO周波数
LSB BFO周波数
VCOユニット取り外し
腐食部の洗浄・防錆処理
感度回復!!

 まずはAVRの規定電圧調整から。周波数安定に最も影響しやすい低圧定電圧回路の調整です。規定9V±0.1V、3.5V±0.1Vに調整しました。半固定VRにガリは無く、何れも0.5V以内の誤差でした。ケミコン類は大丈夫そうです。

 IF、RFは流石にトリプル・コンバージョンなので、調整箇所も多めです。RF〜IFまで約30箇所を調整しました。15dB〜20dB程度、感度改善しています。

 VCO/OSCについては、各バンドで250KHzダイヤル現示で3.2VにVCO電圧を調整、ローエッジ・ハイエッジでアンロックの発生がないかチェックします。リファレンスについてもキッチリ調整しました。

 BFOは各モードで規定値に調整した後、2.4KHz選択時にLSB/USBで200Hzと2800Hzの出力レベルが一定となるように、キャリアポイント調整しました。この調整は少々骨折れであります。

 スイッチ類、VR類は、CAIGの原液で洗浄・コーティング処理を実施しました。かなり快調です。

 NB、NOTCHは規定値内でした。

 Sメーターは、AGC調整を兼ねて40dBµV規定値に調整しました。

 少々気になる点は、YG88SWの通過ロスです。元々ロスが多めのフィルターでして、本個体では最大5dB程度の減衰します。実用上は問題ありません。ロスが少なめのフィルターだと、特性がアマアマだったりするので、この程度が良いのかもしれません。特性的には良好だと思います。

 

問題は二号機(何とか修理完了)

いきなり重篤フラグUPの二号機

 こちらは正直手を焼きました。まず周波数が表示されません。調べてみるとVFOが全く動いていません。そこでVFOの代わりにSSGから5.3MHzを突っ込んでみると各バンドでキチンとロックすることが判りました。前回ご返却したTS-820(2)のVFO抜き取って使用する手もありましたが、「VFOを修理せよ!」とのご意向を賜りましたので、VFO抜き取り・分解・修理にチャレンジした次第です。VFOを取りだしてケース横のメンテナンス・ピットを開けてみると驚愕の事実が・・・。バリコン羽根が故意に曲げられています。「これは禁じ手」です。恐らく、何方かがVFOの異常に気付かれ、修理に挑戦されたものと推察しますが、正常な容量が出ないからといって羽根を曲げては行けません!!(汗)両サイドの羽根は特性カーブの調整用に円板が分割されていますが、凸凹に曲げるのはダメです。実際にオシロでVFOの出力を監視してみると、下の方では規定値に近い出力が現れ、上に回して行くと所々で波形が荒れながら、全く出力しない箇所が所々・・・。しかし、何度か回していると正常波形の範囲が拡大していくことを確認しました。VFO基板に異常は見られないことから、バリコン軸受けの摩耗劣化を疑い、CAIGを両端に何度も吹き付けながら何度もバリコンを回転させました。特に酷いのは180KHz付近、それと400KHz〜500KHz辺りで波形が乱れやすく、この辺りを行ったり来たりさせたところ、ほぼ全域で正常に出力する様になりました。先程まで真っ暗だった周波数カウンターが、全バンドで復活です!! 但しバリコン軸はメッキが剥がれているので、温度・湿度の変化でも症状が悪化する可能性が否めません。先ずは使うことで「ガリ予防」をお願いします。同様にSメーターの可動部も引っかかりがありましたが何故か動くようになりました。交換予定でしたが、大丈夫そうです。

SSGから5.3MHzをインジェクションしたら周波数ロック!!
両端の羽根が・・・涙
分解修理かかれ!
羽根修正中・・・
軸受け部の摩耗劣化が原因
VFO正常動作復活!!
羽根も元通り!

 その他の調整箇所は一号機同様です。こちらは8.83MHzのCWフィルターと、455KHzのCW、CW-Nのフィルターを取付てからの調整です。6KHzのルーフィングがないのですが、これは無くても良いかもしれません。IF-A上のディップSWの位置については好みもあるかと思いますので、後ほどご自身で切替て頂ければ幸いです。(取りあえず、2,4,6,8,9をONにしてます)

周波数が出るようになった!
二号機はフィルター無し・・
フィルター実装完了!
二号機も修理完了です!

 はいっ、そんな訳でございます。一応ロードさせてみます。問題無ければC/Oです!

今後の修理について

 TS-820(R-820)×4台が仕上がりました。今週から第二ラインも稼働しますので、頑張りますョ! うわっ、また巨大なリニアが・・・。以下については、これから診断に入りますので、“行けるか行けないか”の判定からさせて頂く事になろうかと思います。TS-930も電源部を解体し、故障原因を特定しました。先日のTS-820同様、電源トランスの飽和が引き金となり、定電圧トランジスタを破壊したものと思われます。この故障、何故かケンウッドだけなんです・・・。(かつてTS-940、TS-950でも同様の故障を確認しています。)いずれにせよトランスを調達せねば・・・。

  1. TS-660
  2. FT-100
  3. FL-2100B
  4. FT-817
  5. HL-2.1K
  6. TS-930 (長期対応中)
  7. その他の無線機
  • Aperture: ƒ/2.2
  • Camera: iPhone 6
  • Focal length: 4.15mm
  • ISO: 100
  • Shutter speed: 1/30s

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