IC-275 重篤フラッグ上げ → 修理完了 【2016/10/14】
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おはようございます。急に秋らしくなりました。昨日は通院・治療の為、半日奪われてしまいましたぁ。汗 この週末は江ノ島花火大会、母校のOB祭(連合三田会)と屋外イベントが続きます。風邪をひかぬように・・。今日は金曜日、頑張って参ります。

FL-7000を送り出し、小生の試験台にはIC-275が上がって来ました。既にお伝えしているとおり、周波数制御がNGです。当ラボ着荷時にはVFOを左右何れの方向に回してもUPしてしまう症状を確認しています。本機を含め、IC-731、IC-375、IC-575も同様の症状が頻発しますので、すぐにエンコーダー不良であることを疑いました。これらには同じロータリー・エンコーダーが使用されています。エンコーダー本体を回すとスリットを通過する赤外線のタイミングで電位がオン・オフ(パルス)しますが、方向・速度感知はデジタルトランジスタから発せられるパルスパターンとの差を照査することにより行っています。ここで使用されているRN1204はhFEのバラツキが顕著で、経年劣化も著しい為、最初に故障を疑いました。当ラボには在庫が無いため某サプライヤーから10個ほど購入しました。何故10個かというと、hFEのバラツキがあるためです。装着されていたRN1204のhFE を測定したところ、一つが55、もう片方が48を示しています。定格値は80ですのでかなり低めです。購入した物も80をクリアするものは一つも無く、50〜65程度しかありません。アナログ・テスタのhFEメーターで観ていますので誤差も考慮し、最もhFEの大きい2個を選別して交換することにしました。残念ながら結果は改善されません。そもそも単純なSW動作なのでhFEは関係ないと思いますが、一応揃ってないと気持ちが悪い・・・w。 逆に不安定になった気がします。 今度はLEDとフォトSWを交換してみました。こちらは指定品がディコンのため、アイコムさん推奨の代替品を取り寄せました。GL480とIS486で何れもシャープ製です。こちらも恐らく生産中止品で現在は潤沢に在庫がありますが、その内枯渇するでしょう。これらを交換しましたが、結果は同じでした。
Voを突くと周波数が上下する
ロジック回路側の異常でしょうか? 少々解せません。フォトSWのVoの反応が見えません。(フォトインタラプタは2個あるので、Vo1、Vo2、Tr1、Tr2が、受光時ON、ON、OFF、OFF、遮光時OFF、OFF、ON、ONとなるはず) エンコーダーを回転させるとパルスが出てくるはずなのですがオシロは無反応です。これが出ていないと言うことはデジタルトランジスタも開閉しません。スリットに変形や目詰まりはありませんし・・・。試しにVoをGNDに短絡させてみました。短絡と言っても繋ぎっぱなしにするわけではなく、100Ωの抵抗で突いてみるという意味です。すると、UP/DOWNとも正常に動作します。ロジック回路側は正常に動いているようです。VoはフォトSW内でVCCと抵抗で繋がっており、遮光時には電位があります。受光するとSWがON、即ちVo〜GNDが開通します。この時、Voは0VとなるためRN1204のベース電位も0Vとなりコレクタ〜エミッタが閉じられ、コレクタの電位が上がります。
そもそもの回路定数に疑問?

赤外線LEDなので点灯状態を目視できません。デジカメを使って確認してみました。iPhoneやXperiaの内蔵カメラではだめで、CCDを搭載する少々古いコンデジを引っ張り出してきました。写真の通り、発光状態は確認できました。IS486は少々デリケートで、受光部とLEDの光軸を合わせるために何度か捻っているウチにリードが内部で切れてしまいます。(3個を無駄に) 頭を冷やして、回路を追いかけることにします。LEDはシリースに繋がっており両端の電圧は2.2Vでした。1個あたり1.1Vということになります。GL480のVfは1.2Vが定格値でPVfが4Vです。1.1Vは少々低い気がします。VCCには5.0V掛かっており、LEDとの間に220Ωの抵抗が挿入されていますが、コレが少々大きめですなぁ。オリジナルのGL430も定格は一緒です。If値20mAとして計算してみると、定格1.2V×2で2.4Vが適正電圧だとすると、VCCとの電位差2.6Vで130Ωが適正値ということになり、220ΩだとIfが半分しか流れません。なぜ220Ωなのでしょう。光量は十分と言うことでしょうか? 不明です。 取りあえず130Ωの抵抗は無いので100Ωに交換してみました。すると、2個のLEDの端子間電圧は2.4V(1個1.2V)となり定格電圧となりました。しかし、状況は改善せず・・・。まいったな〜〜〜。出口が見えません。光軸がスリットを通過できないのかな?? もう一度エンコーダー組み付け状態でパルスの立ち上がりを確認してみることにします。
真逆だった・・・汗

まずフォトSWの動作を確認する方法を考えました。同じLEDとフォトSWを正対させて実験すれば良いのですが、もっと簡単な方法があります。テレビのリモコンを使う方法です。エンコーダー本体から基板を分離し、フォトインタラプタ部に名刺(適当なものがなかったww)を挟んで赤外線LEDの光を遮断します。その状態で、テレビのリモコンの赤外線発光部をフォトカプラに近づけます。リモコンの電源ボタンを押したところ、オシロにパルスの反応がありました。周波数も変化しています。2個あるフォトSWをそれぞれマスクして実験したところ、ちゃんとUP/DOWNします。これで原因は特定できました。何故、赤外線LEDに反応しないのか・・・。「もしや・・・」 使用したリモコンは偶然にもAQUOS(シャープ)の付属品です。勿論発光素子は自社製でしょう。現在、シャープのカタログには3種類の赤外線LEDのみがラインナップしており、リモコンには同じGL480(若しくは広角のGL4800)が使用されている可能性が高いのです。リモコンは4〜5m離れた所から受光部に向け照射して動作します。ということは・・・・。「逆に光量過多??」 試しに、フォトカプラにベタ付けしてリモコンの電源ボタンを押してみました。さっきは正常に動いたものが全く無反応です。早速、先程交換した限流抵抗100Ωを1KΩに交換してみたところ、見事にエンコーダーが復活です!!!
光量過多による「飽和」が原因ですね。GL430(オリジナルのLED)の特性に対して、半分以下のIfとなる220Ωが使われていた理由が判明。勉強になりました!(>_<)
やっとエンコーダーが復活しました。次はPLL、まだ道半ばです。
追記【2016/10/14 16:37】
PLLその他は問題ありません。周波数制御は正常に回復しました。エンコーダーも分解清掃しましたので固着もなくなりスムースに回転しています。これにてC/Oとさせて頂きます。
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