HL-1000 Marine 作業終了 【2016/06/17】

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  おはようございます。今度は函館で地震だそうです。している最中に大地震に襲われたら、間違いなく測定器が落ちてくるでしょう。かなりヤバイことになりそうな予感。備えておく必要がありそうですなぁ。横浜はかなり危険な様ですから・・・。

SD2933 着荷
SD2933 着荷

 の修理がスタックしておりました。一昨日UPS便でSD2933が届きました。納期2週間以内と聞いていたのでビックリです。早速検品しましたが問題ない模様、お預かりしているHL-1000はMosFET4発すべてが逝かれ、交換が必要でした。代替用SD2933の到着に備え、壊れたFETは既に取り外してあります。これがまた厄介な作業でございました。ソリッドステート・アンプの修理では毎度のことですが、トランジスタやFETを基板から取り外す作業が以外に面倒です。1個当たり20〜30分ってところです。しかも、周辺の抵抗やプロテクション・ダイオードなども外す必要があり、取り外し作業だけで数時間要しました。因みにお預かりした資料は”HL-1000 MARS”のもので、”Marine”とは異なります。”MARS”にはプロテクション・ダイオードなどは付いていないようです。しかも”Marine”はHF全域をカバーする“ゼネカバ・アンプ”です。実際にこれで落成検査を通されているとのことですので問題ないと思いますが、ロジック回路の一部はバラックになっていて、“試作機”の様な雰囲気であります。THPが破綻した直後、ネット・オークションにはリニアアンプやATUの“試作機”が大量に出品されましたね〜。

電源のナゾ

MosFET交換準備中
MosFET交換準備中

 本機はAC200V〜230Vが動作範囲と明記されていますが、実際には高めの電圧を掛けないとリレー類が正常に動作しないことがある様です。MosFET全損の原因はLPFリレーが正常に切り替わらなかった為であると診ており、この辺りも本機が“試作機”である可能性が高い要因の一つです。電源電圧は100V系と200V系が自動的に切り替わる回路構造ですが、100V〜120Vで動作させた場合、リレーなどの低圧電源系は12V前後に設定されるものの、MosFETのVDDは24V〜28Vに低下します。これは200V系で運転した際の約半分です。電圧降下も大きい為、出来れば200V系で使用するべきでしょう。また、リレー・トラブルを避けるためには220Vで運転することを強くオススメします。無線機修理受付のHPにも記載している通りラボは200V系での作業が行えないため、トランスのタップを次の様に変更しました。以下にタップ・アサインを記します。

タップ位置 記号 200V〜220V時 100V〜120V時
120V J    
110V I    
100V H AC 2 Cへジャンパ
50V G    
0V F Cへジャンパ Aへジャンパ
120 E    
110 D    
100 C Fへジャンパ AC 2 / Hへジャンパ
50V B    
0 A AC 1 AC 1 / Fへジャンパ

出場時に戻します

MosFET交換完了

 空になった素子ポケットにシリコングリースを塗布、少々多めに塗っておきます。交換用のMosFETを基板に載せ、羽根をハンダ付けし、取り外したプロテクション・ダイオードや抵抗類を元に戻します。装着前に各接点フィールドの絶縁状態を確認しました。装着後も同様に確認します。トランス結合のプッシュプル回路の場合、片側が絶縁破壊されると隣の素子にも飛び火するため一気に壊れます。ここは慎重に行きましょう。一通りチェックし後に電源を投入、VDDが正常に掛かっていることを確認、ゲート側への越流もありません。次にOPERスイッチをONにして、リアのSTBY端子を短絡させます。この状態で各FETのゲートに掛かる電圧を確認します。各FETとも均一にバイアスが掛かっている様ですが、ココは後ほど調整することにして、先に進みましょう。次はLPFリレーの動作確認です。前回は100V駆動時にIn/Outがキチンと切り替わらないケースを確認しています。今回は115Vかつトランスのタップも変更ししているので大丈夫だと思いますが、ここが正常でないと再び壊れます。一通り確認したましたが、リレーは正常に動いておりました。

エキサイタを繋いでテスト

タップを200V仕様に戻したのでVDDが29Vに・・
タップを200V仕様に戻したのでVDDが29Vに・・

 フロントパネルのディスプレイにVDD電圧が52Vと表示されています。電圧は正常です。まずは10W程度で押してみます。14MHzで80W程度出てきました。MosFETは正常に動作しているようです。(一安心) LPFを切り替えて、1.9MHz〜28MHzまで確認しました。各バンドのゲイン差は若干あるものの、概ね70W以上出ていました。今度は80Wで押してみると、概ね600W程度出てきました。優秀ですね。100Wまで押し上げてみます。ALCオープンで800Wまで確認しました。LPFは手動・自動両方確認していますが、20W以下で押した際にエラー(アラート点灯)表示となった時が一度ありましたが、25W以上では発生しません。

電源タップを元に戻します

 前述のタップ・アサインを元に戻します。(200V仕様へ)115V運転に際し、一時的にヒューズも15Aに交換したので元のヒューズに戻します。100V系で使用する場合は、倍の電流が流れるのでヒューズ交換はお忘れなきよう!! バイアス電流を調整し、ロードテスト中です。今週の出場案件はココまで・・・。

 

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