FT-101E(その1) 修理・調整中 【2016/04/13】
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ヤバイです。夜中の2時になってしまいました。ft-101e(その1)は難なく終わるかと思いきや、結局、故障修理に追われる羽目に・・・。VR/SW類の接点洗浄と簡単な調整で済むと思っていたのですが・・・汗

オーナー様より「マイクゲインVRを回すと送信できたり、できなかったり・・」というご報告を頂戴しており、単なるVRのガリだと思い込んでいました。ところがドッコイ、VRのガリではなく、IFとMIXERの間に入っているALCを兼ねたプロセッサー・ユニット内の回路短絡が原因で、電波が出たり、出なかったりを発症していたようです。しかもこの症状はSSBでしか起きません。AMとCWはプロセッサーは通らないからです。しかも短絡の原因は「金属製のヘアピン」でした。こんなコトってあるんですね〜〜〜。コーヒーぶっかけ事件を超える珍事件であります。以下に、修復までのプロセスを記します。
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全てのユニットを取り外して、底やソケットに溜まった大量の埃を歯ブラシとハンディークリーナーで除去。基板劣化も激しいので取り外す際には要注意です。出来ればケミコン全交換と行きたいところですが、3人日は掛かってしまうため今回はパスしますが、電源ユニットの大容量電解コンデンサーは早期に交換することをお勧めします。半田劣化部分は再処理してから戻しました。実装面の部品やリード線に絡みついている埃は、パイプ煙草用のモールで丁寧に除去します。清掃を終えた後、送受信のトラッキングを実施しました。出力は概ね80W〜100W出ています。受信感度も前述の通り全バンドで-140dBmから復調することを確認しました。最後にSSB/AMで変調テストしたところ、SSBの変調だけが出てきません。AM/CWは正常です。マイクゲインVRの接点洗浄を実施しましたが、AMは正常に変調しています。オーナー様が報告されていた「マイクゲインの位置によって出たり出なかったり・・」という件に関連していると診ました。
SSBだけが使う部分・・IFユニット〜FIX/PROCESSERユニット辺りか?
IFユニットの10番ピンからUSB/LSB出力が出て、これがFIX/PROCESSERユニットに繋がっています。ここにオシロを充てて送信状態にしたところ、IFのキレイな正弦波が出てきました。FIX/PROCESSERユニットの出力側では波形が視られません。FT-101やFT-901はユニットが立てに刺さっているため、テスターリードやプローブが充てられません。そこで登場するのが、エクステンション基板。通称「ゲタ」であります。これを使うとメンテナンス性が各段に向上します。FIX/PROCESSERユニットだけはプラグインではなく、表層に水平に置かれているため「ゲタ」は不要です。このユニットにはSSB変調時のマイク・プロセッサ回路とバイパス回路を備えており、ALCアンプと2.4KHzのクリスタル・フィルタで構成されています。プロセッサがOFFの時はこれらをバイパスして、入力と出力にあるALCバッファのFETが直結される仕組みです。例のヘアピンはここで見つかりました。IFTの溶断でないことを祈りつつ回路をチェックしてゆくと、出力側の2SK19が動作していないことを突き止めました。FETのVCCにはALCの電位が掛かっており、出力が上がるとマイナス電位になる部分ですが・・・。ヘアピンはALCラインを短絡したようで、ALC側のダイオード一個が逝かれているのを確認、交換したら見事にSSB変調が復活しました。恐らく、マイクゲインVRの件もココが悪さしていたためでしょう。
トドメに更にもう一箇所・・・
トラッキングを終え、変調テストも、SSB/AMともに良好であることを確認してケースに収めてロードテストを行う為に7MHzを聴いてみると、SSBでやたら被ります。抑圧するほど強い局でもなく、4KHz以上離れている周波数から被っています。明らかにフィルターが機能していません。IFユニットを再度確認したところ、SSBフィルタ周辺で繋がっていないはずの箇所が半田でブリッジされているのを見つけました。なぜココがブリッジされていたかは不明ですが、普通に使っていて気付かないかと言えば、そうなのかも知れません。そもそも、3KHzを逸脱して被してくるダダ漏れの汚い電波を出しまくっている局が悪いんです。(汗)半田を吸い取ったところ正常に機能するようになりました。因みに、ケース内からは写真の様な白い樹脂のような異物も見つかっています。
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出力は概ね100W、受信感度、選択度とも問題ありません。変調も大変キレイです。周波数ドリフトも感じません。問題無ければC/Oと致します。