IC-746 修理困窮 【2016/03/17】

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 お疲れさまです。連日、過負荷な夜を迎えております。汗 一昨日より作業中のですが、故障箇所が複数に及んでいることが判明しました。恐らく根っこは一緒だと思われます。

間違い探し・・・
さぁ〜〜、間違い探しです

 昨日、HF系・144MHz系のファイナルに、それぞれバイアスを供給するトランジスタの異常についてお伝えしました。その後、ドライバ段周辺を丁寧にチェックしたところ、2SC1972のベースのバイアスも掛かっていないことに気付きました。完全にC級動作です。回路図を調べると、そもそもバイアスが供給されていません。いやいや、FM専用機ならまだしもSSB/AMを増幅するドライバ段にバイアスが掛かっていないなど考えられません。回路図に変な箇所を見つけました。

 ドライバ段手前の段間結合トランスは、トランジスタのコレクタとVCCの間に1次側コイルが挿入されています。よくある増幅回路ですね〜〜。ところが、何故かセンタータップがあって、送信時に8Vが掛かるラインに接続されているではありませんか! こんな回路は有り得ません。14VのVCCに8Vは完全に埋没するので無意味・・・。念の為、トランスの導通を調べると、1次側両端はキチンと導通しています。しかし2次側の両端は導通していません。さらに1次側のセンタータップが2次側の片方と導通しています。やっと気付きました。 

 トランスを外して巻き線をバラしてゆくと、1次側の6Tにセンタータップは無く、2次側の3Tにセンタータップがあり途中で断線しています。回路図は大嘘つきでしたが、な〜るほど理解できました。

トランスの巻き線をバラす まさかの精密作業(汗)
まさかの精密作業(汗)
4個とも焼損しているチップ抵抗
4個とも焼損しているチップ抵抗

 しかし、プッシュプル(2Sc1972)の両側ともバイアスが掛かっていません。となると、トランスから2SC1972(プッシュプル)のベースとの間が直流的に寸断しているとしか考えられません。回路図上は、保護抵抗を兼ねたアッテネーターのチップ抵抗1Ω(パラ×2)がベースとの間に入っているだけで、直流的に障害になるものは他に存在しません。チップの抵抗値を測定すると、なんと片側は1KΩ以上を示しており、もう一方のトランジスタに繋がる抵抗も400Ω付近。即ち、焼け落ち状態です。トランス2次側も溶断とみて間違いないでしょう。何らかの理由で異常電流が流れたものと思われ、先に発見したファイナルのバイアスTRの故障とも関連しているとみて間違いありません。

金属皮膜抵抗で代替ww
金属皮膜抵抗で代替ww

 2SD1406は未着ですが、見つかった箇所から直すことにします。このチップ抵抗は2012型で2mm各の角形チップです。双眼ルーペを装着し、どうにか抵抗を実装面から剥がしました。1/4wのソリッド抵抗×4で代替するつもりでしたが、2wタイプの金属皮膜抵抗しか在庫が無いため写真の様に取り付けてみました。また、溶断したトランスの2次側は0.2mm系のホルマル線で巻き直しました。

 この状態で出力チェックしたところ、10W弱だった50MHzが20Wまで回復、HFも全バンドで50Wまで回復しました。後は2SD1406の到着を待つことにします。

 こういう仕事をしていると、回路図の間違いに遭遇することは珍しくありません。RF回路の、しかも判りやすいところでよかった。ホッ・・。

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