TS-850S 再入院【2016/01/13】

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 おはようございます。底冷えする寒さでございます。今朝は「某人気アイドルグループ解散」のニュースに目が覚めました。四半世紀以上グループユニットを維持してきただけでも表彰ものですなぁ。出演番組を抱えている放送局は大変ですね〜。

ドナー(左)、修理品(右)
ドナー(左)、修理品(右)

 ラボの検査台には2台のTS-850Sが上がっています。一台は昨年11月に出場した個体、もう一台は修理部品供出用のドナー個体です。コンディションは後者の方が良い様ですが・・・。 こちら、前回はLCDブラック・アウトで入場しました。原因はLCDユニットのバックライトに電源を供給するインバーターの故障によるもの。インバーター自体がディスコンでパーツ入手が難しく、海外ディーラーからLCDユニット毎取り寄せ、丸ごと交換により修理した経緯がございます。約1月で再び同じ症状を発症、再入場となりました。仮にインバーター故障の場合、部品入手が難しいためドナー個体をご用意頂いた次第です。

インバーター不良??

剥離したスルーホールをリード線で迂回
剥離したスルーホールをリード線で迂回

 早速電源を投入。ご指摘の症状を確認しました。ディスプレーをよく見ると“うっすら”表示されていることも確認。インバーターからの電圧不足でしょうか、バックライトが点灯していない様です。蓋を開けると鼻を突く異臭が拡がりました。間違いなく電解溶液の臭いです。LCDパネルではないようですね〜〜〜。LCDの電源は5V、インバーターには8Vが掛かっているはずですが、8Vが計測できません。フラットケーブルを追ってメイン基板へ・・。レギュレーター・ユニットから来るライン上の470µFの周りが黒い油で汚れていました。アルミ電解の液漏れを確認。

破裂し液漏れしたケミコン
破裂し液漏れしたケミコン

 基板のスルーホールが溶液に浸り腐食しています。電解コンを撤去して溶液を拭き取りました。スルーホール内で両面パターンが繋がっているハズですが、パターン剥離が発生し導通が確認できません。アルミ電解が破裂に至る以前に既にトラブルが発生していた可能性が高く、前回壊れていたインバーターにも何らかのダメージを与えた可能性は否めません。電源ライン自体はオープン状態で8V出ていることを確認しました。また、この部分のハンダ面が周囲と異なり「増し盛り」されていたことから、以前に交換されていたことは間違いなさそうです。取りあえず新品の470μF/25Vに交換。パターン剥離部分はリード線で迂回させました。

遮光用のモールが劣化、炭素化・・

モールから崩れ落ちる炭素化した粒子
モールから崩れ落ちる炭素化した粒子

 本機のフロントパネル周りのバックライトの光漏れが上蓋の通気口から漏れ出ることを嫌っての対策だと思いますが、シャーシのフロント側に遮光用のモールが貼り付けられています。銀塩カメラの遮光用に用いられるモノと同様でしょうか。こちらが劣化し、指で触れると炭化した粒子状の屑がこぼれ落ちます。炭は導通しますので、基板面やコネクタ、SW・VR類などに入り込むと厄介です。

 

 

LCDは復旧、以前より輝度がアップ??

LCD復活!
LCD復活!

 写真の通りLCDは息を吹き返しました。破裂したケミコンの状態から、他のケミコンも危険な状況にあるか、或いは既に容量ヌケ、液漏れなどを起こしている可能性が高いと思われます。1991年発表の製品ですので経年劣化は否めません。基本動作に関しては問題無さそうですが、VR類のガリ、M.CH/VFO.CHのエンコーダー不良を認めております。また、SLOPE TUNEのハイ側でAFにリンギング歪みを確認しました。前述の通り、ドナー固体としてお預かりしているもう一台のの方が状態が良いので、手を付けずにお返しできたことは、本当によかったと思います。

 

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