簡易IMD測定実験

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 箸休めです・・・。フリーウェアのソフトスペアナとPCサウンドカード+受信機を使用した簡易送信IMD測定実験をやってみました。目的は「スペアナ単体とのリニアリティ差」を観るためです。昨今、オークションで中古のスペアナが比較的に安価に入手できるようになりましたので、キチンと測定したい方にはあまり意味のないお話しなのでスルーして下さい。 使用したものは以下の通りです。

 受信機代わりに使用したElecraft KX3のPhone出力を外付けUSB-DACのLine(アナログ入力)に接続、USB-DACのUSBをMacBook Proに接続します。今回は送信用の2トーンもMacBook Proから出すことにします。別のUSB端子とFTDX3000を繋いで、FTDX3000のMENU 103番 SSB MIC SEL をUSBに設定しました。これで試験環境は整いました。今回はリニアのON/OFFでIMDがどの程度変化するかも確認してみたいと思います。

ベアフット 100w をチェック

 KX3で3.553KHz LSBを受信しながら、ソフト・スペアナの表示を確認します。スコープ上に波が 現れていますので入力はきているようです。続いて、10w程度で2トーンを送信してみます。今回は、800Hz/2000Hzを使用しました。700Hz/1700Hzの方が一般的かも知れません。確かJAIAの規定は後者だった気がします。送信モードLSBでMOXを押して送信開始。すると、ソフト・スコープ上に二つの山が見えてきました。KX3のAF VRを調整して適当なレンジに合わせます。-40dBとか-60dB辺りが良いでしょう。因みに、KX3には適当なリード線アンテナを付けています。アンテナ無しではシャック内環境でも受信できません。また、KX3のフィルターは予めWIDEに設定しておきます。

FTDX3000 ベアフット100w時の IMD特性
FTDX3000 ベアフット100w時の IMD特性

 この時に二つの山の他に幾つか小山が出現していると思います。これが相互変調歪みです。簡単に云うと送信IMD測定値は、相互変調歪みとして現れる近傍の山と基本周波数のピーク・ピークのレベル差で、この値が大きければ大きい程、IMD特性が優れていることになります。つまりIMDが悪い送信機は音質が劣化するばかりか、スプリアスをまき散らすリスクが大きいということです。また送信時のマイクレベルが高いとALCが作動し、AF回路通過時に歪みが発生してしまい、それがそのまま送信されてしまうことで、濁った変調になることから「見かけ上」のIMDが悪化します。しかし、これはRF段で発生している歪みではないので分けて考える必要があります。最近の無線機はALCがガンガン振れていても歪むことは少ないようです。  

リニアを接続した状態 約200w時(ドライブ10w)
リニアを接続した状態 約200w時(ドライブ10w)

リニアを繋ぐと、どの程度変わるのか?

 因みに10wでALCが50%程度触れている状態でIMDを観てみると、今回の測定方法では-30dB程度を示しました。出力をベアフットの最大値100wに設定してみましたが、10w時と殆ど変化はありません。FTDX3000はパワーの大小に関係なくIMD特性は一定のようです。(3.5MHzしか試していません)普通、最大尖頭電力の30%程度を測定するものなので、全出力域で同等の数値を示すということは、それだけパワーマージンが大きいということでしょう。 次にリニアを付けて200w出力で測定してみると-20dB程度に悪化しています。画像からもリニア使用時には無数の混変調歪みが現れている様子がうかがえます。この状態でベアフットのドライブ出力を変えてみましたが顕著な変化はありません。当たり前ですが、ベアフット単体の方がIMDは良いようです。 同様のテストを測定器スペアナでやってみると、測定IMD値は-30dB → -45dB、-20dB → -30dBにそれぞれ改善しました。やはり、今回のような方法では、DACや受信機のAF回路を通過する時点でリニアリティが悪化しているようです。 FT-1000MPやFTDX9000のA級動作だと-50dB以上出ますので、VL-1000とベアフットのIMD比較などは興味深いですね。持っていないの出来ませんが・・・。汗  早い話「リニアを使うなら良いエキサイタを使うべき」ということです。

簡易測定には十分

 とは言え、今回の様にベアフットとリニア接続時の簡易的な比較には十分使えることも分かりました。SDRでPC内に直接取り込めれば結果は違ってくるように思います。また、FTDX3000などUSB AF I/Oを搭載する無線機を測定受信装置として使うのも一つの方法です。アナログ部分を無くすことでリニアリティは確保されるのではないでしょうか。KX3にはIQ出力があるので、そのままPCに入れてSDRを動かす方法もあります。AF出力をバーチャル・サウンドカードで取り出し、ソフトウェア・スペアナに突っ込む必要があります。

Tone Genについて

 このツールはApp Storeで入手できるフリーのソフトウェア・ジェネレータです。OSXでマルチトーンを扱えるフリーツールはTone Genのみです。

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