FT-980 入場 【2015/11/06】
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おはようございます。暖かい朝を迎えた横浜地方です。昨日、赤坂でアマチュア無線の啓蒙番組に関する企画の会議に参加して参りました。特に女性向けの啓蒙コンテンツとしてアウト・ドアやスポーツと絡めたアイデアが制作チームから出てきました。特に自転車を絡めた企画は面白そうですョ。
制作チームより「無線と自転車に精通するオジサンとして出演して欲しい・・」と頼まれ、少々気をよくしている小生であります。ピナレロのロードを友人に譲渡したばかりですが、前立腺にも比較的に優しい小径車でのカムバックを模索しているところです。このチャンスを逃すわけには行きませんなぁwww。この件、進捗は必ずお知らせします!!
FT-980S ご入場

ラボではFT-980Sが入場、検査を実施しているところです。この個体は表示系・操作系の不具合、SSB/CWの受信不良でお預かりしました。電源投入後、90分ほどでディスプレイが暴走し操作不能に陥るとのこと。弊社でも症状を確認しました。前者の原因はCPUの動作不安定、後者はAGCの不具合と断定しました。それにしても、外装コンディションの良い個体です。オーナー様の「愛」が感じられます。
CPUユニットの状況について

プロセッサ自体は動作していますが、ユニット内のコンデンサが劣化しているものと思われます。症状が起きる直前に、何故か周波数が各バンドのローエッジ側に強制リセットされ、数分後にディスプレイがブラックアウトし、ボタン類が異常点灯して操作を受け付けなくなります。この症状を発してから電源を切って暫く放置すると元に戻りますが、直後に電源を入れ直してもダメです。バックアップ用の電池が入っていないので電池を装着して試したところ、症状発症後に電源を切って暫く放置しても症状が継続することから、コンデンサが悪さをしているものと診ました。これは古くなったパソコンでも度々起きる症状ですね。本個体のCPUユニットはPLLの下、即ち第二階層に位置します。約30年前の無線機で、RFやIFにはチップ・デバイスは使われていないので、比較的にメンテナンスは楽です。ところが、PLLとCPUユニットには大量のチップデバイスが使われているため少々厄介です。予防交換を含め約40個のコンデンサー交換を必要とします。流石に直接修理となった場合、工数がとんでもないことになるため、それは避けた方が良さそうですね〜。CPUユニットのメーカー在庫はありませんが、例によって海外のディーラーでストックしていることが分かりました。ユニット交換の方が工数的にコストダウンできるためオススメです。
AGC動作不安定
こちらも電源投入直後は正常に動作します。ウォームアップ後に極端に受信感度が下がる症状が起きているのと、症状がSSB/CWでしか発生しないことから、AGC周辺のケミコン劣化を疑っております。
これらの修理を実施した場合、最低でも3人日以上掛かることから作業工賃が少々付きそうです。また、CPUユニットを交換した場合、部品代が2〜3万掛かると思われます。これらは再生品を利用するため恒常的な動作も保証できません。やはり、どこかでトレードオフする必要がありそうです。
その後、オーナー様とご相談の結果、こちらも一旦お戻しすることと致しました。前回のIC-780と同様、致命的な故障でないだけに、エンジニア的には非常に残念であります。しかし、この時代の無線機はレガシーデバイスとチップデバイスが混在しており、修理方針は迷うところが多いですね。直せても他の箇所で故障連鎖が始まるケースが多く、修理地獄に陥るのは避けたいところです。因みに我が愛車が同じステータスです。(涙)
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