セカンドシャック(リモート)構築
by
昨夜、福岡から帰ってきました。飛行機は大揺れ・・。「条件付きフライト」というヤツで、「羽田の天候次第では成田・中部にダイバードも覚悟!」を前提とした運航です。着陸寸前にR/Wチェンジとなりアプローチのやり直しを余儀なくされたため、約20分のディレーとなりましたが無事に羽田に戻って参りました。

機材はB777-200のSky WiFi搭載機材。普通席もプレミアム仕様(皮張シート)です。Class Jが満席で普通席に座ってきましたが、こちらは実に快適でございました。ご存知の通り、関東は観測史上最大規模の豪雨に見舞われ、地上の交通機関は乱れまくりです。愚妻にfacebookメッセンジャーで「羽田から地元の駅までは直通バスで帰るので最寄り駅までクルマで迎へに来てくれ!」とリクエストしましたが、想定通り「却下!!」となりましたが・・・。
関東は大豪雨!!
予想通りタクシー待ち列は40分待ち。自宅に着いた頃には日付が変わっておりました。北関東では凄い被害となっているようですね。被害がこれ以上広がらないことを願うばかりです。
リモート・シャック構築ミッション!!

福岡にてアイコムのrs-ba1を核としたリモート・システムを構築して参りました。「自宅からクルマで1時間ほどのセカンド・シャック(コンテナ利用)に設置された無線機を遠隔制御したい」と仰るOMからご依頼を頂きました。ネットワーク設計、周辺機器制御設計、及び、これらの作業一式、6時間という時間制限の中、無事に作業を終了してまいりました。今回はアイコムRS-BA1でIC-7410を制御、ローテーターはMicrobit Web Switchで操作、その他シャック監視用にWebカメラも設置しました。作業担当者はお馴染みの面々、JH1RKE、JA8CCL、そして小生の3名であります。
RS-BA1の設定留意点

RS-BA1はWindowsベースのクライアント&サーバで、シャック側では無線機とPCを接続、インターネット越しに接続されたPCから無線機を操作するものです。RRS-101/501との違いは、シャック側にPCを用意する必要があることと、専用アプリケーションをクライアント側にもインストールする必要があるという点です。更に手動でのルーター設定が必要となり、3つのUDPポートを静的転送する設定をルーターに施さねばならない点も面倒です。これらはルーターによって「サービス名称」が異なるためネットワークに詳しい人でないと難しいかもしれません。また、FTTHやADSLなどのIPアドレスを固定しない常時接続で使用する際には、ダイナミックDNS契約が必要になるなど厄介な点も多々あります。インストール・設定は取説を読んだだけではダメなど、一般向けではないかもしれません。
「静的ポート転送設定」を実施

メーカーによって名称が異なるため、NTT のルーターを例にご説明します。今回使用したルーターは、RT-500KIです。管理画面の詳細設定に“静的IPマスカレード設定”というのが静的ポート転送に相当。今回はBA1(192.168.0.101)の他に、ローテーター制御のMicrobit 1216H(192.168.0.102)、Webカメラ(192.168.0.103)の3つに固定Local IPアドレスを割り充てましたので、それぞれのアドレスとWAN側のGlobal IPをルーティングする設定を行いました。設定後に、既設のネットワーク機器とのポート・バッティングが判明したため一部を修正しています。
BA1のインストール設定が厄介
またBA1はサーバー・クライアント双方にインストールする必要がありますが、サーバー側で設定したシリアル・ポート(COMポート)とクライアント側の仮想COMポートが一致している必要があります。ここは手探りで設定するため、取説はあまり役に立ちません。
![]() |
![]() |
Microbitとクリエイト製ローターの相性

クリエイトの最新ローテーターの構造(回路図)を見ると、??な点が多いです。特に2回路3接点でSWが介在しており、1回路3接点のMicorobitはそのままで使えません。ローテーターコントローラーの回路図と睨めっこすること2時間、“魔改造”を施すことで解決!! 無事、WAN側からローテーターを制御できるようになりました。因みに、リレーポートは、まだ空いていますので電源制御も可能です。Microbit Web Switchは最大250v/10Aのリレーを搭載しているので、AC側を制御すれば、大容量の安定化電源も操作可能です。
Webカメラの設定に悪戦苦闘!!

現地には既にマルチ・チャンネルのWebカメラが6台設置されていました。こちらはコンテナハウスの防犯管理とタワーの監視用です。福岡県は台風被害が度々報道される地域でもあるため、これらは必須の設備ということでしょう。今回は無線機自体の動作も確認できるよう、室内据置型のWebカメラも増設しました。こちらは、360度・上下50度の範囲でカメラ部を操作可能です。Micorobitを含めこれらのWebカメラは80番ポートを使用するため、グローバル側を8080番等に割り当てて、個別にポート転送することで解決しました。
無事に作業終了

何とか作業を終えました。操作端末をモバイル(Softbank)経由でインターネット接続、BIGLOBEのFTTH(足回りはフレッツ光)環境下に構築したリモートサーバへ接続し、BA1の動作・音声、ローテーター(Microbit)、Webカメラの動作をチェック。とてもスムースに動作することを確認しました。
雑感
RS-BA1を使用したリモート・システム構築は、我々のような通信のプロでも戸惑うところが多々ありました。「静的ポート転送」(IPマスカレード)に関してはIPネットワークを理解していないと難しいでしょう。本来ならUPnPで解決できる部分ではありますが、UPnP自体がOSレベル(DHCP機能の一部)で動作する機能であるため、ソフトウェア・パッケージとして提供されるRS-BA1では解決できない部分かも知れません。HAMSTARのRRS-101やRRS-501はOSレベルから専用設計されているため、これらの設定は殆どパスできます。RS-BA1自体はソフトウェアなので 9,000円弱ですが、サーバ用PCを用意したり、サーバ自体の遠隔管理をTeamViewerなどのバーチャル・デスクトップ・ツールで行わなければならない等、UNIX系ならSSHやTelnetで解決できる部分に大きなシステム・リソースを割かれる部分もマイナスです。

しかし、一度動作できる状態になれば、これらは大した問題では無く、“流石メーカー製ツール!!”と評価に値する部分も多々あります。特にIC-7700以上の上位機種のオーナーであれば、無線機にサーバーが内蔵されているので安定動作が期待できるばかりか、今後UPnP搭載の可能性も考えられます。Windowsアプリしか存在しないという点は???ではありますが、MacOSXのBootCampを使用すればアップル製パソコンでも動作しますね。現に小生はそのように使用しています。J*3FAさんもリモートでご自宅から奈良のシャックをコントロールされておられますし、メーカー主導でリモート環境が整備されていくことを願うところです。