お盆休み前のラストミッション IC-726
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今日は天気が崩れそうです。作業場の窓から薄曇りの空を見上げています。シーリングが低いようで、今日は飛行機がいつもより低めに通過して行きます。ラボのある横浜市青葉区荏田北は調布飛行場と伊豆諸島を結ぶエンルート直下、数百メートルの所にかつて航空灯台があった小高い丘があり、数年前までNDB(無指向性電波標識)のアンテナと送信設備が設置されていました 。今も東名高速の横浜青葉インターチェンジがランドマークとなっているため、旧NDB上を頻繁に航空機が通過します。例のパイパーも頭上を何十回飛んだことでしょう・・・。 そんなことを考えていたら雨が降り出しました。
さてさて、17日から夏休みに入ります。その前に少しでも修理をお待ち頂いている無線機様の様子を拝見しておこうと思い、バックヤードの順番待ちカードを引きました。ic-726のご入場でございます。半年くらい前に、ALC動作不良の個体を修理した記憶が蘇ってまいりました。
危篤状態

電源は入りました。古い機種なのでセオリー通りにPLLの調整から行います。こちらは大きなズレは無いようです。SSGを繋いで感度チェックを試みましたが、うんともすんとも・・・。サービスマニュアルの通りに14.100MHzで無変調0.16μVを入れていますが、全く無反応です。-77dBmまでアップして微かにキャリアを確認。そこからIFをトラッキングして受信感度を上げていきました。Sメータを校正して送信系に移行。残念ながら全バンドで全く出力されません。送信もサービスマニュアルで規定している14.100MHzでチェックして行くことにします。メイン基板からPAユニットへ繋がるジャンパ部分の波形を視てみるとキレイなサイン波が出ているではありませんか!?。これは希望の光かもしれません。PAユニットには2SC1971、2SC3133×2、2SC2904×2と順に並んでいます。全ての動作確認を行いました。2SC3133の片側のゲインが落ちているもののファイナルからは驚愕のパワーが出ています。ナント200w!! 電圧とインピーダンスで計算しているので誤差もあるでしょう。一応、PAユニットからLPFユニットへ繋がるジャンパをRF電力計に繋いで測定したところ、やはり200w近く出ていました。ところが、ANT端子には全く出てきません。恐らく途中のリレーが接触不良を起こしているのでしょう。ココは解決できそうです。50MHzを確認しましたが、同様にANTから出てきません。50MHzはドライバに入る手前でリレーにより分岐して、HFのLPFユニットの下にある50MHz PA/LPFユニットに繋がって、ダイレクトにANT端子へ進みます。メイン基板の出口でチェックしたところ波形が見えません。「もしや?」と思い、50MHzの受信を確認すると、全く聞こえません。こちらは何となく故障箇所が見えてきました。

まず、修理に際してデバイスの調達が障壁となりそうです。特にリレーに関しては国内在庫は皆無。海外流通在庫から引っ張るにしても、納期が見えないのと、「リレーにこんな値を付けるか??」という参考価格となっています。ディスコン部品はこうなる傾向が否めませんが、それにしても高すぎる・・・。50MHzのパワーモジュールは入手困難です。現時点で見えているだけで、IF周り、HF/PA周り、50MHz/PA周り、両LPFのリレーの確認・交換に3人日は取られる工数となります。こうなると中古で同型機を漁るか、ジャンクドナーを探してユニット毎交換した方が確実に安く上がりますね。HFで200w近く出ているだけに残念ではありますが、修理予算を大幅に超過することは間違いなさそうです。しかし、何故ここまで壊れたのか・・・。200wのパワーは恐らく強引にゲインをあげている為だと思います。リレーは焼損の可能性が否めません。オークション入札の際には、パワーが出過ぎてる個体はパスしたほうが良いかもしれませんね。オーナー様のご意向により作業はストップ致します。
休暇前の作業はここまで
修理依頼を頂いているオーナー様には申し訳ございません。以上にてお盆休み前の業務は終了とさせて頂きます。ハムフェア明けの24日から業務を再開致しますので、ご了承下さい。
因みに、16日に伊豆方面でキャンプします(天候によっては17日も)。21MHz、50MHz辺りで移動運用しますので聞こえたらお声掛け下さい。