八重洲 FL-110 の 修理・改造に挑戦!!

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 TS-520Xの修理に取り掛かかるところでしたが、想像以上に個体のコンディションが悪く、時間と労力、それなりに部品交換を進めれば直せない物件ではなかったのですが、オーナー様の意向で修理断念となりました。

直したかったです・・
直したかったです・・

 TS-520Xの初期ロッドで、ダイヤル板が厚いタイプです。外装の状態はまずまずで貴重なCWフィルターも装着されていました。しかしながら、基板の腐食がかなり進行していて、ケミコン類は総取り替えを余儀なくされそうです。特にTS-520の大容量電解コンデンサーは国内入手が困難。弊社で修理する際には、海外流通在庫から引っ張ります。ヤフオクに出回っているジャンク品は流石に使えません。その他ケミコンから漏れた溶液が基板に付着していたり、部品の足下に大量の埃が付着しているため全清掃も必要。そのままでは火災を起こす危険性が否めません。これらを考慮して部品代・工賃を計算すると、中古のHF機が買える金額に届きます。流石に作業を進めるわけに行かず、オーナー様に事情をご説明した次第です。この時代の無線にはありがちな結果ですが、エンジニアとしては無念であります。

本日、2番目の患者さん

八重洲の100wリニア FL-110
八重洲の100wリニア 作業終了!

 またまたリニアアンプです。しかも八重洲無線純正のソリッドステート・アンプ FL-110でございます。FL-2100系の真空管リニアは何度も診てきましたが、コレは初めてであります。「電源を投入するだけで20A流れ、動作しない・・・」とのことでお預かりしました。何だか恐ろしい状況です。ソリッドステートということでビビり度合いはかなり下がっていますが・・・。汗

 

 

ネジ山が・・・
ネジ山が・・・

 電源系を全て分断して短絡箇所を特定したところ、案の定ファイナルの片方がご臨終されておりました。本来このリニアにはSRF1427というモトローラ製のパワートランジスタが載っているはずですが、何故か出力半分の2SC2100が載っていました。SRF1427はかなり古い石で、とっくにディスコン。海外も漁りましたが流通在庫は皆無。2SC2100は50MHzで50wクラスの石です。HFで無理すれば100w近くでるようですが、リニアリティやIMDは相当厳しそうな感じです。当方でストックしている2SC2510、2SC2879辺りが使えれば良いのですが、ケースサイズが適合しません。そして、更に厄介なことが・・・。2SC2100を固定しているビスのネジ山が崩れ、取り外すことが出来ません。そんな事情をオーナー様にご説明すると「気長に直して欲しい・・」とのことで、修理方法を検討することにしました。

ネジをドリルで破壊

ドリルでネジを破壊中
ドリルでネジを破砕中

 ネジ山修復剤も試しましたが効果無し。こうなると方法一つです。ドリルでネジの頭を丸ごと削り取ることにします。2時間程度格闘した結果、ネジの頭を粉砕して何とかトランジスタを外すことに成功しました。トランジスタはマッチドペアの2SC2879に載せ替えることを画策。2SC2879はSRF1427や2SC2100より直径が2mmほど大きく、そのままでは基板に収まりません。ハンド・ルーターの先をヤスリに交換し基板を削ることにします。時折、掃除機に持ち替えて削カスを吸い出しながらの作業。最後はペンサイズの金属ブラシで基板表面に残った鉄屑を残らず除去。ショートしないように・・・・。

基板を削って一回り大きい石を装着・・・・
基板を削って一回り大きい石を装着・・・・

 

2SC2879へ換装完了

 上手いこと2SC2879が収まりました。バイアス回路の温度補償ダイオードを2SC2879の片側に熱結合させるべく、シリコングリースを盛ります。イイ感じに装着完了です。HFリニアはインピーダンス変換がトランス式なので、深く考えずに石を交換するだけで何とかなるものです。因みに、このリニアは立派なローパスフィルタが付いているので安心して使えます。流石  “YAESU” ですね。しかもコンパクトでKX3ともマッチします。

5w入力で軽く150w出力

 エキサイタにKX3を用意しました。5wで軽く押してみます。すると、1.8MHz、3.5MHz、7MHz、14MHzで150w超えの出力を確認。パワーを絞って出力の変化を確認したところ、リニアリティは悪くなさそうです。2SC2879のスペックでは、IMDが28MHz(100w時)-24dBとなっていますが、当方で測定したところローバンドでは-40dB程度ありました。21MHz、28MHzはゲインが下がって5w入力で85w前後です。特性表では14wくらいまではリニアリティが確保されているようなので、10wまで押し上げてみたところ、21MHz、28MHzで150w程度まで出ました。十分実用になりそうな雰囲気です。

 

各バンド 測定結果
1.8MHz   5w入力 – 150w出力 / 10w入力 – 200w出力
3.5MHz   5w入力 – 180w出力 / 10w入力 – 210w出力
7 MHz   5w入力 – 185w出力 / 10w入力 – 210w出力
14MHz   5w入力 – 160w出力 / 10w入力 – 205w出力
21MHz   5w入力 – 90w出力 / 10w入力 – 150w出力
28MHz   5w入力 – 90w出力 / 10w入力 – 130w出力
   エキサイタ:ELECRAFT KX3

 

 エキサイタは10w以下でドライブして頂きたく思います。「気長に・・・」とのことでしたが、早々にやっつけちゃいました。

 

 

  • Aperture: ƒ/2.2
  • Camera: iPhone 6
  • Focal length: 4.15mm
  • ISO: 250
  • Shutter speed: 1/15s

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2 Responses to "八重洲 FL-110 の 修理・改造に挑戦!!"
  1. 以前より 力強く 男前になって 帰還しました。 いわば 柳沢信吾くんから 加山雄三に なったような。。。。。  やかまし系から すっきり系に 変身!!

    帰還後 試験も良好。ベースの自作エキサイタが 心もとないのが たまにキズ。

    今度は エム2あたりを 依頼するかもね。
     

    • OM持ち上げすぎですよ!(笑) ベースがしっかりしているので、200%くらいのQROには十分耐えられそうですね。

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