デルタ・ループ+ATUにバランは不要?
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今日はブログを書かないつもりだったのですが、備忘録を兼ねているので一言だけ。と、言いつつダラダラ綴るのは悪いクセです。汗 実は表題の件について先程ローカルから質問されたので、こちらにも書いておきます。

多くの方が「平衡型アンテナ」に同軸給電線を繋ぐ際、平衡・不平衡を変換するバランの挿入が必要だと誤解しておられます。ここでは平衡・不平衡についての説明は割愛しますが、結論から先に言うと、デルタ・ループ+ATUにバランは不要です。1/2λの折り返しダイポール、即ちフォールデッド・ダイポールアンテナや1λのループアンテナには「自己平衡作用」があり、不平衡の給電線を接続して使用することができます。平衡動作しているループアンテナの場合、電界動作域に於ける指向パターンはエレメントに対して90度方向に8の字パターンを描きますが、バラン・レスのループアンテナでは電流腹がエレメントの中心からズレるため輻射方向も歪みます。もともとビームといっても扇状に広がっているので、弱電界域でない限りさほど気になりません。これはインピーダンスに合致した給電線で給電した場合の話で、1/2λのフォールデットダイポールは300Ω弱、1λのデルタループでは90度の鋏角の時に約200Ωの給電インピーダンスとなるため不平衡給電すること自体考えにくく、50Ω系の同軸に整合させるために6:1ないし4:1のバランを入れて整合するため平衡・不平衡変換も同時に処理してしまう訳です。シングルバンドなら平衡フィーダー線で直接給電すればすむことですが、マルチバンド・アンテナとする場合、各周波数毎にインピーダンスが異なるため、インピーダンス変換率が一定になるバランも使用することができません。そこでATUが登場する訳ですが、前述の理由によりインピーダンスさえ合っていれば「自己平衡作用」によってある程度はバランスされたアンテナとして動作するため、バランを挿入しなくても使用可能です。因みに拙宅の17m長デルタループの場合、1λは18MHz付近です。この周波数より上では電界動作域となりアンテナのサイドはNULLになります。ところが10MHzより低い周波数では磁界動作が強まるため、電界動作時のNULL方向への輻射が強まり、7MHz以下は無指向性アンテナとして動作します。(厳密には偏波面により輻射方向が異なる)
また、ソータ・バラン挿入すれば、強引にバランスさせることも可能ですが、敢えてそこまでする必要はないと思います。拙宅のデルタ・ループ+ATUを使用し、7MHz帯では20w入力で国内は殆どQSO可能です。また、14MHz〜28MHzはかなり高性能なアンテナとして動作してくれます。実際、給電点12mH、ループ・トップ17mHのかなり低いアンテナであるにも関わらずベアフットでも国内からDXまで使えます。もっとも、立派なタワーにモノバンド八木を張れる方にはご興味のない話だと思いますが、お金を掛けずにHFオールバンドにQRVでき、都市型ノイズにも有効なアンテナは他にチョイスがありません。ATU直下には十分なコモンモード対策が必須ですが・・・・。拙宅では大型のクランプ・コアに3D-2Vを3回巻き付けたチョークを3連、FT240#43に同じく3D-2VをW1JR巻したものを2連、更に同軸サイズのクランプ・コアを12連をATUの入力側に挿入しています。入出力のインピーダンスは十分に高いため、コモンモード・ノイズに対しては十分効果があるものと考えます。
6mでもQRV可能だった・・・
因みに、本日始めてデルタループで50MHzにQRVしました。cg-3000は6mに対応していませんが、以下の裏技で6mが使えます。17m長のデルタループは50MHzもちゃんと乗ります。
- CG-3000の電源を一旦リセット
- リグを50MHzにセットして、CG-3000の電源を入れる
- 10w程度のキャリアを送信するとSWR=2.0付近を表示
- リグ内蔵のATUを動作させると無線機側のSWRは1.0に下がる
- 30wのキャリアを入れると、CG-3000が動作しSWRが1.5程度まで落ちる
- 使用可能
この状態で、拙宅の横浜市青葉区から茨城県土浦市朝日峠の移動局と59/59でQSOできました。お互い50w出力です。ご参考まで・・・。