TS-820 続報 修理完了!
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本格的に温かくなってきました。明日は ALL JA コンテストですが、お空でお目に掛かりましたら宜しくお願い致します。後半にご挨拶程度に参加しようかと思います。

焼損した抵抗 ts-820の修理が完了しました。「全く送信されない」という症状でのご入場でしたが、前回レポートしたとおり「IF スイッチング・ダイオード不良」と「電源の保護抵抗焼損」を確認しております。前者に関しては単なる経年劣化によるものと考えられますが、後者には何か原因があるはず。原因を特定しないと何本も抵抗を取り替える羽目になります。これを特定するのに丸2日掛かりました。(汗)
とんでもない箇所が短絡

トランスには複数のタップ出力があり、800V(400V)系統はプレートに、300V系統はスクリーン・グリッド(SG)に供給されます。今回、抵抗焼損を確認したのは300V系統のラインで、整流ダイオードを介して保護抵抗が直列に挿入されています。抵抗の出力はドライバ段・ファイナル段のSGに供給されますが、ファイナルのライン上にSGスイッチが設けられ、リアパネルに取り付けられています。整流後の電位は250V(送信時210V)で、TUNEモードを除き常に高圧の電位が掛かっているラインになります。SGスイッチのリード・ターミナルの半田がスイッチ・シャシーに接触していたことが、今回の抵抗焼損の原因であったことを突き止めました。余分な半田を吸い取り、絶縁を確保してから、保護抵抗の交換を実施しました。交換した抵抗はご覧の通り焼け焦げており、焼損時は激しく発火、周辺のコンデンサや基板の一部が炭素化するなど、非常に危険な状況であったことが伺えます。真空管のリグやリニア・アンプは高圧電位が掛かっているところが多いので、内部の埃混入や結露でもショートすることがありますので、注意が必要ですね。
各バンドで15w〜35wの出力を確認
送信系統の修理ですので、IF段、VCO出力も適正に調整し、MIX段、ドライバ段もチューニングを追いこんだところ、1.8MHzから28MHzの各バンドで正常な出力を確認しています。特にローバンド側は30w以上出力します。14MHz、21MHzも30wの出力を確認。28MHzのみキーダウン状態で15wと少々低めですが、S2001Aの劣化によるものと考えられます。当方でストックする球に交換したところ20w以上出ました。まだ「球の寿命」という段階でもございませんので「現時点で交換の必要はなし」と判断しております。その他、キャリア・ポイント、サプレッション、受信トラッキング、メーター校正、周波数表示校正などを実施しました。結果、送受共に現役使用に十分耐えうる状態に復帰致しました。出場検査は全てクリアです。最期は8時間のロードテスト、問題無ければご出場でございます。
お詫び
部品調達の都合で、入場順が前後しております。m(_ _)m