【製品インプレッション】イタリア製リニア・アンプ HLA150 plus

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 気になる製品をご紹介頂きました。イタリアの無線メーカー “”の150w級HFリニア・アンプです。なかなかユニークな製品なので、サンプルを1台お借りしてテストしているところです。

 このメーカー、日本ではまだ馴染みのない会社ですが、欧米ではアマチュア無線機・CB無線機のメーカーとして知られています。特には周波数毎に様々なグレードをラインナップしており、かなり気になる存在です。

カロッツェリアなイタリアン・アンプ

 まず、始めて手にした印象は「何だかオシャレ!」な感じです。軽量アルミケースの側面から天板にかけて大型のヒートシンクが取り付けられていて、上部には2基のブロアーを装備しています。フロントパネルはライトブルーで、今まで見たことのないクールなデザイン。今回お借りしたモデルはHF用のキャリコン付きで、FT-817、KX3にピッタリのスモール・リニア・アンプです。

 

 

軽快なオペレーションは好印象

MRF455をP-P搭載
MRF455をP-P搭載

 MRF455をP-Pで搭載するオーソドックスなソリッドステート・リニアです。この石は定格60w/30MHzと、やや小振りなイメージですが、実際の性能とスペックは違うようですね。HLA-150 plusのネーミング通り、150w出力を保証する立派なスモール・アンプであるとことは間違いないなさそうです。エキサイターは5w出力で十分ドライブ可能。しかもキャリコンはバンド切替機能付きで、一声出せば自動的に任意の周波数帯にスイッチ、1.8MHz〜29MHzまでのWARCを含む全HFバンドにQRV可能。送受切替用にPTT端子が背面に出ていますが、キャリコンの反応が良くエキサイタは同軸を繋ぐだけでOK。5w~10wのKX3やFT-817で押すことを前提とするなら、ALCのフィードバックも不要でしょう。(実際にALC端子は省略されている)

2信号特性を確認

 KX3をエキサイタとして、CWキーダウンとSSBの2信号特性を確認したところ、以下の様な結果となりました。

CWキーダウン、SSB2信号の入出力バランス

FRQ(KHz) Menue Input Watts Output Watts
3550 Keydown 10 180
  Keydown ATT 10 145
  2Tone 5 145
  2Tone ATT 5 102
       
7080 Keydown 10 150
  Keydown ATT 10 122
  2Tone 5 120
  2Tone ATT 5 90
       
14175 Keydown 10 160
  Keydown ATT 10 125
  2Tone 5 120
  2Tone ATT 5 87
       
21200 Keydown 10 110
  Keydown ATT 10 87
  2Tone 5 83
  2Tone ATT 5 65
       
28200 Keydown 10 105
  Keydown ATT 10 90
  2Tone 5 87
  2Tone ATT 5 72
       
  average (cw) 10 141
  ATT 10 113.8
  average (SSB) 5 111
  ATT 5 83.2
       
Exciter= Elecraft KX3    
RF Mater=BIRD 4304A    
DC Voltage=13.8V    

KX3ではATT on、FT-817ではATT offを推奨!

 SSBのピークパワーは、3.5MHzで 180wに達します。WARCを除くアベレージで141wを記録しており、堂々150w級リニアの称号に偽りはありません。IMD特性に関しては20dB〜35dB程度とバンドによってバラツキはありますが、-3dBのATTを入れるとクリーンな波形となりました。10w以上はオーバー・ドライブとなります。以下に14.175MHzで確認したデータを添付しました。

14175exciter_ts
エキサイタ(KX3)のプレーン出力5w
入力5w出力120w時
入力5w出力120w時
入力5w ATT-3dB 出力87w時
入力5w ATT-3dB 出力87w時

 拙宅のオシロはゲイン調整が段階調整タイプなのでスケールが揃っていませんが、波形の先端と交差部分の像が確認出来ると思います。これよりKX3はとても綺麗な出力特性であることが確認できます。ATTスルー時に120wを出力していますが、やや頭打ちな感じです。これに対して、-3dBのATTをオンにすると出力は33w減力されるものの、伸びしろのある綺麗な特性を示しています。実際にATTスルーで送信しても音質の違いは感じられませんでした。他のバンドでも確認しましたが、120wを超える辺りからIMDが悪化する傾向がありますが、ピーク150wクラスでアベレージが100wであれば、十分な特性と言えます。

 同様のテストをFT-817で実施したところ、FT-817(ND)自体のIMD特性が4w前後から悪化するため、ALCが振れないレベルで2トーンを入れました。こちらは、ATTを入れずに使って丁度イイ感じです。バンドによってバラツキがありますが、アベレージで50w、PEPで80w程度で使用するとクリーンな電波が出ます。(Low Band=Hi output、Hi Band=Low output)

貴重なスモール・アンプ

静音タイプの冷却ファン2基を搭載 
静音タイプの冷却ファン2基を搭載

 東京ハイパワーのブランド消滅以降、スモール・アンプ市場は空洞化しています。ヤフオクなどでも往年の100w〜200wクラスのリニアは人気が高く、高値で落札される傾向にあるようです。無線機メーカーのマーケティング戦略なのか、HF普及機の殆どが100w仕様。最大出力100wの場合、SSBのアベレージは50w程度と考えた方がよいでしょう。上級資格を持っていても、技適・保証認定ともに200wが限界なので、お金で解決できるなら200w機に手を出したくなるのが人の常です。しかし、200w仕様の高級機と100wの普及機では価格差が顕著です。アンテナのゲインが高くなればなるほど、100wと200wの差は大きく感じるはずです。因みに、この「マカロニ・アンプ」(昭和過ぎる??w)の国内販売予科は59,800円です。この金額で200wの高出力が得られるなら「買い」だと思います。お隣のTBHD特選ショッピングから購入できます。

 

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