RJX-601 超級初期ロッド入場中 その3
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すみせん。寄り道してしまいました。メンテナンスを続けることにします。まずはOSC段、AF段、電源周りからリニューアルして行きましょう。AF段を弄るついでにFMナロー化も済ませてしまいます。

RJX-601が登場した頃、FMの帯域は厳格な規定はなく広帯域電話通信という曖昧な解釈だったのでしょうか。オリジナルRJX-601のFM変調はかなり広がります。酷い個体だと周波数変移が±50KHz近くになり、例えば、51.04MHzで送信すると51.000MHz に被ります。これは故障ではなくオリジナルRJX-601の仕様です。当時のVFOの精度では、これくらいの幅がないとチューニングしずらかったのかもしれません。FM受信機はAFCが当たり前の時代ですから、仕方なかったのでしょう。ただ、RJX-601はこの時代の無線機にしては比較的に周波数安定性能が優れていたようで、今時の無線機と交信しても極端な周波数ドリフトはなく、AFCも搭載されていません。また、バリキャップの入力インピーダンスは比較的に高めに設定されており、リミッター・ダイオードのバイアス電流値の設定しだいで、ワイドにもナローにも振れる回路設計です。バイアス電流を抑制するRの値を大きくすることで、リミッターの閾値が下がる=バリキャップの入力電圧が下がる=周波数変移が抑制されるという仕組み。しかし、前にも書きましたが、Cの容量抜けや素子劣化でAF段のゲインが落ちているばかりか、素子ノイズも増えている個体が多く、FMナロー化だけを施工すると変調が細く寂しくなる傾向にあります。また、同じ理由でAM変調も浅くなっています。従って、FMナロー化の際にはAF段の同時リニューアルが必要です。
R80、R56、C75、C86、C93、C94、TR12、TR13、を一気に交換
何度も書いているので割愛しますが、ここまで替えると本当に変調が生き返ります。少なくともAMに関しては、元の変調よりも変調度が増して「深み」も出てきます。定数だけ書くと、今回のセッティングでは、R80=68KΩ、R56=47KΩ、C75=1µF をそれぞれ定数変更しました。Cは全てニチコンMUSE FGのオーディオグレードです。TR12=2SC1815Y、TR13=2SC1815GRに交換、この辺は毎度お馴染みですね。
VFOの固定コンデンサーを積層セラミックCに交換

VFOはシンプルなLC発振・直接変調回路です。そもそもバリキャップを使用しているため、回路自体の容量は不安定です。勿論、AM変調時はバリキャップはバイアス電圧で固定されるため変移することはありません。3連バリコンの容量を補う為に固定コンデンサーとトリマーが並列に接続されています。トリマーはハイ・エッジ側の周波数校正に必須ですので仕方ありません。そうなると、唯一の「容量要素」は固定コンデンサーになります。RJX-601の回路図には18pFが指定されていますが、何故かこの固体では15pFのセラミックが装着されていました。3pF程度はトリマーで吸収できますから誤差範囲ということなのでしょう。問題は劣化具合でした。取り外すとパンパンに膨れあがっています。これではドリフトも止む無しですねぇ。ここは村田製作所謹製の積層セラミック・コンデンサー(定格の18pF)に交換! 無印セラミックよりは少々高いのですが、高周波高圧回路や発振段にはお勧めです。(静電容量許容差:±5%) 交換後、周波数ドリフトは皆無です。下に動画を添付しましたが、この動画を撮影する10分前に50.600MHzにinしています。周波数が動いていないのがお分かり頂けると思います。交換前は電源投入から5分でかなり下にズレました。
電源部の大容量電解(チューブラー)コンデンサーも交換

安定化電源でテストしていますが、少々ハムが気になりました。手持ちの1000µF16V アルミ電解コンデンサーに交換したところ、とても静かになりました。サイズは小さくなりましたが、耐圧・容量とも一緒ですので問題ないでしょう。電解コンデンサーにはラジアル型と横置きのチューブラー型があります。昔の真空管アンプや無線機によく使われていましたが、最近はお目に掛からなくなりました。
手始めにAF、OSC、電源周りをレストアしました。基板も所々ハンダが浮いていたので補修し、アルコールで汚れを落としたあと、ワイヤ・ブラシで垢を落としました。チューブラ電解を外す際に、シールド板も取り外したところ、ヤニがこびり付いているところがあったので、簡単に洗浄しておきます。変調音は見違えるほど良くなりましたので、動画でどうぞ。。。
残すはRF周りですが、未だ部品が揃っていないので少々休憩しま〜す。
- Aperture: ƒ/2.2
- Camera: iPhone 6
- Focal length: 4.15mm
- ISO: 160
- Shutter speed: 1/30s
リプレイス用のRFの結合コンデンサが着荷! 作業続行します。