RJX-610 メンテナンス開始(備忘録)
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601ではありません。RJX-610です。少しだけ進歩しました。(笑) RJX-610は回路図はあるものの、メンテナンス・マニュアル(テクニカルガイド)を持っていないので、RJX-601とは少々勝手が違います。 送受信ともIF段以降は手探りで何とかなりますが、キッチリ追い込むためにはタップポイントの規定値が知りたいところです。実は、また1台入手してしまいました。動機はソフトケース付きだった為。

1号機は外装に若干の汚れがあるものの回路は正常に動作しているようで、先日もJH1RKE局とのラグチューに約90分使用しましたが、RJX-610特有の周波数ドリフトを除けば極めて心地よくQSOできました。 今回ヤフオクで落札した2号機については、正直なところあまり期待していませんでした。出品者自信がアマチュア無線経験者でないことと、電源投入確認すらされていないジャンク品であった為、付属のソフトケースが入手できれば由と考えていました。手元に届いた2号機は本体、ソフトケース共に汚れが酷く、後者については表面が劣化して樹脂が溶け出していました。こちらは中性洗剤を微温湯で薄めたものに浸し暫く放置、その後キレイに洗い流して見栄えはなんとか回復。本体は電源投入を確認。ソフトケースから溶け出した樹脂が付着した外装は、自転車用の洗浄・保護・艶出し剤を使用して汚れを落としました。意外にもキズは殆どなく、拭きあげられた本体は新品のような輝きを取り戻しました。アンテナを取り付けて受信テストを行ったところ、SSB、CWともまずまずの受信性能を示しています。送信についてもダミーロード装着状態でピーク5Wをキチンと出力することを確認。このままでも、問題なさそうです。1号機と受信性能を比較したところ、問題無いと思っていた1号機の方が、受信感度が落ちているコトが判明。更にキャリアポイントもズレているではありませんか。ネットで回路図だけは入手できたので、取説のブロック図と照らし合わせながら、L、T、半固定VR、トリマーの用途確認と基板上の位置確認を実施しました。結果は以下のとおりです。
【送信系】
L10 ファイナル(Q26:2SC1969)出力インピーダンス調整
VR7 ファイナル(Q26:2SC1969)バイアス調整
L7 ドライバー(Q25:SC2166)ファイナル段間調整
VR6 ドライバー(Q25:2SC2166)バイアス調整
T14 プリ・ドライバー(Q24:2SC1973)コレクタ電流調整
T13 RFアンプ(Q23:2SC1674)コレクタ電流調整
T11、T12 ミキサー(IC5:RVIUPC1037H)出力フィルター
T10 IFアンプ(Q22:2sK49) コレクタ電流調整
VR5 マスターALCゲイン調整 VR9 Hi Power ALC ゲイン調整
【受信系】
T1 RFアンプ(Q2:2SK49) 入力インピーダンス変換
T2,T3 RFアンプ(Q2:2SK49) 段間結合・フィルター
T4,T5,T6 Mixアンプ(Q3:2SK49) IF変換(10.6935MHz)
T7,T8,T9 IFアンプ(Q4,Q5,Q6:2SC829) IF 段間結合
【送受共有系】
CT1 IF発振(Q17:2SC1675) キャリアポイント調整
T201,T202 ローカル周波数バッファ(IC201:AN7212)RF段間結合
T203 RFアンプ(Q201:2SC1674) Mix段間結合
CT201 VFO(Q202:2SK104) 発振周波数微調整
T204 局発(Q203:2SC1674) Mix段間結合
CT202 局発(Q203:2SC1674) 発振周波数微調整
RJX-610の局発は51.695MHz。VFOの周波数域は9MHz〜9.5MHzです。これを足すとローカル周波数は60.695MHz〜61.495MHzになります。送信回路はシングル・コンバージョン。IF周波数は10.695MHzですので、ローカル周波数からIF周波数を引いたものが送信周波数になります。
受信回路はシングル・スーパー。局発周波数から50.000MHz〜50.500MHzを引くとIF周波数の10.695MHzが得られる仕組みです。受信回路に関しては無線機というより、むしろ当時のラジオに近いと思います。10.695MHzというIF周波数から想像できるのは、10.7MHz系のIF周波数を採用する受信機(BCL、FMラジオ等)との部品共用です。少なくともIFトランスやRFトランジスタなどは汎用部品が使えるというわけです。流石「世界のパナソニック」ですな〜〜〜。 周波数範囲が500KHzと狭いため受信フロントエンドにバリコンが介入しません。RFトランスのみで十分同調できる範囲だからでしょう。この辺りは、50.000MHz〜54.000MHzと周波数範囲が広いRJX-601とは大分違います。そういう意味では、601の方が受信選択度などは優れています。 コストカットの為に周波数範囲を割りきったものと思われますが、現在のバンドプラントを鑑みても十分な実用的な周波数範囲です。実際に使ってみると、受信音は柔らかくノイズも意外に少ないことに驚かされました。キャリアポイントをキチンと調整してやればノイズも抑えられて快適に受信。しかしCWに関しては、この無線機を使う気はしません。回路図を見ればお気づきになると思いますが・・・。 CW-Tボタンを押してSEND状態にすると、既にトーンが漏れ出ています。微弱電波なので実際の交信には支障ないとと思いますが、QRP運用する場合には???です。トーン自体も今どきのエッジの効いた音とは比べ物にならないので、少々恥ずかしいかもしれませんね〜〜。なので、このリグはSSB専用機と割り切ったほうが良いでしょう。 尻下がりのトーンが懐かしいというOMも居ますけどね・・・。
気になる周波数ドリフトですが、面白いモノがあるようです。イギリス製のVFOスタビライザーなるキット製品で、VFO同調後にプロセッサーが基準周波数(水晶)との差分を測定し、適宜VFOのVCCを制御することで、周波数ドリフトを抑制するというスグレモノです。 今どき、PLLやDDSを使えば済むことですが、基板自体が極めてコンパクトで、本体内の空きスペースに設置できるのが嬉しいです。勿論、RJX-610に限らず旧式のVFOを採用している無線機なら他でも使えそう・・・。 既にRJX-610に取り付けられたOMがおられますので、ご興味があれば参考にされては如何でしょう。当局ではオリジナルを尊重し(笑)現状のままに・・・。VFO周りのトランジスタ交換やケミコン交換でも多少は安定性が改善するような気がします。601の時はその程度の手入れで十分改善されました。 The X-Lock 3 VFO Stabilizer
- Aperture: ƒ/2
- Camera: SOL23
- Focal length: 4.9mm
- ISO: 400
- Shutter speed: 1/20s
興味深く拝見しました。ごく最近、技適ハンディ機で再開局したのですが、ほこりのかぶった、610が一台あり、他の旧機種と共に申請してみようと思っています。送信系統図などクリアできるか、これからやってみます。今後の更新も期待しています。。
超亀レスですみません。仕事の「無線機修理」のネタばかりで、趣味の無線から遠退いてます。610も601も複数保有していますが、National製無線機はトランジスタ・ラジオの様で楽しいですョ。是非メンテナンスにチャレンジしてみて下さい!!