灼熱の地獄も少し落ち着いてきたようです。昨日は午前中に作業場で21MHzをワッチしていたら、所属クラブのOMが8J1UN/1をオペレートされていたので早速コール。昼前後にハイバンドが賑やかで、聞こえ難い7エリアもガンガン入っておりました。「いかんかん仕事しなきゃ・・・」。 

JST-145が入場中!!

2015-08-07 09.53.57 現在20台お預かりしており何とかお盆前に3台は出場させるつもりで頑張っております。

 恐らく過去に最も多く修理したのはJRC(日本無線)の無線機です。同社のアマチュア無線機の修理台数は僅かですが、航空無線や漁業無線用のリグはJRC製が多く、陸上のNEC、富士通に対して、船舶・航空ではJRCさんの扱い件数が圧倒的。JRCの機材はメンテナンス性に優れており、プロがプロの為に設計した機材というのが正直な感想です。今回お預かりしているJST-145はJRC最後のアマチュア無線機で2002年まで製造されていました。この型式がリリースされた頃、巷では既にDSPが主流になりつつあり、他社の高級機はデジタル処理をうたっているものばかりです。このJST-145(50MHz搭載はJST-245)は制御系以外の基本構成は完全にアナログ機。故にメンテナンス性はもとより優れていて、直感的に弄れるのが特長。この頃の各社高級機の殆どが、蓋を開けることすら躊躇してしまうほど複雑な作りであるのに対して、JST-145はサクサク作業できます。因みに、本個体はLCDディスプレーの表示異常・リレー接点不良で入場中です。

周波数表示が歯抜け状態

 重厚な造りの筐体に質感の良いツマミ・スイッチ類、使用されている部品の多くは様々なプロ規格をパスしているデバイスであり、補修用性能部品のメーカー在庫が切れても、官公庁御用サプライヤーの流通在庫から確保できる可能性が高いなど、性能以前にこのメーカーを選ぶメリットは大きかったと思います。過去形になってしまったところが残念であります。

 症状ですが、確かに周波数表示が異常です。USB/LSBも表示されません。しかしVFOを回すと歯抜け表示ではありますが動作している様子が覗えます。実際、送受信ともに正常動作しているので、LCD周辺の問題であることは間違いなさそうです。

LCDを脱着・確認

フロントパネル脱着

フロントパネル脱着中

 上下の蓋を開け、PA・スピーカーユニットを取り外します。こちらは上部の4箇所と背面のアンテナコネクタ周辺の4箇所、計8箇所のビスを外し、メイン基板に繋がるSPケーブルコネクタ、上面に引き回される電源ケーブルの中継コネクタ、RFラインケーブル・コネクタ(送受信)をそれぞれ外すと脱着可能になります。

 次に、フロントパネルを外します。この時点ではツマミ類はそのままでOK。上部・左右のビスを外せばフロントパネルが簡単に外せます。この辺りの構造は他のメーカーも見習うべきところ。船舶・航空基地局などでは予備機といえども迅速なメンテナンスが求められるため、NDSやJCAB規格の通信機器の場合、修理作業も考慮した造りになっています。メーカーの設計思想が色濃く表れる部分ですね。家電系のCAD屋が図面を起こすとデザインを優先するあまり、その構造を複雑にしがちですが、通信機器は本来こうあるべきかもしれませんね。そこから醸し出される「機能美」というものに魅力を感じます。

脂が埃を吸着 タップに錆びも・・

脂が埃を吸着 タップに錆びも・・

 フロントパネルを取り外すと、パネル制御基板・ロジック基板・LCDパネルにアクセスできるようになります。ユニット間のケーブル類は全てフラットケーブルがプラグイン式で接続されていますので、これらを丁寧に引き抜きます。この個体は前オーナーがかなりのヘビースモーカーだったようで、基板・ケーブル類に大量の脂が付着。水を被ったのか?、制御ボード上に錆腐食を確認しました。まずは、フラットコネクタ周りの洗浄と部品やケーブルの隙間に詰まった脂埃を取り除きます。ケーブル類を元に戻して電源を投入。USB/LSB表示はある一部分にふれると時々点灯することを確認、接触不良の様です。しかし依然として周波数は表示されません。LCD劣化を疑いユニットを脱着すべく、上部2箇所のビスと筐体4箇所のビスを外しました。LCDユニットをテストしたところ、液漏れなどもなく、正常に動作することを確認。パネルユニット(フロントパネル裏側)から来るフラットケーブルを1本ずつチェックしたところデータ欠損を確認しました。パネルユニット側のコネクタ周辺・基板の接触・絶縁を確認しまたが問題ありません。実際にDDSは正常に動作しており、表示系のみ不具合が起きています。どうやらICの不具合とみて間違いなさそうです。

メーカーは16日までお盆休み(当社は17日からお盆休み)

 JRCさんに問い合わせたところ、JST-145/245の補修用性能部品の一部はまだストックしているとのこと。早速発注伝票をメールしました。しかし、時刻は金曜日の18時を過ぎております。担当によると、週明けから1週間お盆休みだそうです。17日から通常営業とのことですが、弊社が17日からお盆休みです。かなり先になりそうな予感・・・。オーナー様に事情をお伝えしご了承頂きました。タイミングが悪くて申し訳ございません。m(_ _)m

追記

 本日、JRCさんと打ち合わせました。本機の故障部位であるLCDはパネルユニットとともに交換することで修理可能。しかし、ユニット代がそれぞれ10K円、30K円となり、部品代だけで40K円以上になること。更に基板自体の腐食進行が酷く、今後も各部の故障が頻発する恐れがあるため、修理後の動作保証が出来ないこと。ATT不具合以外に、ANT切替、RIT/XITでも異常が見つかったこと。以上を勘案するとオーバーホール費用は10万円を超えてしまうとの結論に達しました。この件、オーナー様にご連絡したところ、流石に予算オーバーとのお返事を頂きました。誠に遺憾ではございますが、今回は作業続行を諦めるとの結論に至りました。2015/08/27 20:34 

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